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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! トリケラトプス登場編


 博物館と植物園がコラボした「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。 
 そして「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」。

 化石と植物園で見ることができる植物の紹介も、いよいよ最後。




白亜紀にあったかもしれない植物に囲まれた会場入口




 もちろん今回の主役、トリケラトプスがいた時代・場所の植物です。

 トリケラトプスの大好物もあるかもしれません。



サントニアン 8630万年~8360万年前
カンパニアン 8360万年~7210万年前
中生代 白亜紀 後期
マーストリヒチアン 7210万年~6600万年前
トリケラトプス
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

今回のテーマになっている人気恐竜トリケラトプス。

体も大きくなり、各地で多様化していたそれまでのケラトプシア類とちがい、たった一種で各地に広がっていきました。

しかしそんなトリケラトプスも白亜紀末の大量絶滅に飲み込まれ、最後のケラトプシア類になってしまいました。


下に並ぶのはトリケラトプスと同じ時代のララミディア大陸にはえていた植物の化石です。
つまりトリケラトプスが食べたかもしれない植物。

白亜紀の後期になると被子植物の化石が増え、繁栄をはじめたことがわかります。

ただ、今の植物との関係がわからないものも少なくないということなので、一気に多様化して、絶滅してしまったものも少なくないのかもしれません。
まるでカンブリア爆発のようです。

セコイア・ダコテンシスの球果
裸子植物
球果類
ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

今のセコイアの球果とよく似ています。

トリケラトプスが食べるのには小さいですが、ブドウのようにまとまっていたのなら、食べごたえがあったかもしれません。
セコイア
裸子植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:長居植物園内北 明石植物群北

100mを超える巨木になることで有名。
トリケラトプスも余裕で森の中を歩くことができたでしょう。

この植物園のセコイアはそこまで大きくありませんが幾本も植えられ森になっています。
セコイアの森の中を歩いてみると恐竜の気分を味わえるかもしれません。

メタセコイアの枝
裸子植物
球果類
ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

葉の形や生え方、対生(左右同じ場所から葉が生えること)のところなど、今のメタセコイアにそっくりです。

葉と葉の間隔が開いているようにみえるのは、化石になる前に離れてしまったため?

落葉したものが化石になったのなら、枝に小さな葉がついたまま落ちるところもメタセコイアと同じです。
メタセコイア
裸子植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:中国
展示:長居植物園内北 小池東

葉が上の化石とそっくりです。

数百万年前まで日本にも生えていましたが、その後絶滅しました。

今、日本のあちこちにはえているのは、は中国で見つかったメタセコイアを増やしたものです。
コルノフィルムの葉
被子植物
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

現在のミズキ属の植物と同じように葉の縁にそうように葉脈が走っています。

ミズキ属ならば、ヤマボウシのような花が咲き、甘い実がなっていたかもしれません?
ヤマボウシ
被子植物門 双子葉植物綱 ミズキ目 ミズキ科
産地:日本・朝鮮半島・中国・台湾
展示:長居植物園内中央 ユーカリ北西

花弁のように見えるのは総苞片。

モクレン同様、白亜紀の花は花弁がまだ現れていなかったのでしょうか。

マーストリヒチアン
後期
白亜紀
白亜紀末の大量絶滅
中生代

新生代 6600万年前~現在 哺乳類の繁栄



 白亜紀末の大量絶滅で恐竜は絶滅。

 その後哺乳類が繁栄することで、新生代の動物相は変わってしまいました。

 しかし植物は今もある植物と同じもの、近いものが白亜紀には生えていました。

 化石に残っているくらいですから、決して少なかったわけではないはずです。

 白亜紀末の大量絶滅はもちろん植物にもキカデオイデア類の絶滅など影響があったものの、生き残った植物が少なくないというのは、おもしろいところです。



 「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」はもう終わってしまいますが、植物園の樹木たちはまだまだ残ります。

 会場に行ったけど植物園に行けなかった方も、会場に来られなかった方も、ぜひ長居植物園で恐竜ビオトープを感じてみてください。



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ララミディア大陸編


 トリケラトプスの仲間がいっぱい見られる「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 となりでは特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」が開催中。

 植物園の中にある会場の立地を活かし、化石と一緒に今も生きている恐竜時代の植物を紹介しています。

 恐竜は白亜紀末の大絶滅ですべていなくなってしまいましたが、意外と植物は生き残っていたりします。

 そんな恐竜時代のビオトープを体験できるのが、長居植物園。




会場へ向かう階段




 ということで、会場で紹介されていた化石と、植物園にある化石の親戚や似ている植物を並べてみた第三弾。

 今回はケラトプシア類が多様化したララミディア大陸の白亜紀後期の植物の前編です。



中生代 白亜紀
後期 1億50万年~6600万年前 ケラトプシア類の繁栄

花が咲く被子植物はジュラ紀から白亜紀の間に誕生したと言われています。

初期の被子植物のひとつアルカエアントゥスは花の構造などからモクレンの仲間と考えられています。

つまり、モクレンは初期の被子植物の花の構造を残しているのです。

その特徴の一つがオシベとメシベが渦巻きのように並んでいること。

また花弁(かべん)と萼(がく)の区別がつかないところも初期の花の特徴とされます。

カラタネオガタマ
被子植物門 双子葉植物綱 モクレン目 モクレン科
産地:中国
展示:長居植物園内 大池東 マグノリア園

もうモクレンの花は終わってしまいましたが、同じモクレン科のカラタネオガタマが咲いていました。

確かに近くで見るとメシベが「彡(さん)」のように螺旋(らせん)に並んでいます。

オガタマの花はとても甘い香りがします。

中生代 白亜紀 後期
セノマニアン 1億50万年~9390万年前
ガマズミ属の一種の葉
被子植物
スイカズラ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

見るからに広葉樹の葉。

白亜紀後期になり、被子植物の時代になったことを象徴しているようです。
オオデマリ
被子植物門 双子葉植物綱 マツムシソウ目 スイカズラ科
園芸品種
展示:長居植物園内北 桜園南西

現在のガマズミ属のひとつ、オオデマリ。

アジサイと似ていますが、アジサイはバラ目アジサイ科ですのでちがう植物です。
どちらも目立つ花は装飾花(そうしょくか)とよばれ、種ができない花。

オオデマリは花全体を装飾花にした園芸品種で、野生種はガクアジサイのように周辺だけが装飾花になります。

中生代にすでに装飾花があったのかどうかは、わかりません。

セノマニアン
中生代 白亜紀 後期
チューロニアン 9390万年~8980万年前
ズニケラトプス
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

東アジアで誕生したケラトプシア類が、ララミディア大陸(北アメリカ西部)に渡った最初のケラトプシア類。

プシッタコサウルスよりももっと大きく、頭のフリルも角も大きくなっているので、もっと古い時代にアジア風のケラトプシア類がいたのでは、と想像します。

アロウカリア
裸子植物
ナンヨウスギ科
産地:北海道
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

花を咲かせる被子植物ばかり紹介しましたが、まだまだ裸子植物の球果植物もいます。

シダ類もキカデオイデア類も絶滅はしていませんが、新しく登場した被子植物と球果植物が大半を占めていました。

ナンヨウスギ
球果植物門 マツ綱 マツ目 ナンヨウスギ科
原産:オーストラリア
展示:花と緑と自然の情報センター 入口前 庭園内

現在も生き残っているナンヨウスギ。

枝や葉の雰囲気は化石とちょっとちがうようにも感じますが、生きた状態のまま瞬時に化石になったわけではないでしょうから、まったく同じというわけには行かないのでしょう。

草食恐竜によく好まれた植物だそうですが、今の草食哺乳類にはどうなのでしょうか。

チューロニアン
中生代 白亜紀 後期
コニアシアン 8980万年~8630万年前
コウヨウザン属に近縁なヒノキ科の果実
裸子植物
ヒノキ科
産地:北海道
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

「果実」となっていますが、針葉樹なので球果のことです。
マツで言うと松ぼっくり。

子房や中花被が大きくなった被子植物の果実と違い堅そうですが、植物繊維の塊と考えると、草食動物にとっては美味しい食べ物なのかもしれません。
コウヨウザン
球果植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:中国・台湾
展示:長居植物園内北 渓流東

右は雄花ですから、化石とはちがいます。

スギの仲間らしく樹高が30mを超えるそうですが、ここのはまだ子供、人の背丈をやっと超えたくらいです。

30mになるのはあとどれくらいの時間が必要でしょうか。
コニアシアン
サントニアン 8630万年~8360万年前
カンパニアン 8360万年~7210万年前
中生代 白亜紀 後期
マーストリヒチアン 7210万年~6600万年前



 白亜紀後期になって被子植物が目立ってきました。

 そしていよいよ次回はトリケラトプスのマーストリヒチアンの植物です。



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タグ: 恐竜戦国時代の覇者!Ceratopsia球果植物恐竜ビオトープカラタネオガタマオオデマリズニケラトプスアロウカリアナンヨウスギコウヨウザン

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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ケラトプシア類登場編


 残りわずかの特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 となりでは特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」で恐竜時代の植物化石と、植物園で見られる「生きた化石」の案内も展示されています。




特別展へは外階段ですが「恐竜のエサ」を見るのはこちらから




 恐竜は絶滅してしまって今はいませんが、植物は今も仲間が生き残っているものもあります。

 トリケラトプスを見たあとには、植物園に行って恐竜ビオトープを感じてみるもいいと思います。

 ということで展示されている化石と、植物園で見られる関係する植物を並べてみました。

 そのジュラ紀から白亜紀前期編です。



中生代 2億5217万年~6600万年前
ジュラ紀 2億130万年~1億4500万年前 恐竜の繁栄

古生代には当たり前のようにあった木性シダ類が中生代の展示からなくなり、裸子植物がシダ類を圧倒していったことがわかります。

キカデオイデアの幹
裸子植物
キカデオイデア類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

ソテツによく似た裸子植物。

三畳紀に現れ、白亜紀に絶滅したとこは恐竜と同じです。

ソテツは古生代に現れ、現在まで残っていますので、見た目が似ていてもなにか決定的にちがうものもあったのでしょう。

ザミテスの葉
裸子植物
キカデオイデア類
産地:フランス
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

こちらは別のキカデオイデア類の葉。

幹同様葉もソテツによく似ています。
ソテツ
裸子植物
ソテツ門 ソテツ綱 ソテツ ソテツ科
産地:日本・中国南部
展示:長居植物園 南西 キッチンガーデン北

このように幹も葉もキカデオイデアとよく似ています。

幹や茎の先に細かく別れた葉をつけるのは木製シダ類にも共通しています。

理由はわかりませんが、古生代の後期から中生代の三畳紀には、このスタイルがよかったのでしょうか。
それとも種子植物のように枝が細かく別れた姿は、実は結構難しい進化なのでしょうか。

とはいえ、ソテツ類の化石の展示はなかったので、実はそんなに繁栄してなかったのかもしれません。

それでも2億年以上生き残っているのですから、地味にしぶとい植物のようです。

アロウカリアの球果
裸子植物
球果類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

「球果類」は、今の針葉樹のこと。
つまり、「球果」は松ぼっくり(松笠)。

この頃は今の松ぼっくりよりも大きなものがあり、草食恐竜の食べ物になっていたようです。
ヒマラヤスギ?の球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

針葉樹の球果にはいろいろな形がありますが、ポピュラーなのは松ぼっくりでしょう。

この辺りにはいろいろな種類のマツ科植物が植えられています。
どれのものかわかりませんが、落ちてたところはヒマラヤスギの下だったので、とりあえずヒマラヤスギということに。

先のほうが毛羽立っているのは、動物に食べられたためと思います。
リスかもしれません。

ヒマラヤスギは名前に「スギ」とついていますが、スギではなくマツの仲間です。

イチョウのなかま
裸子植物
イチョウ類
産地:イギリス
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

「イチョウ」というと扇型に広がった葉ですが、このように深い切れ込みの葉もありました。

それだけイチョウの仲間が多様化していたということなのでしょう。
イチョウ
裸子植物門 イチョウ綱 イチョウ目 イチョウ科
産地:中国
展示:長居植物園 北 間氷期植物群付近

ポピュラーな樹木ですが、古生代から生き続ける生きた化石。

にも関わらず今はただ1種しか残っていません。

日本中のいたるところに街路樹として植えられています。
こんなに生える場所を選ばない樹木なのに、どうして衰退したのでしょうか。

中生代 ジュラ紀
前期 2億130万年~1億7410万年前
中期 1億7410万年~1億6350万年前
後期 1億6350万年~1億4500万年前
インロンの成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

最初に登場したケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の恐竜。
室内でも飼えそうな大きさです。

このインロンのおかげで、ケラトプシア類とほかの鳥盤類恐竜の関係が明らかになってきました。

後期
ジュラ紀
中生代
白亜紀 1億4500万年~6600万年前 鳥類の発達
前期 1億4500万年~1億50万年前 鳥盤類の巨大化
プシッタコサウルス成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:モンゴル・中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

白亜紀の前期に登場したケラトプシア類。

まだアジアにいて、体も小さいまま。

手足のバランスからキグルミのようです。


白亜紀になると展示されている植物化石の内、キカデオイデア類も減り、球果植物の量が増えます。
裸子植物の中でも球果類が繁栄していったことがわかります。

クラッソストローブスの雄性球果
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

雄性球果、つまり“オシベ”の塊。

ただ裸子植物には被子植物のような「オシベ」はないので、この言い方は正しくありませんが。

ちょっと小ぶりに見えるのは松ぼっくり(雌性球果)でないから?
ヒマラヤスギの雄性球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

松ぼっくりが大きいヒマラヤスギですから、雄性球果も大きめです。
キュプレッシオクラドゥス
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「ヒノキ科の枝に似た」という意味。

化石ではわかりにくいですが、右のスケッチをみるとたしかにヒノキによく似ています。

ヒノキ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:日本
展示:長居植物園 北 小池北

「針葉樹」という割には針状になっていないのがヒノキの特徴。

ウロコが連なったような形をしています。

エラトクラドゥス・マンチェリカスの枝
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「マツのような枝」。

という割には、あまりマツのようには見えないような。

葉の先がそっていてマツよりもスギのようにも見えます。
ヒマラヤスギ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三紀植物群北西

マツと並べてみると、エラトクラドゥス・マンチェリカスはやっぱりスギの方に近い気がします。
前期
中生代 白亜紀
後期 1億50万年~6600万年前



 予告では被子植物と書いていましたが、都合により次回に。

 次こそは被子植物の花が登場。

 そしていよいよトリケラトプスも!



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ケラトプシア類以前編


 大阪で見られるのも残りわずかになってしまった特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 恐竜展ですが植物化石の展示も見どころです。



 しかし!

 会場があるのは長居植物園の中。
 いろんな植物がいっぱいあるところ。

 恐竜展が植物園とリンクしていないのはもったいない!



 と思っていたら、特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」がはじまりました。

 場所は会場入口のアトリウム。

 展示スペースは小さいものの、無料で化石が見られるのですから、すごいことです。




入り口です。




 特別展はどうしてもケラトプシア類中心ですから、植物の歴史を追い切れないところがあります。

 それをフォローするようにこちらでは古生代から新生代までの展示があります。

 それだけでなく、長居植物園で見ることができる「生きた化石」や「化石の生きた親戚」のマップも用意されています。

 ここや会場で植物化石を見た後は、植物園へ行き「生きた化石」の森に入って中生代のビオトープを想像して、恐竜気分を味わうのもおもしろそうです。

 特別展の入場券で入れますから、行かないほうがもったいない!

 それに、特別展と植物園のカップリングは、他の会場へ巡回していっても見ることができないでしょう!
 きっと。



 ということで、化石と植物園で見ることができる「生きた化石」や「化石の生きた親戚」を並べてみました。

 恐竜時代のビオトープを想像してみましょう。



シルル紀 4億4340万年~4億1920万年前 節足動物の上陸
古生代 5億4100万年~2億5217万年前
デボン紀 4億1920万年~3億5890万年前 昆虫の出現

古生代は生き物にとってとても大きな出来事が連続した時代です。
カンブリア爆発で有名な動物の多様化からはじまります。
現在ある動物の基本的な形がカンブリア紀にできたと言われています。

その後、海で育まれた生き物たちが新天地の陸上へ進出し始めたのがシルル紀。

次のデボン紀で植物や昆虫をはじめとした節足動物たちの多様化がはじまります。

クックソニア
リニア状植物
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

陸上に進出した初期の植物。
今わかっている中で最も古い植物の化石と言われています。

まだ葉がなく、先の丸い部分に胞子が入っています。

スギゴケのような蘚類(せんるい)のコケよりも大きいようですが、まだ水を送る管の維管束(いかんそく)を持っていなかったので、限界近い大きさだったかもしれません。

産地:イギリス


復元模型
デボン紀
デボン紀末の大量絶滅
古生代
石炭紀 3億5890万年~2億9890万年前 爬虫類の出現

石炭紀はその名前の通り石炭がたくさんできた時代です。

石炭は木が腐らずに地面に埋もれて作られます。
つまり、大量の石炭だできるほどの木が茂っていたことになります。

ただその木は、今ではほとんど見ることができなくなった木の様なシダ(木性シダ)です。

同じ森でも近づけば今とはずいぶんちがった様子だったことでしょう。

カラミテス
シダ植物
トクサ類
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!


産地:アメリカ

産地:スペイン
高さ30mにもなった木の様なシダ(木性シダ)。

このような巨大なシダの森があり、それが地面に埋もれて石炭になりました。

石炭紀には二酸化炭素濃度が減りましたが、石炭という形で地面の下に炭素(二酸化炭素)が埋もれたためと言われています。
ということは相当な量の石炭ができたのでしょう。

木のように見えて、ツクシ(スギナ)の仲間です。

プサロニウス
シダ植物
木性シダ
産地:ブラジル
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

見た目は木ですが、断面を見ると木とちがうことがわかります。
水を送る管の維管束が中心に集まり、その周りを根が囲んでいるそうです。

細い茎を根で補強している、ということなのでしょう。

ヒカゲヘゴ
裸子植物
シダ植物門 シダ綱 ヘゴ目 ヘゴ科
産地:琉球列島他
展示:花と緑と自然の情報センター 2階 アトリウム

現在にも生き残る木性シダ。

といっても石炭紀の木性シダほど大きくはなれず、高くても10mを超えるくらいですが。

恐竜気分を味わうには、ちょっと小さいかもしれませんが、見上げることができるシダです。

暖かい地域の植物で、大阪では温室で育てられています。

アトリウムにありますが、期間中はちょっと見にくいかもしれません。

石炭紀
ペルム紀 2億9890万年~2億5217万年前 爬虫類の巨大化
ペルム紀末の大量絶滅
古生代

中生代 2億5217万年~6600万年前
三畳紀 2億5217万年~2億130万年前 恐竜の出現

ペルム紀末の地球最大の大絶滅後に始まったのが中生代三畳紀。

空気中の酸素濃度の低下もあり、陸上の脊椎動物は大打撃を受けたようです。

その低酸素状態に適応するように進化した恐竜が登場しました。

ギンゴイテス
裸子植物
イチョウ類
産地:山口県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

イチョウの仲間。

葉の形がちょっと違いますが、今はたった1種になってしまったイチョウも昔は多様化していました。
イチョウ
裸子植物門 イチョウ綱 イチョウ目 イチョウ科
産地:中国
展示:長居植物園 北部 間氷期植物群付近

今は中国の奥地に1種のみ自生しているだけですが、古生代の後期には出現し、中生代には多様化して繁栄していました。

実はものすごい年季の入った「生きた化石」です。

ナンヨウスギ
裸子植物
球果植物門 ナンヨウスギ科
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!


産地:アルゼンチン

産地:アメリカ
「球果植物(きゅうかしょくぶつ)」というのは、文字のように丸い実をつける裸子植物のこと。

今で言うと、マツやスギなどの針葉樹になります。

断面を見ると、プサロニウスとちがって今の樹木と同じように年輪が見えます。
ということは、季節があったということ?

恐竜はめっちゃ好きだったそうです。

産地:アメリカ
ナンヨウスギ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 ナンヨウスギ科
産地:オーストラリア
展示:花と緑と自然の情報センター 入口前 庭園

同じ名前ということは、同じ種ということ?

そうならいまだに生き残っていたというのはすごい!

イチョウ以上の生きた化石かも。

三畳紀
三畳紀末の大量絶滅
中生代



 今回は今は少数派になってしまったシダと裸子植物でした。

 花が咲く被子植物と、いよいよはじまるケラトプシア時代は次回に!



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で ケラトプシアを並べてみる!


 トリケラトプスの仲間、ケラトプシア類がたくさん展示されている「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」。

 最初は体も小さく、二足歩行もできていたケラトプシア類ですが、体と後頭部のフリルが次第に大きくなり、完全な四足歩行に変わっていく様子が見て取れます。

 といっても、時代と地域に分けて展示されているので会場中に広がっていて、くらべて見にくいところもあります。




会場があるセンター入り口の案内板




 ということで、会場のケラトプシア類の頭部を同じ向きにして並べてみました。



見やすくするために画像の角度などを調整しています。
一部の画像では左右を反転させています。
実物の大きさの比率は反映されていません。
並ぶ順はあくまでおおよその古い順で、時間を正確には反映していません。
また、進化の系統を表していません。




アジア大陸のケラトプシア類 ララミディア大陸のケラトプシア類
ジュラ紀 2億130万~1億4500万年前
最初のケラトプシア類
インロン

ジュラ紀後期 オックスフォーディアン
1億6350万~1億5730万年前
中国 新疆ウイグル自治区
成体復元モデル
ジュラ紀後期のアジア大陸でケラトプシア類は誕生しました。

今の北アメリカ西部にあたるララミディア大陸とアジア大陸は繋がっていなかったので、ケラトプシア類はまだアジアにいました。
白亜紀 1億4500万~6600万年前
ホンシャノサウルス

白亜紀前期 バレミアン-アルビアン
1億2940万~1億50万年前
中国 遼寧省
下顎がないようです
※画像の左右を反転させています。
白亜紀になってもまだアジア大陸とララミディア大陸はつながっていません。
アルバロフォサウルス

白亜紀前期 バレミアン-アルビアン
1億2940万~1億50万年前
石川県 白山市
プシッタコサウルス

白亜紀前期 アプチアン-アルビアン
1億2500万~1億50万年前
モンゴル ドルノゴビ県
アーケオケラトプス

白亜紀前期 アルビアン
1億1300万~1億50万年前
中国 甘粛省
※画像の左右を反転させています。
白亜紀後期 チューロニアン 9390万~8980万年前

アジア大陸と地続きになった現在のベーリング海峡から
ララミディア大陸にケラトプシア類が渡ってくる

ララミディア大陸最古のケラトプシア類
ズニケラトプス

白亜紀後期 チューロニアン
9390万~8980万年前
アメリカ ニューメキシコ州
白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
ララミディア大陸でケラトプシア類の多様化と拡散

「恐竜戦国時代」

ディアブロケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
セントロサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
※画像の左右を反転させています。
スティラコサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
頭部模型
※画像の左右を反転させています。
カスモサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
コスモケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
ユタケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
ナストケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
バガケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
モンゴル
パキリノサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
プロトケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
モンゴル
※画像の左右を反転させています。
コアウイラケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
メキシコ コアウイラ州
※画像の左右を反転させています。

トリケラトプスと同時代の
ケラトプシア類
トロサウルス

白亜紀後期 マーストヒチリアン
7210万~6600万年前
アメリカ サウスダコタ州
下顎がありません
最後のケラトプシア類
トリケラトプス

白亜紀後期 マーストヒチリアン
7210万~6600万年前
アメリカ サウスダコタ州
この化石の名前は「ホーマー」
6600万年前 K/Pg境界の大量絶滅
ケラトプシア類を含む恐竜が絶滅


1/3あたりの白い線がK/Pg境界



 こうして並べてみておもしろいのは、アジアではプロトケラトプスになるまであまり変わらなかったフリルが、ララミディア最初のケラトプシア類のズニケラトプスでもう角と一緒に大きくなっています。

 体も頭も小さかったケラトプシア類がララミディア大陸に渡ったとたん、体とフリルが大きくなったのがわかります。

 そして白亜紀後期のカンパニアンになるとフリルの形の多様化が進み、このままでは無駄が多すぎて絶滅してしまうのでは、と思ったところでトリケラトプスが登場。

 シンプルかつ巨大化戦略でララミディア大陸に広がっていったというのは、とてもおもしろく感じます。




正面から見るとちょっと平べったいトリケラトプス
数千万年も地面に押しつぶされたため?




 それに対してアジアに残ったケラトプシア類はララミディアほどの多様化は見せず、フリルもプロトケラトプスでやっと大きくなったくらい。

 それでも体の大きさはトリケラトプスどころかカスモサウルスほどもありません。
 ライオンどころかオオカミにだってやられてしまいそうです。

 ケラトプシア類にとってなにか都合の良いものがララミディア大陸にはあったのでしょうか。

 それとも、何か偶然がきっかけとなってケラトプシア類の多様化が進む道筋ができたのでしょうか。

 もちろん、すべてのケラトプシア類の化石があるわけではありませんので、展示されているものだけで結論は出せませんが、いろいろ考えると面白そうです。



 会場では、この画像ではわかりにくい歯の変化や前肢(ぜんし)の変化も見ることができます。

 もちろんそれぞれの大きさも。


 ぜひ目で見て確認してみてください。



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タグ: 恐竜戦国時代の覇者!K/Pg境界ケラトプシア類Ceratopsiaインロンディアブロケラトプスセントロサウルスコスモケラトプスユタケラトプスナストケラトプス

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genre : 学問・文化・芸術

特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で でっかいティラノサウルスを見上げる![大阪市立自然史博物館]


 大阪市の南部にある長居公園内の大阪市立自然史博物館で開催れている特別展。

 「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 タイトルにあるようにトリケラトプの恐竜展です。



桜をバックに特別展恒例の幟
桜をバックに特別展恒例の幟




 名前の通り、入り口ででっかいトリケラトプスの頭が迎えてくれます。

 そして数多くのトリケラトプスのご先祖様と親戚たちが、これでもか! これでもか! と並んでいます。

 大きな頭に大きな角。

 重戦車のような強そうなトリケラトプスは圧巻。



ずらっと並んだトリケラトプスの親戚たち
ずらっと並んだトリケラトプスの親戚たち




 それでも恐竜展と言ったら忘れてはならないのが、肉食の恐竜。

 もちろん、います。

 まずはヴェロキラプトル。

 白亜紀後期のカンパニアンの今のモンゴルのあたり出身の獣脚類ドロマエオサウルス科の恐竜。

 ちょうどララミディア大陸でケラトプシア類が多様化していった頃です。

 アジアに残ったケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)のプロトケラトプスと戦った状態で化石になったと言われる「格闘化石」で有名です。

 ただ、今回はありません。

 残念。



意外と小さいヴェロキラプトル
意外と小さいヴェロキラプトル




 しかしヴェロキラプトルはかっこいいですが、ちょっと小さい。

 映画「ジュラシックパーク」シリーズでは人間よりも大きかったのですが、実際は中型犬くらいの大きさ。

 もっと大きな肉食恐竜が見たくなります。

 と思っていると出てくるのがテラトフォネウス。

 知名度は落ちてしまいますが、ティラノサウルス科の獣脚類恐竜。



プチT-Rexって感じのテラトフォネウス
プチT-Rexって感じのテラトフォネウス




 ヴェロキラプトルと同じ白亜紀後期のカンパニアン出身ですが、こちらはケラトプシア類が大きくなっていったララミディア大陸にいました。

 巨大化していったケラトプシア類に合わせてかヴェロキラプトルよりも大きいですが、せいぜいポニーか牛くらいの大きさ。

 当時のケラトプシア類にはもうかなわなかったかもしれません。



 そして後半に登場するのがトリケラトプス本人。

 でっかい!

 ヴェロキラプトルはもちろんのこと、テラトフォネウスでも勝てそうにありません。



人とくらべたらよくわかるでっかいトリケラトプス
人とくらべたらよくわかるでっかいトリケラトプス




 そして、その奥にでっかいのがそびえ立っています!

 そう。

 ティラノサウルス。

 説明の必要がないほど有名な最大級の肉食恐竜。

 恐竜と言ったらティラノサウルス!という人ばかりじゃないかなと思うくらい人気があります。

 しかしここはトリケラトプス展。

 人気のあるティラノサウルスでお客を呼ぼうというのでしょうか?



トリケラトプスを見ているティラノサウルス
トリケラトプスを見ているティラノサウルス




 いえいえそうではありません、と勝手に言ってしまいましょう。

 なぜなら、ティラノサウルスは、白亜紀後期マーストリヒチアンのララミディア大陸出身。
 トリケラトプスと同じです。

 トリケラトプスの化石からティラノサウルスの歯の跡が見つかっていますので、「食べられる-食べる」の関係にあったようです。

 そう、トリケラトプスと並べても違和感がない、いや、並べる意味がある肉食恐竜なのです。

 そしてトリケラトプスに引けを取らない大きさ!



 トリケラトプスのように360°から見ることができる、というわけにはいきませんが、かなりの向きから見ることができます。

 そして、なんと、下から見上げることもできるのです!

 トリケラトプスだけでなくティラのサウルスの見せ方にも凝っています。



でっかいティラノサウルスを見上げる!
でっかいティラノサウルスを見上げる!




 ということで、ティラノサウルスが好きな人にもおすすめできる「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」。

 特に、ティラノサウルスの下にある、化石に残された傷から推測したティラのサウルの「トリケラトプスを食べるときのお食事マナー」はおすすめ!

 なんかいかにも的な力技のお食事マナーがCGで描かれています。

 動画でないのが残念!



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タグ: 恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプスティラノサウルスヴェロキラプトルテラトフォネウス大阪市立自然史博物館裸子植物白亜紀Ceratopsia

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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で 恐竜時代の植物に会う![大阪市立自然史博物館]


 大阪市立自然史博物館ではじまった「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 人気恐竜のトリケラトプスを主人公とした恐竜展です。



南西入り口から真っ直ぐ行くとある案内板
南西入り口から真っ直ぐ行くとある案内板
矢印のように長距離走路右側に歩いていきます。




 今回の展示の特徴の一つに、植物があります。

 恐竜展での植物化石展示は珍しくはありませんが、多くの場合、最後の方で展示されている恐竜と同時代の化石が申し訳程度に展示されているだけ。

 ところが、今回はケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の進化と合わせるように、同時代の同地域か関連のある地域の植物化石が展示されています。

 すごい!



 ケラトプシア類を含む鳥盤類(ちょうばんるい)の恐竜は、恐竜が生きていた中生代の最後の白亜紀に繁栄します。

 この白亜紀は、被子植物(ひししょくぶつ)が誕生した時代でもあります。

 そこで、鳥盤類の繁栄は新しく誕生した被子植物に対応していったため、とも言われています。

 恐竜とはまったく別の生き物ですが、実は恐竜のことを知るために植物は大切なのです。

 動物は動物だけでは生きていけません。

 動物を始めとする様々な生き物が複雑に関係しあってビオトープをつくっているからこそ、動物も生きていけるのです。

 もちろん恐竜も。



額の2本の角よりもフリルが大きくなったカスモサウルス
額の2本の角よりもフリルが大きくなったカスモサウルス




 中生代はペルム紀末の大絶滅の後に恐竜が現れ大繁栄し、白亜紀末の大絶滅で滅んでしまう劇的な時代だったことは有名ですが、植物にとっても繁栄と衰退が繰り返され、入れ替わっていった時代です。

 植物は、水中にいた光合成生物の緑藻(りょくそう)が進化して誕生、今から5億年ほど前の古生代オルドビス紀には陸上で生活するようになっていたようです。

 といって今のコケのように地面に張り付くような小さな植物だったようですが。



 そして地面から吸いあげた水や体で作った栄養を送る管の維管束(いかんそく)を持つシダ植物が現れ、どんどん大型化していきます。

 巨大化したシダ植物は繁栄し、腐らずに地面に埋もれていったものが石炭。

 大繁栄したシダ植物が大気中の炭素(二酸化炭素)を地面に閉じ込めた(石炭になった)ため、二酸化炭素濃度が大きく下がったと言われています。



三畳紀の裸子植物イチョウの仲間のギンゴイテスの葉
三畳紀の裸子植物イチョウの仲間のギンゴイテスの葉




 ただシダ植物は胞子で増えるため乾燥が苦手だったと考えられます。

 現在も乾燥気味のところではシダの種類は少なくなります。
 古生代の後期には種子(しゅし)(タネのこと)で増えることができる裸子植物(らししょくぶつ)が現れ、シダ植物と入れ替わるように繁栄していきます。

 裸子植物は、種子になる胚珠(はいしゅ)がむき出しになっている植物。

 現在では種(しゅ)の数はシダ植物よりもずっと少なく、圧倒的な少数派になっていますが、中生代にはシダに代わって大森林をつくるようになっていたようです。

 裸子植物の中でも特に数が多かったのが球果植物(きゅうかしょくぶつ)。
 今も残っている裸子植物の中では「針葉樹」と呼ばれます。



ジュラ紀の裸子植物(球果植物)アロウカリアの球果
ジュラ紀の裸子植物(球果植物)アロウカリアの球果
これだけ大きいと恐竜も食べてたかもしれません?




 現在の裸子植物は目立つような花は咲かず、種子も実に覆われないものがほとんど。

 受粉は風まかせ、種子も下に落ちるにまかせるという動物を必要としない植物です。

 それに対して受粉や種の拡散に積極的に動物を利用するのが被子植物(ひししょくぶつ)。
 種子になる胚珠が実になる子房に覆われている植物で、目立つ花を咲かせるのも特徴です。

 特に受粉については昆虫を利用するものが数多くあります。

 そこで昆虫も新しく現れた被子植物と共存するために多様化し、被子植物もまた昆虫を利用するために多様化していったとも考えられています。



トリケラトプと同じ時代同じ場所で見つかった被子植物の葉
トリケラトプと同じ時代同じ場所で見つかった被子植物の葉
分類不明だそうですが網目状の葉脈が今の広葉樹とかわりません。




 このように中生代では恐竜だけでなく、植物の種類もいろいろと入れ替わっているいるのです。

 恐竜の出現と繁栄と絶滅という興亡(こうぼう)が中生代という期間に区切られているように、植物の興亡に合わせても時代が区切られています。

 裸子植物が繁栄したペルム紀後期から白亜紀前期までが「中植代」、白亜紀後期から現在に至るまで被子植物が繁栄した時代を「新植代」と呼びます。

 その境目が、白亜紀の前期と後期の間。

 現在の北アメリカの西側に当たるララミディア大陸でケラトプシア類が繁栄を始めた時代が被子植物の時代になります。



ジュラ紀の裸子植物(キカデオイデア類)ザミテスの葉
ジュラ紀の裸子植物(キカデオイデア類)ザミテスの葉
キカデオイデアの仲間は白亜紀末に絶滅していましいまはいません。




白亜紀前期のシダ植物スフェノプテリスの葉
白亜紀前期のシダ植物スフェノプテリスの葉
展示されている数少ないシダ植物の一つ。拡大鏡で見るほど小さい。




白亜紀後期の被子植物コルノフィルムの葉
白亜紀後期の被子植物コルノフィルムの葉
葉脈がミズキ属の葉に似ています。
多くの被子植物の化石が展示されてますがほとんどが白亜紀後期のもの。


葉脈が特徴的な現在のミズキ属ハナミズキの紅葉
葉脈が特徴的な現在のミズキ属ハナミズキの紅葉
※会場では展示されていません。




 ということで、「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」の植物ウオッチングのポイントの一つは、球果植物から被子植物への移り変わり。

 裸子植物の多様化もポイント。

 そして恐竜が生活する中生代のビオトープを想像してみましょう。

 それらをケラトプシア類の変化を合わせてみると、なにか面白い発見があるかもしれません。



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