赤いキノコと出会った同じ日、キノコだらけの木がありました。
樹皮からサクラ、おそらくソメイヨシノ。
キノコはシロハカワラタケ?
幹の下の方からキノコは生えていますが、上の方の枝には緑の葉がついているので、まだ枯れてはいません。
でも、幹にキノコが付きはじめているので、遠くない未来に枯れてしまうでしょう。
キノコに覆われた木をどう見るか。
それは立場で変わるでしょう。
木の側から見ると、キノコに木が蝕まれているので、サクラを助けるためにキノコを駆除しなければ。
となるかもしれません。
キノコの側から見ると、朽ちかけた木を土に返すことができる。
となるかもしれません。
人間とは随分ちがいますが、木にも病原菌などから体を守る仕組みがあります。
健康ならば普通キノコは生えません。
弱ってくると、キノコを防げなくなってきます。
キノコで弱ったのか、弱ったのでキノコが生えたのか。
キノコに覆われたサクラのまわりを見てみます。
すぐとなりにはアラカシ。
反対にヤマモモ。
アラカシは幹を伸ばし、上の方で枝を広げてサクラを日陰にしています。
ヤマモモはアラカシほど高くはありませんが、密に枝を伸ばして、まるで壁のようにサクラを圧迫しています。
どういう経緯でこんな狭い範囲に3種類の木が育つことになったのかはわかりません。
ただ、育つためには太陽の光がたくさん欲しいサクラに対して、ちょっとくらい日陰でもガンガン成長していくアラカシとヤマモモ。
この3種が並んで生えていればサクラはアラカシとヤマモモに負けてしまうのは当然。
キノコに覆われたサクラをまわりの木々も含めた「環境」でみると、アラカシとヤマモモに邪魔をされて弱ったところにキノコがやってきた。
ように見えます。
ということは。
サクラについたキノコを駆除するのではなく、もっと前にアラカシとヤマモモの成長を抑える.かべきだったでしょう。
大切なことは、日々木が育っている環境を観察し、悪くなる前に早めに対処すること。
生き物は、樹木だけ、チョウだけ、鳥だけ、と特定の種類だけで生きていることはありません。
もっと多くの生き物、目に見えない生き物も含めて、多数の生き物とそれらを包む環境のもとで複雑な関係を結んで生きています。
キノコに覆われたサクラも、サクラとキノコだけの関係だけではなく、となりのアラカシやヤマモモとの関係の結果、キノコとの関係ができたのかもしれません。
生き物のことを知るためには、広い視野と深い観察と多くの知識のもとに、豊かな想像力を働かせることが必要になる、と感じます。
シロハカワラタケ
白歯瓦茸
Trichaptum elongatum
坦子菌門 ハラタケ綱 タマチョレイタケ目 タマチョレイタケ科 シハイタケ属
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