【 神戸市立森林植物園】

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「自然」とは 身近だけど むずかしい言葉 その2「自然」と「環境」


「しぜん」と「じねん」

 「自然」を考えるときに気をつけないといけないのが、【その1「しぜん」と「じねん」】で書いたように「しぜん」と「じねん」のちがいかもしれません。

 言葉の由来を考えると、「しぜん」という時は「“人間が作ったもの”以外のものとその環境」と考えるほうが合うでしょう。

 しかしこのブログでは「しぜん」の意味は人間の作ったものとそうでないものは分けません。

 たとえば里山のように人間の手が加わっていても、直接管理されない様々な生き物がいるような状況も「しぜん」、つまり「自然」としたいと思います。



「自然」と「環境」

 このように「自然」という言葉は、日本人が持つイメージとちょっと離れた意味を持っています。

 最近「環境保護」のように「環境」という言葉も目立つようになってきました。

 「環境」であれば、人間が作ったものであってもその中に含まれます。

 人間が作った田んぼや里山でも、「環境」と言ってしまえば「自然」よりも意味がはっきりします。

 「環境保護」というような言葉が使われるとき、人間が今ある「環境」を守ることを意味しますが、それは必ずしも人間が現れる前からあった「環境」だけではありません。
 人間が作った「環境」も含まれます。



近畿では自生していないシラカンバの人工林[神戸市立森林植物園]
近畿では自生していないシラカンバの人工林[神戸市立森林植物園]




「環境」を守るということ

 たとえば、最近「環境を守る」として注目を集めている場所に、田んぼや里山があります。
 それらはいろいろな生き物たちの生活の場所となっています。

 しかしどちらも人間が作ったもの。

 田んぼや里山を作るために、元からそこにいたのに追い出された生き物もいっぱいいます。
 なかにはその地域で絶滅してしまった生き物もいるかもしれません。

 そういう意味では田んぼや里山は「環境破壊」の結果という性質もあるかもしれません。

 そんな場所でも「環境保護」と言ってしまうと、追い出された多くの生き物たちのことなど忘れてしまったように感じるのは、気のせいでしょうか。

 なんだか「環境」という言葉は人間にとって都合よく使われているような気もします。



もとに戻せる?

 そんな田んぼや里山の多くは、人間の寿命より長い間続いてきたもの。
 しかも多くの場合広い範囲を占めます。

 そんな場所を元に戻せるのでしょうか。

 それはわかりません。

 まわりに人の手が入っていない環境が残っているのなら、そこから生き物たちが移ってくるかもしれません。

 しかしそういう環境がなければ元に戻ることは難しいしょう。

 自然に任せても、田んぼや里山のままにしても、本来の姿でないのは同じこと。

 どっちの状態を守るのがいいのでしょうか?

 それともなにか「第三の状態」というのがあるのでしょうか。



元からの環境が残されていると思われるブナ林[金剛山山頂付近]
元からの環境が残されていると思われるブナ林[金剛山山頂付近]




環境を維持するということ

 同じ種の生き物であっても、住んでいるところで微妙に特徴がちがうことがよくあります。

 そういう地域的な特徴は、失われると元には戻りません。

 時として田んぼや里山にそういった生き物が住んでいることがあります。

 人間が作った環境であっても、そこに固有の特徴を持つ生き物がいるのであれば、守っていかなければならないと、今は多くの場合考えられています。

 しかし一度人間が手を加えた環境を維持するためには、延々と手を加え続けていかなければなりません。

 めずらしい生き物を守るためとして、自然の移り変わりを人間の力で壊していくことはいいことなのでしょうか。



冴えたやり方は?

 そもそも「こうあるべきだ」というはっきりとした答えはあるのでしょうか。

 どの状態の「しぜん」を守るのか、それともそのまま変化していく「じねん」に任せるのか。

 それは、「環境」」という言葉にごまかされず、一人一人が一つ一つ未来のために考えていかなければならないことのように思えます。

 おそらく、「いかなる時でもこうすべき」という方法はないのだと思います。

 それぞれの状態状況に合わせて、もっともいいと思える方法を取っていかなければならないのが現実でしょう。

 大切なことは、目立つ部分だけに注目するのではなく、できるだけ広い視野で考えていくこと、なのではないでしょうか。



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巨樹・古樹・老樹 その6 神戸市立森林植物園のセコイアメスギ


 巨樹の代名詞にもなっているセコイア。

 アメリカでは樹齢数百年、80メートル近い木々が森をつくっているとか。

 さすがに日本で樹齢数百年のセコイアというのはないでしょうが、日本なりの大きなセコイアというのはあります。



 戦前に開園した神戸市立森林植物園の北アメリカ原産の樹木を揃えた「北アメリカ区」のセコイア。



セコイアメスギ神戸市立森林植物園 2012年5月
セコイアメスギ神戸市立森林植物園 2012年5月




 表記にはセコイアメスギとありますが、セコイアの別名。

 大きいだけでなく、地面に届くように枝を伸ばして葉を茂らせているようすは、まるで人間を近づけたくないようです。

 枝の広がりも大きく、近づくと葉に邪魔されて上のほうが見えなくなります。



離れてみるとセコイアの大きさがわかります
離れてみるとセコイアの大きさがわかります




 セコイアはスギ科セコイア属の常緑の針葉樹。
 セコイア属はこのセコイア1種のみ。

 樹齢は2000年を超えるものもあり、高さも時には100メートルを超えます。
 陸上で垂直に100メートル。生き物としては信じられないくらいの高さの樹木です。

 日本に植えられているセコイアが北アメリカみたいな巨樹の森を作るようになるには、あと何年必要でしょうか。



巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
3.見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
4.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木




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冬の植物園の赤い木の実 落葉樹編


 冬の植物園というと、花が少なく、あっても種類が極端に少なくて一年でも最もさみしい季節かもしれません。

 しかし花が少ないからといって見るものが少ないというわけではありません。

 冬の見るものの一つは、実。
 木になる実です。



 ということで、11月から1月までの冬の間に訪れた冬の植物園で出会った赤い木の実、その落葉樹編です。





高木(樹高が4mを超える木)

ナナカマド
七竈
バラ亜綱 バラ目 バラ科 ナナカマド属
落葉高木

実:長さ7~8mm 球形

花期:5月~7月
分布:北海道~本州~四国~九州の山地から亜高山帯,アジア北東部,

神戸市立森林植物園 2011年11月
名前の由来は「七度(かま)に入れても燃えない」「炭にするためには七度焼かなければならない」などいろいろありますが、燃えにくいことを強調しているものが多いのが特徴。


ワタゲカマツカ
綿毛鎌柄
バラ亜綱 バラ目 バラ科 カマツカ属
落葉高木

実:長さ7~9mm 楕円形

花期:5~6月
分布:北海道~本州~四国~九州,朝鮮半島,中国中南部,台湾,

神戸市立森林植物園 2011年11月
葉や花に白くて柔らかい毛が多い「カマツカ」なのが名前の由来。


サンシュユ
山茱萸
バラ亜綱 ミズキ目 ミズキ科 ミズキ属
落葉高木

実:長さ15~20mm 楕円形

花期:3月~5月
原産地:中国,朝鮮半島,

神戸市立森林植物園 2011年11月
まだ葉が残っている11月は実もまだ瑞々(みずみず)しい。

大阪市立長居植物園 2012年1月
葉もすっかり落ちた1月には実もしわしわ。

ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミとも呼ばれます。





低木(樹高が4m未満の木)

カマツカ
鎌柄
バラ亜綱 バラ目 バラ科 カマツカ属
落葉低木

実:長さ7~9mm 楕円形

花期:4月~5月
分布:北海道~本州~四国~九州,朝鮮半島,中国,

神戸市立森林植物園 2011年11月
折れにくいので(かま)の柄に使われたというのが名前の由来。


ヒメリンゴ
姫林檎
バラ亜綱 バラ目 バラ科 リンゴ属
落葉低木

実:長さ20mm 楕円形

花期:4月~5月
分布:北海道~本州北部?,中国,北東アジア,

花の文化園 2011年12月
見た目は小さいリンゴですが、酸味が強いので食用にされないことも多いようです。


ウメモドキ
梅擬
バラ亜綱 モチノキ目 モチノキ科 モチノキ属
落葉低木

実:直径5mm 球形

花期:5月~7月
分布:本州~四国~九州の落葉広葉樹林,

花の文化園 2011年12月
葉や木の姿が梅に似ていることが名前の由来です。


ガマズミ
莢蒾
キク亜綱 マツムシソウ目 スイカズラ科 ガマズミ属
落葉低木

実:長さ6~7mm 楕円形

花期:5月~6月
分布:日本,朝鮮半島,中国,

花の文化園 2011年12月
日本の山や野で普通に見かける樹木です。


 食用にならない実ばかりですが、バラ科が多いのが目立ちます。

 さすが果物が多いバラ科だけのことはあります。



 樹木を4mを境に高木と低木に分けましたが、4mから8mまでを「亜高木」とすることもあります。

 しかし屋外で4mや8mといわれてもよくわかりません。

 木の枝が広がっている一番外側から木のてっぺんを見るとき、ちょっと視線を上げるだけで見えれば低木、首を大きく動かして見上げなければならなかったら高木。

 木の下に入ることができれば高木、枝や葉にじゃまされて木の下に入れなければ低木。

 なんて目安はいかがでしょう。


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神戸市立森林植物園 紅葉は見ごろです?


 紅葉情報などで見ごろとなっている神戸市立森林植物園へ行ってきました。


 神戸市立森林植物園は、六甲山(ろっこうざん)牧場や六甲高山植物園と同じように六甲山地(ろっこうさんち)にあります。

 ただ山地の西端の方にあり、標高は400メートルくらい。
 最高峰が931メートルなので、半分くらい。

 ですから標高数十メートルからはじまる海側からの六甲山地登山では、比較的楽なのぼりです。

 場所は新神戸駅の近くにある有名な布引の滝の北にあります。
 滝から山を歩いて1時間半くらい。人によってちがいますか。

 もちろん車でもバスでも行くことができます。
 というかそういう人の方が多いでしょう。



 山の中にあるということで、園内は山あり谷あり。
 名前の通り樹木が中心で、植物園よりもハイキングしているみたいです。

 しかし、六甲山にはえていた木をそのまま植物園にしたわけではありません。

 実は江戸時代から明治の中ごろまで、六甲山系は伐採されて地面が露出した山でした。

 そのため大きな水害が起きたこともあり、六甲山系の自然を回復するため広葉樹を中心とした大規模な植林が行われて、現在の六甲山系の姿があります。

 その過程で作られたのが、現在の神戸市立森林植物園です。


登山道直結の森林植物園東門
登山道直結の森林植物園東門
料金所まではしばらく歩きます。
正門はバス停や駐車場のそばです。



 園内には様々な落葉樹が植えられていますが、この日の紅葉ポイントは植物園の南寄りにある長谷池周辺。

 イロハモミジは池のまわりに植えられていて、対岸からも、横からも、そしてモミジの裏からもいろいろな角度で見ることができます。


長谷池の紅葉しているイロハモミジからすかして見る対岸のイロハモミジ
長谷池の紅葉しているイロハモミジからすかして見る対岸のイロハモミジ



 もう一つは、池のほとりの大きなラクウショウ。

 褐葉していますが、まだほんのりと緑が残っているところがきれいです。


長谷池の褐葉しているラクウショウの大木
長谷池の褐葉しているラクウショウの大木



 見ごろは11月20日くらいだそうです。


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タグ: イロハモミジラクウショウ神戸市立森林植物園紅葉褐葉植物園六甲山地六甲山地の植物

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