植物から恐竜世界を考えてみる!「メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる-」〈大阪南港ATCホール〉
巨大竜脚類をテーマにした恐竜展ですが、植物の展示もあります。
恐竜を怪獣ではなく動物として見る場合、恐竜が生きていた環境を知ることはとても大切です。
そうでなければ恐竜が生きていた姿がわかりません。
それを知ることができるものの一つが、植物。
解説書でもまったく紹介されてないちょっと可哀想な扱いですが、ぜひこの機会に見てください。
メが恐竜たちを支えていた植物たちです。

恐竜が生きていた時代だけでなく、まだ陸上に動物はいなかったかもしれないような時代から展示されています。
植物の出現は動物よりも遅く、今から4億年あまり前。
すでに菌類や藻類などが陸上に進出していたと思われていますが、おそらく水辺の周囲にかろうじて集まっているだけで、陸のほとんどは不毛な大地だったでしょう。
その頃の植物は小さく、形も単純で、葉もなく、花も咲かず、種もできず、胞子で増えていました。
今で言うと、トクサやスギナのような形だったようです。
シダ植物 リニア類
シルル紀(約4億4千万~4億2千万年前)
水辺のシダ
枝分かれは単純

アステロキシロン 生体復元
シダ植物 ゾステロフィルム類
デボン紀(約4億2千万~3億6千万年前)
水辺のシダ

プシロフィトン 生体復元
シダ植物 トリメロフィトン類
デボン紀(約4億2千万~3億6千万年前)

ゾロテロフィルム 生体復元
シダ植物 ゾステロフィルム類
デボン紀(約4億2千万~3億6千万年前)
水辺のシダ

次第に光合成を効率よくするために「葉」がつくられ、今も残るシダのような形になってきました。
石炭紀には、そうしたシダの中から、木のように大きくなるものも出てきました。
シダ植物 トクサ類 アルカエオカラミテス類
石炭紀(約3億6千万~3億年前)
年輪がありません
筋のある茎が現在のトクサ類に似ています

木(裸子植物・被子植物)は、毎年幹が太くなって大きくなっていく体を支えることができますが、シダは一度成長した「幹」は太くなれません。
そのため、大きくなっていく体を支えるために、「幹」からたくさんの根を出し、それで小さな「幹」を覆って大きくなる体を支えました。
そういった木性シダの「幹」の断面は年輪がなく、小さな管のようなものがたくさん集まっています。
その1つ1つが体を支える根です。
シダ植物 シダ類 リュウビンタイ類
石炭紀(約3億6千万~3億年前)
高さ10m以上の巨大シダ
丸く見える根がたくさん集まっています

そうやって大きくなったシダたちが水辺に倒れ、土の中で分解されることなく埋もれていったのが石炭と考えられています。
この頃、大量の植物が石炭になったことが石炭紀の名前の由来です。
そして大気中の二酸化炭素が大幅に減ると同時に、地球は寒冷化していきました。
やがて、植物は胞子を葉で守ったタネ(種子)を作るようになりました。
種子植物の誕生です。
恐竜が誕生した三畳紀には、今につながる裸子植物が誕生していました。
裸子植物 毬果類 ナンヨウスギ類
三畳紀(約2億5千万年前~2億年前)

バイエラの葉 実物化石
裸子植物 イチョウ類
三畳紀(約2億5千万年前~2億年前)
葉の切れ込みが深くなっています
今のイチョウの葉になったのは白亜紀の終わりごろと考えられています

トディテスの羽片 実物化石
シダ植物 シダ類 ゼンマイ類
三畳紀(約2億5千万年前~2億年前)
今の2回羽状複葉のシダの葉と同じ
葉裏面全体に胞子嚢

アラウカリオキシロンの幹 実物化石
裸子植物 毬果類 ナンヨウスギ類
後期三畳紀(約2億4千万年前~2億年前)
珪化木
抱えきれないほどの太い幹の大木

ベネチテス類 生体復元
裸子植物 ソテツ葉類 ベネチテス類
中期ジュラ紀~白亜紀(約1億6千万年~7千万年前)
現在のソテツに似ています

ソテツ葉類の羽片 実物化石
裸子植物 ソテツ葉類 ベネチテス類
白亜紀(約1億5千万年~7千万年前)
中生代に繁栄し恐竜とともに絶滅
草食恐竜の食べ物と考えられています

セコイアの球果 実物化石
裸子植物 球果類 スギ類
後期白亜紀(約1億年~7千万年前)

白亜紀には被子植物が誕生し、花を咲かせる植物が増えていきます。
被子植物 双子葉類
白亜紀(約1億5千万年~7千万年前)
複葉が現在のムクロジ科に似ています

紹介できたのはほんのわずか。
恐竜ばかりに目が行ってしまいますが、植物もいろいろあります。
そして、草食恐竜の食べ物。
ということは、肉食恐竜の間接的な食べ物です。
ぜひ、恐竜時代の環境を想像してみてください。
ほんとうは、植物だけでなく昆虫の化石も見たいところですが、今回はメガネウラ程度。
ちょっとさみしい展示なのが残念です。
■参考外部リンク■
メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる- 大阪開催【公式サイト】
大阪市立自然史博物館

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