ネジバナのネジネジを決めるのは一体なんだろう?
蘭なのに雑草のネジバナ。
公園など草刈りがよくされるところに生えます。

ネジバナの特徴は、名前のように小さな花が花茎の上を螺旋(らせん)を描いて並んでいること。
螺旋は、自然界ではよく目にすることで、たとえば巻貝の殻や、フジの蔓(つる)の巻き方などがあります。
螺旋の重要な特徴は、巻の方向が必ずあること。「右巻き」「左巻き」です。
ただ、右から巻くのが右巻きか、右へ巻いていくのが右巻きか、呼び方はとてもややこしかったりします。
それで螺旋を扱う業界では、混乱を避けるためにそれぞれ呼び方を決めています。
植物の蔓が巻くのをイメージして、「S巻」「Z巻」という呼び方がされることもありますが、全体で統一された呼び方はありません。
IWO(いきもの は おもしろい!)では、もっと直感的にわかりやすいように、横から見たときの螺旋の方向を文字の形に見立て「ミ巻(みまき)」「彡巻(さんまき)」としています。

さて、ネジバナの花の巻き方は、ミ巻なのか、彡巻なのか。
それは、両方。
出現する割合は、ほぼ半々と言われています。
IWOでも2014年と2015年に調べてみた結果、たしかにほぼ半々でした。
そこで次に気になるのは、ミ巻彡巻は、どのようにして決まるのか。
同じ株からは毎年同じ巻き方の花が咲くのか。
ところが、ネジバナは多年草ですが、地面に出ている葉のひとかたまり(株)は1年で枯れてしまいます。
花が咲いて実がなると、その株は枯れ、入れ替わるようにとなりから新しい葉が生えてきて、新しい株になります。
地面の下でも古い根は枯れて、新しい根に入れかわります。
毎年新しくなりますが、種を経ないで連続していますので、多年草。
つまり、毎年咲いているのは株が変わっても同じ遺伝子のネジバナです。

それで、同じ鉢に咲くネジバナの巻き方を追ってみると、みごとにばらばら。
この鉢には根の塊を一つしか植えていないので、2株は同じ遺伝子のはず。
種が落ちた可能性もありますが、1年では花は咲かないので、同じ根由来でしょう。
![]() 2016年 ミ―彡 |
![]() 2015年 彡―ミ |
![]() 2014年 彡―彡 |
巻貝やフジの蔓のように螺旋の向きが決まっている生き物は少なくありません。
でも、ネジバナの巻き方は遺伝で決まるのではないようです。
新しい株になると、葉の形などの性質も変わるそうなので、そういう「個性」の細かいところは、なにか外からの要因で決まるのでしょう。
とはいえ、右か左に巻くか決める何かがあるはず。
それが働かなかったのか、時折ねじれないネジバナもありますが。
身近な雑草ですが、なかなか不思議がいっぱいのネジバナです。
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