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言葉じゃなくて、グラフで表す変化で環境が見えてくる!『学んでみると生態学はおもしろい』伊勢 武史 著 ベレ出版 刊

生態学とは

 生態学とは、生物が環境から影響を受けたり、逆に生物が環境に影響を与えたりするという相互作用について研究する学問です。

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 生き物を扱うのですから、生物学でいいような気がしますが、生態学。
 生物学は、その名前のように特定の生き物について様々な角度で研究する学問。
 生態学は複数の生き物や、それらが生きている場所もひっくるめて考えます。
 生態学の魅力は、生き物がリアルに生きている様子が見えてくること。
 それも動物だけでなく、植物だけでもなく、生きていない地面や水や空気のことも見えてくることです。

生態学と「モデル化」

 生態学の本はいろいろありますが、この本の特徴は、グラフ。
 生態学は生物と環境の相互作用のこと。
 つまり、生物が変わると環境も変わる、環境が変わると生物も変わる。
 または、生物や環境が変わると、バランスを取って元に戻そうとする。
 ですから生態学は変化がつきもの。
 そういった変化をグラフでわかりやすくします。
 それが「モデル化」。

いろいろな木に覆われた山にはいろいろは生き物がいます(金剛山)

生き物の関係をグラフで表す

 数学や社会科学など一部の学問に馴染みのある人でなければ、グラフで生き物と環境の変化を読み取ると言われてもよくわからないかもしれません。
 確かに日常使うことのない数式がいっぱい出てきます。
 そういうときは「そういうもんなんだ」と途中は考えずに、グラフの変化が表す意味を考えましょう。
 本に出てくるグラフは単純なものなので、慣れてくると時間をかけて変化する自然の姿が見えてきます。
 それと同時に、変化行き着く先も。
 もちろん、現実には無数の要素が複雑に関係しあっているので、単純な未来予測はできませんが。

炭素循環

 全10章中9章目が環境と物質循環の話。
 話題の地球温暖化が深く関係する「炭素循環」
 地球温暖化を語るときには必須の知識ですが、意外と知らない人が多い言葉です。

 地球の物質は、地球ができたときから基本的にはかわっていません。
 それが場所と形を変えて地球の上をぐるぐる循環することで、いろいろな地形や生き物を作っています。
 問題の二酸化炭素も同じです。
 ただし、二酸化炭素の形でぐるぐるまわるのではありません。
 二酸化炭素は、酸素と炭素が化合したもの。
 その炭素の方に注目して、「炭素循環」と呼ばれます。

炭素循環と地球温暖化

 大気中の二酸化炭素が増えて地球が温暖化していると言われています。
 ですから大気中の二酸化炭素を減らし温暖化を防ぐために植物を植えよう!
 とよく言われます。
 はたして、それが正しいのか。
 それについてもモデル化して解説されています。

実は二酸化炭素発生源の火山(桜島)

植物の炭素の行方

 途中はぜひ本を読んで確認してほしいのですが、結果を言えばこんなかんじです(多分)。
 このブログで今までに書いたように、植物が蓄えた炭素は永遠ではありません。
 植物が死んで分解されれ、つまりカビや微生物に植物が食べられれば、二酸化炭素に戻ります。
 日本では、植物がたくわえた炭素は、ほぼ100%二酸化炭素に戻ります。
 ということで、植物は一時的に二酸化炭素をたくわえているだけ。
 ですから、地球科学では、植物に含まれる炭素は、大気中にあるものと同じとして考えられます。
 つまり、いくら植物を植えても、実質的には二酸化炭素は減ったことにはならないのです。

植物を植えると二酸化炭素が減っていくのか?

 ただ、植物がたくわえた二酸化炭素が大気中に戻るには時間がかかります。
 その間、地面が二酸化炭素を蓄えることになりますので、決して植物を植えることは無駄にはなりません。
 しかし地面は有限で、蓄えることができる炭素には限界があります。
 それに今問題になっているのは、地面の下深くにある化石燃料由来の二酸化炭素。
 植物伐採で増えた二酸化炭素ではありませんので、大気中の二酸化炭素を大きく減らすために植物を植えることは、現実的には、簡単にいえば、意味が無いことです。
 本ではこのようには書いていませんが。

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怒るのはまちがっている証拠

 大気中の二酸化炭素を減らすために植物を植えることは、無駄。
 というと、怒り出す人は少なくありません。
 自分が正しいと思いこんでいたことを否定されれば、気分を害することは不思議ではありません。
 しかし、地球環境は気分では守れません。
 論理的に考えられた理論的に正しいことをしなければ、守ることはできません。

たくさんの二酸化炭素を蓄えている海と石灰岩の大地(沖縄島)

 怒る暇があれば、自分の考えが正しいときっちりと説明すればいいだけの話。
 それができないのであれば、ただの思いこみだと言われても、しかたありません。
 このブログでいつも言っていることですが、自然は人間の都合や気持ちのことなど一切気にしていませんし、関係もありません。
 自然のことを考えない、理論の伴わない、自己満足(反論しないで怒ることが何よりの証拠)のための行為では、環境を守ることはできません。
 場合によっては、環境を悪くするかもしれません。

 この本にもこう書かれています。
本当に効果的で広く社会に受け入れられる環境保護は、自己満足だけではなく理論的に正しくなければならないと思っています。感情を害してしまったら、ごめんなさい。

■参考外部リンク■
学んでみると生態学はおもしろい|書籍案内|ベレ出版

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タグ: 学んでみると生態学はおもしろい  伊勢武史  生態学  炭素循環  モデル化 

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genre : 本・雑誌

「神社合祀に関する意見」南方 熊楠 著 100年前なのに今の社会より進んでいるエコロジーの考えが感じられます。

南方熊楠さん

 南方熊楠さんが東京帝国大学(現東京大学)の白井光太郎(しらい みつたろう)さんに送ったものです。

「神社合祀に関する意見」のほか
粘菌の論文などが掲載

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 以前より有名になってきたとはいえ、さすがに日常的に耳にする名前ではないでしょう、多くの人にとっては。
 もちろん「みなかた くまぐす」と読める人には、説明の必要はありません。
 江戸末期の1867年に生まれ、昭和初期の1941年に没した科学者です。
 専門は生物学と民俗学、自然科学と人文科学というあまり繋がりがなさそうなジャンルですが、当時すでに古い言葉となっていましたが「博物学」という方がイメージしやすいかもしれません。

 まだ旅客機がなかった明治時代に、日本という枠を越え世界を渡り歩き、数か国語を操り、1890年代にはイギリスの大英博物館で働き、イギリスの科学誌ネイチャーの論文掲載数は日本人最高レベルというとんでもない人です。
 生涯、粘菌(変形菌)やキノコなどの研究を続けましたが、論文をほとんど発表しなかったため、日本では科学者としてはあまり高い評価は受けていなかったようです。
 でも、そこもすごいところです。

変形菌のクダホコリ

非欧米絶対視

 現在でも欧米文化や欧米で発達した学術研究する日本人は、欧米の価値観を「絶対的な正しいもの」として無批判に受け入れる人が少なくありません。
 それが文明開化もまだ途中の明治時代なら、欧米の価値観を疑う人はほとんどいなかったでしょう。
 ところが熊楠さんは欧米の「進んだ」価値観を受け入れつつ、おかしいものはおかしいと流されることはありませんでした。
 本当にすごい。

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白井光太郎さん

 白井さんは日本の植物学・菌類学の研究者。
 当時はまだ未発達だった日本の植物の病気についての研究を大きく進展させました。
 その白井さんに熊楠さんが送った、明治政府の神社を統合する政策に対しての反対意見です。
 熊楠さんは広く反対運動を行っていましたが、この手紙が文庫化されるなど手に入りやすく、内容もまとめられているので最も有名かもしれません。

神社合祀令

 まずはテーマである「神社合祀」とその周辺について。
 明治時代末期。
 政府が神社を整理しようとしました。
 その理由は、明治時代がはじまるときに国家が祀るものとした神社を統合して、経費を集中させ、管理をしやすくするため。
 そして、数を減らし、大きな神社に信仰を集中させることによって、神社の権威を高めるため。
 とすると、なんか神社を大切にしているように見えます。

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神社と信仰

 小さな神社や祠(ほこら)は日常的な神様ですから、集落の近くに必ず作られ、長い間人々によって祀られていました。
 それが統合によって、時には山の向こう、川の向こうなど遠くに無理やり移されてしまいます。
 そうなると日々のお祀りができなくなってしまいます。
 また大きな祭りのときなどは、村から遠く離れた場所にまで行かなければならなくなり、祭りの形も目的も変わってしまいます。
 むしろ、神社とその信仰を軽んじている政令なのです。

神仏習合

 神社は仏教と並んで日本の伝統的な宗教と思われていますが、今あるのは明治以後につくられた新しい姿。
 実は江戸時代まではお寺と神社は同じだったのです。
 これを「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」といいます。
 もうちょっと詳しく言えば、神社の神様は仏教の仏様が姿を変えて現れたもの(権現(ごんげん))で、仏様より下の存在とされていました。
 そして神社には必ずお寺が作られていました。
 今も残る有名な社寺で言えば、奈良の春日大社と興福寺です。

神仏分離

 それが、神社の信仰を政治に利用しようとした明治新政府によって、神社とお寺を分け分けることになりました。
 神仏習合は平安時代から始まり、およそ千年の歴史があります。
 つまり、日本の多くの神社とほとんどのお寺にとっては神仏習合していた期間が最も長いのです。
 そのため、日本には昔ながらの神様でも仏様でもない、かわった神様や来歴がわからない神様も少なくありません。
 それを無理やり神社かお寺に分けなければならないのです。
 それだけでなく、神社にするときは来歴のはっきりとした神様としなければなりません。
 また、修験道や陰陽道のように政府に廃止されたものもあります。
 その上、神社に規制を加えることになったのが神社合祀令です。

鎮守の杜

 「鎮守の杜」という言葉が表すように、神社には広大な杜(もり)がつきものでした。
 「杜」は信仰の対象になるような森のことです。
 それが明治に武士同様に所領が没収され、神社の杜はどんどん小さくなっていきました。
 社会の価値観が大きく変わったのですから仕方ないとはいえ、これも明治政府の規制のひとつといえるかもしれません。

ものすごく古い上賀茂神社とものすごく新しい明治神宮

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 たとえば京都の下鴨神社。
 平安京ができる以前からある古い神社で、元は明治神宮とは比べ物にならないほどの広さの杜を持っていました。
 それが現在は参道周辺に少し残るだけ。多くが住宅地などに代わってしまい、5分の1にまで小さくなってしまいました。
 最近、神社の維持管理の経費等のため神社境内にマンションを建てることについて近隣住民が大反対をしています。
 ところがその住民たちの多くは、もともと神社の杜だったところに住んでいるかもしれません。皮肉なことです。
 ちなみに、日本中の神社が国策で規模を小さくさせられる中、広大な土地を用意され新しく作られたのが、日本でもっとも正月の参拝者が多い明治神宮です。

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一つ目から七つ目

 さて。
 江戸末期生まれの熊楠さんにとってはお寺と別けられた神社は「当たり前」の存在だったかもしれません。
 それでも博覧強記の熊楠さんにとっては、その歴史的経緯もよく理解していたでしょう。
 熊楠さんはこの手紙の中で神社合祀に反対する理由を八つ挙げています。
 一つ目から七つ目までは、人々の生活や日々の信仰にかかわることです。
 言うなれば、民俗的なこと。
 もちろん熊楠さんらしい指摘だと思います。
 それに、当時の人にとっては身近な問題として感じることができたでしょう。

熊楠さんのスケッチで有名なキツネノエフデ

エコロジー

 そして最後の八つ目が自然破壊について。
 自然の生き物についてが一番最後のたった一つの項目というのは、自然の中の生き物を相手にしていた熊楠さんらしくなく見えるかもしれません。
 しかし熊楠さんは一番言いたいことをあえて最後に持ってきたように思います。
 実際に熊楠さんが神社合祀に反対した最大の理由が自然破壊だった、といろいろな方が指摘されています。

「合祀は天然風景と天然記念物を亡滅す」

 「合祀は天然風景と天然記念物を亡滅す」が八番目の理由です。
 神社を合祀することによって長い年月守られてきた杜が消え、そこに住んでいた貴重な生き物たちが失われるというのです。
 今なら、天然記念物という特定の生き物や場所のみの問題ではなく、もっと大きな範囲で、「環境」とか「自然」という言葉が使われるでしょう。
 こんな範囲の狭い言葉を使ったのは、熊楠さんといえども100年前のことなので仕方ないことなのでしょうか。

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 そうは思いません。
 熊楠さんはすでに「エコロジー」という言葉を使っていました。
 「環境」という言葉の意味を知っていたのです。
 つまり、「天然記念物」という具体的な言葉を使ったのは、当時の日本人、それも政治的力を持つような人々の認識の限界だったからでしょう。
 熊楠さんの書簡は、そういった人たちを動かすためのものですから。

 この「エコロジー」、つまり環境や自然など、あらゆる生き物が関係する問題は、今でも、いや当時以上に重要な課題になっています。
 たとえば、地球温暖化のように。
 さすがに天然記念物という小さな範囲だけで環境が守られるとは思われていないと思いますが、はたして、無数の生き物が複雑に絡み合っている「エコロジー」をちゃんと意識できているのでしょうか。
 まだまだ100年前の熊楠さんの背中を遠くから眺めているだけのような気がします。

 生誕150年の年にそんなこと考えました。

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genre : 本・雑誌

南極の地下には想像も表現もできない知的生命体がいた!『狂気の山脈にて』ハワード・フィリップ・ラヴクラフト著

 いよいよ、いや、ついにクトゥルフです。
 それもH.P.ラヴクラフトさんの作品です。
 今から80年前に他界したアメリカの小説家。
 一般的に有名かどうかわかりませんが、人気マンガ『文豪ストレイドッグス』にも登場する作家です。

 現在の日本でも彼が創作したと言われる「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の影響は大きく、数多くの「二次創作作品」がつくられています。
 ところが、「クトゥルフ神話」を作ったのは、ラヴクラフトさんではありません。
 弟子のオーガスト・ダーレスさんがキャラクターや世界観を整理し、善悪二元論的な対立の神話に構成したことがはじまりとされています。
 もちろん、ラヴクラフトさんの頭のなかには大きな物語世界が作られていて、それをわかりやすい形にまとめ上げたのがダーレスさんなのかもしれませんが。

 小説のジャンルとしては、ホラー、恐怖小説です。
 ただし幽霊とか妖怪とかが出てくる「普通のホラー」ではありません。
 この地球、そして宇宙には人知を超えた無数の生命体があり、独自の歴史を紡いでいて、人間との接点ができたとき、それがホラー(恐怖)になるのです。
 なぜホラーかというと、その生命体は人間の理解の限界を超えた、多くの人が嫌悪を抱くような存在だから。
 つまりよくある宇宙人とも幽霊ともまったくちがうのです。

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 その代表作の一つが『狂気の山脈にて』。
 物語は南極の地質調査隊が遭遇した恐怖の体験を綴った生還者の手記という形で進行します。
 手記というのはラヴクラフトさんがよく使ううスタイルで、物語にリアリティを持たせるための手法です。
 読者にありもしない設定の物語で恐怖を感じさせるためにはリアリティが必要。
 それが当事者が書いた手記というスタイルと、科学的な裏打ちのある設定です。
 そのためSFとしての側面も持っています。

 『狂気の山脈にて』でも、手記を書いたのは地質学の科学者です。
 科学者の視点で、彼らが遭遇した異様なものが次々と描写されます。
 南極の山脈の地下で出会ったのは人類が知らない文明が築いた施設。
 そして、その主と思われる生命体。
 生命体は仮死状態なのか動かないため細かく観察されます。
 その異様さは尋常ではありません。

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 詳細は実際に小説を読んで想像するのが一番だと思います。
 マンガも出版されていますが、おすすめしません。
 ネットで探せば想像図が簡単に見つかるでしょうが、それも見ないことをおすすめします。
 もちろん、ドラえもんの映画も。
 なぜならラブクラフトさんのホラーの演出方法の一つに、人間の常識と想像を超えた表現があります。
 その生命体の「古(いにしえ)のもの」も、人間が持っているだろう「生き物の姿の常識」そして「知的生命体の姿のイメージ」を完全に壊します。
 体の部分部分は想像できても、生物として一つにまとまって動いている姿は想像することができません。
 その不安定な状態が、ラヴクラフトさんが狙ったホラーの一つでしょう。
ですから、それが具体的な形を持った絵になると、ホラーも半減するように感じます。

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 南極の地下施設に残されたものから調査隊が推測したのは、「古のもの」が地球にやってきたのは複雑多様な生命が突然現れたカンブリア爆発よりも前。
 それだけでなく、他にも人類が知らない生き物が地球に来ていたことも。
 もちろんどれも生き物の常識を軽く超えています。
 既存の常識を超えた生き物に対する恐怖。
 想像してみてください。いや、できないでしょう。

 クトゥルフ神話物の作品は作者の死後も作り続けられていて、今も新しい作品が誕生しています。
 それどころか、ホラーの対極とも言える萌えキャラすらつくられています。
 それらはいわばオーガスト・ダーレスさんの二次創作のさらに二次創作のようなもの。
 まずはラヴクラフトさんのオリジナルをおすすめします。

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genre : 小説・文学

六甲山のさまざまな生き物と、地理もちょっとわかる1冊『六甲山ネイチャーウォーキングガイド』山と渓谷社

 名前の通り六甲山の本です。
 といっても、六甲山の登山道や観光地などの本ではありません。

六甲山ネイチャーウォーキングガイド

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 もちろん、そういうページもありますが、メインは六甲山で出会える生き物たち。
 小鳥や小さな草花。
 そして巨樹「マザーツリー」もどこにあるか緯度経度も載っています。
 それだけでなく、六甲山の歴史や地理の話もあるので、今、目にする六甲山がどうしてそのようになったのかもわかります。

花崗岩がむき出しのロックガーデン ロックガーデン

 六甲山は登山の山として人気はあるものの、一度禿山になり、特に登山口が集中する南面は乾燥気味の植林地で、正直植物相もわりと単純。
 さらに山頂尾根には舗装道路が走り、別荘地や観光地が連なり、ゴルフ場もあったりで湧き水も飲めない。
 いくつかの植物園と、牧場があること以外、生き物関係ではあまり良いイメージがありませんでした。
 ところが、この本を見ると意外と生き物が豊富なことがわかります。

六甲山のホタルカズラ ホタルカズラ

 禿山からの回復に100年。
 明治神宮の森の造営にも関わった本多静六博士の指導のもと西の再度山(ふたたびさん)付近で大規模な植林が行われました。
 布引の滝の上流、トエンティクロスは、水辺ということもあり様座な景観が楽しめ、様々な生き物を目にします。
 有馬温泉へと続く北斜面は少ないですがブナが残るような場所。
 山頂には準平原と呼ばれる平地があり、池や湿地があるのも六甲山の特徴。

南側ではめずらしい?谷筋のトエンティクロス トエンティクロス

 六甲山を歩くときは、地図と一緒にこの本を手にして、様々な生き物を探してみるとおもしろそうです。

■参考外部リンク■
六甲山ネイチャーウォーキングガイド | 山と溪谷社

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『恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界』犬塚則久 著 講談社学術文庫 刊 この本を読めば恐竜展でつっこめるようになる、かもしれません

 タイトル通り骨(化石)から恐竜が生きていた姿を再現していく本。
 と言っても、特定の恐竜を復元するのではありません。
 復元していくための「骨のよみかた」を教えてくれます。
 まず最初に、博物館の復元骨格の見方が描かれていて、読めば恐竜展でツッコミができるようになるかもしれません。

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 言うまでもなく、恐竜は今はいません。
 地面の下から掘り出される化石から、大昔に存在していたことがわかるだけ。
 警察関係のドラマなどで、被害者の骨から事件の様子などを解き明かし、そこから犯人逮捕につなげていくことがあります。
 それができるのは、本人を含めて多くの生きている人間のことがわかっているから。
 しかし生きている恐竜を見たことがある人は、一人もいません。
 ですからドラマのようにはいきません。

タルボサウルスとティラノサウルスの復元骨格〈福井県立恐竜博物館〉

 今はいない恐竜と言っても、近い仲間の爬虫類や鳥はいます。
 そして体のバランスや力の出し方、筋肉のつき方などは今の動物と共通するところも多いはず。
 ですから今いる動物からわかったことを元にして、恐竜を復活させます。
 そのための古脊椎動物学の教科書として書かれた本です。
 わかるようでちょっと想像しにくい「古脊椎動物学」については、まえがきにこのように書かれています。

古脊椎動物学の真髄は復元結果の見本市ではなくて、脊椎動物の骨学や筋学、歯学、それに比較解剖学、機能形態学、生体力学などを手がかりに恐竜など絶滅動物の真の姿を探る謎解き、推理の面白さにある。

 確かにこの本を読むと、骨だけからでも読み取れる情報が多いことがわかります。
 今まで幾つもの骨格標本を見てきました。
 中には二度と見ることができないものもあったかもしれません。
 もっと早くこの本と出会っていれば、見え方も変わったでしょう。

同じデスモスチルスでも復元でこんなにちがって見えます
〈大阪市立自然史博物館常設展示〉

四肢を広げて泳ぐのが得意そう
指も大型動物らしく立て気味の新しい復元


四肢を真下に伸ばした牛のような格好ですが
指を開いてぺたりとつけるのが違和感を感じる古い復元


著者が絶滅動物の科学的復元をはじめるようになったきっかけが
デスモスチルスなどの束柱類だそうです

 ただ、ちょっと、いやかなり残念なことは、骨の図説が少ないこと。
 巻頭に恐竜の骨の説明がありますが、ほとんどそれだけ。
 ところが、そこに名前が示されていない骨や、哺乳類などの骨の名前ががどんどん出てきます。
 研究者を目指すのなら基礎的な知識は持っているものというのはわかります。
 しかし、講談社学術文庫というシリーズの性質からすると、知識を深めたいけど専門家でない読者も少なくないと思います。
 やはり、もう少し本文に出てくる骨の説明をする図版がある方がいいと思います。
 いや、必要だと思います。

 もちろん、図版が少なくても、恐竜の生きていた姿に興味がある人は、読むべき本の一つなのはまちがいないと思います。

■参考外部リンク■
『恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界』(犬塚則久):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部

恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界 (講談社学術文庫)

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炭素は地球の上をぐるぐるまわってる!『大気の進化46億年 O2とCO2 ―酸素と二酸化炭素の不思議な関係―』田近英一 著 技術評論社 刊

 今、人類の大きな課題になっている二酸化炭素による地球温暖化と深く関係している「炭素循環」の本です。
 著者は東京大学大学院の教授で、ほかにも地球環境史の本を出版しています。

 地球温暖化は知っていても、「炭素循環」は聞いたことがないかもしれません。
 でも、二酸化炭素による地球温暖化を理解するためには、「炭素循環」はとても重要な事。
 それを説明してくれるのがこの本です。

 「炭素循環」について強引に短い説明をしてみると。
 炭素は地球にある元素の一つ。
 それが形を変えて、地球の上を、空から海から地面の下の深くまでぐるぐる長い時間をかけて循環しています。
 それが「炭素循環」。
 その途中の姿が植物であり、動物であり、石油や石炭であり、空気の中の二酸化炭素でもあります。
 つまり、地球温暖化の元凶と言われる二酸化炭素も、いずれ地面の下へと姿を変えていくものです。

ドライアイスにすると二酸化炭素も見えます

 実は、地球ができたときはもっとたくさんの、もしかしたら空気のほぼ100%が二酸化炭素だったともいわれます。
 それが現在のほぼ0%(0.04%)まで減ったのは、二酸化炭素が炭素循環で地球の色んな所に溜まっていったから。
 その仕組を地球の成立から解説してくれるのが、この本。

 あれ、世間で言われることとちがう!
 と思うかもしれません。
 ただ、炭素循環にかかる時間はとても長く、およそ50万年ともいわれ、場合によってはもっとかかります。
 人間からすると永遠にも思えますが、地質の時間ではほんの一瞬。
 しかし地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の増加は、この200年ほどのこと。
 炭素循環の2500分の1の時間。
 時間のスケールがぜんぜんちがうのです。

石炭は地面の下に閉じ込められた炭素(大阪市立自然史博物館)

 ですから馴染みのないことばかりで、ちょっと難しく感じるかもしれません。
 そういうときは、とりあえずややこしい途中の部分はおいといて、「これがこうなる」と原因と結果だけを覚えておいて、ややこしい部分はあとまわしに。
 そして大切なことは、頭を柔らかくすること。
 地球規模の出来事は、日常の中で感じる自然現象とはちがいます。
 「常識」にとらわれず、柔軟さが必要です。

 この本に書かれていることから考えてみると。
 二酸化炭素の元になる炭素。
 それが地球レベルでぐるぐる回っているのですが、現在の地球で炭素があるところは、空気中、海中、そして地面の下。
 植物がありませんが、植物が取り込んだ二酸化炭素は、植物が死ぬとまた二酸化炭素になって空気中に戻っていきます。
 もちろん、それには何十年、何百年かかりますが、炭素循環の50万年に比べればほんの一瞬。
 そのため空気中にあるのと同じとして考えられています。

大きな木が蓄えた二酸化炭素もいずれは空気の中に戻ります

 それぞれの場所にどのくらいの炭素の量があるかというと、海に溶けている炭素は空気の50倍の量。
 そして地面の下には空気の17万倍の量。
 今、問題になっている二酸化炭素は植物を燃やしてできものではなく、地面の下の化石燃料を燃やしてできたもの。
 つまり、空気の17万倍の炭素です。
 単純に考えれば、木を育てるのではなく、地面の下に二酸化炭素の中の炭素を戻さなければならないはず。
 本当に、木を植えれば化石燃料を燃やした分の二酸化炭素を空気から取り除くことはできるのでしょうか。

 地球温暖化と増える二酸化炭素の問題は、思っていたよりも複雑です。

■参考外部リンク■
田近研究室
大気の進化46億年 O2とCO2 ―酸素と二酸化炭素の不思議な関係―:書籍案内|技術評論社

大気の進化46億年O2とCO2 [ 田近英一 ]

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生き物観察の基本の一つはスケッチ。でも美術のスケッチではありません。『生き物の描き方』盛口満 著 東京大学出版会 刊

 すでに紹介している「教えてゲッチョ先生!」シリーズのゲッチョ先生こと盛口満さんの本です。

生き物の描き方: 自然観察の技法

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 タイトルのように「絵」の描き方の本ですが、美術の本ではありません。
 生物学の本。
 スケッチというと、普通、美術の分野で、人物や風景などおおまかに紙に描き写すことです。
 でも、生物学の場合はちょっとちがいます。
 それは「自然を観察し、記録し、伝える手段」。

昆虫の描き方: 自然観察の技法II

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 しかしそれなら、デジカメでも十分のように思います。
 たしかに正確さや色、時間を考えると、デジカメのほうがはるかに優れています。
 ところが、スケッチがデジカメに勝ることがあります。
 それはじっくりと、細部まで観察すること。
 デジカメの場合、細部まで注意を向けなくても撮ることができます。
 しかしスケッチはじっくりと細部まで観察しなければ描けません。

植物の描き方: 自然観察の技法III

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 そのため、生き物の特徴の出るところを知ることは大切。
 絵が下手でもそういうところをちゃんと描けていれば、知識のある人が見れば、どういう生き物を描いたのかわかります。
 生き物の特徴には、同じような生活をする生き物に共通するところや、同じ分類グループに共通するところがあります。
 この本では「くらし」と「れきし」といっています。
 スケッチには、その生き物の「くらし」と「れきし」を知ることが大切。
 ですから、この本には色々な生き物の「くらし」と「れきし」が説明されています。
 そのため生き物のスケッチを勉強しようと思っている人はもちろん、いろいろな生き物のことを知りたいと思っている人も楽しめるようになっています。

 この「自然観察の技法」シリーズには、ほかに『昆虫の描き方』『植物の描き方』がありますが、スケッチの基本が書かれているのはこの『生き物の描き方』。
 ですから、生物学的スケッチのことを知りたいと思っている人は、まず『生き物の描き方』をおすすめします。

■参考外部リンク■
【ゲッチョの公式サイト】ゲッチョのカマキリ広報
書籍一覧・検索 » 生き物の描き方 - 東京大学出版会

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タグ: 生き物の描き方  盛口満  スケッチ 

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新米ビオトープ管理士でフィールドワーカーのノートが生き物たちとの出会いを書いています。

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