【 発掘!モンゴル恐竜化石展】

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「発掘! モンゴル恐竜化石展」7000万年前のフィールドサインで恐竜のくらしを発見する!



 残り一ヶ月を切った大阪市立自然史博物館の「発掘! モンゴル恐竜化石展」。



3月からの新入り口にかかっている幕
3月からの新入り口にかかっている幕




 名前の通りモンゴル国の広大なゴビ砂漠で見つかった化石が、恐竜のものを中心にいろいろな化石が展示されています。



「発掘! モンゴル恐竜化石展」の記事をまとめてみるのならこちら

〔発掘!モンゴル恐竜化石展〕



10,000mから見たゴビ砂漠
10,000mから見たゴビ砂漠
*展示されていません




 「化石」といっても恐竜の体の一部分だけではありません。

 生き物が残した「(あと)」も立派な化石です。

 それを「生痕化石(せいこんかせき)」といいます。



 会場で展示されている生痕化石は、足跡(あしあと)

 恐竜の足跡です。
 足跡とそれをつけた恐竜が一緒に見つかることはないので、大きさと形、近くからで見つかっている化石などから推測します。



タルボサウルスのものと思われる足跡凸型化石
タルボサウルスのもの
と思われる足跡凸型化石
タルボサウルスの足の化石
タルボサウルスの足の化石



 展示されているタルボサウルスと思われる足跡化石。

 前の方に指が3本伸びているのは、鳥の足跡に似ています。
 そもそも鳥はタルボサウルスと同じ獣脚類(じゅうきゃくるい)の恐竜から分かれたものと言われていますので、足跡が似ているのも当然かもしれません。



河原に残ったダイサギの足跡(凹型)
河原に残ったダイサギの足跡(凹型)
*展示されていません
「ホネホネたんけん隊」で展示されていたダチョウの足の骨
「ホネホネたんけん隊」で
展示されていたダチョウの足の骨
*展示されていません


 ただよく見ているときれいに3本揃っている鳥とちがって妙に真ん中の指だけが長くなっているように見えます。

 それは指の付け根までを地面に付けないで、指の付け根を浮かせるように歩いていた証拠と考えられています。

 現在のダチョウに似ているそうです。だた、ダチョウの指は2本ですが。

 つまり、タルボサウルスは巨体にもかかわらずダチョウのように走るのが得意だったのかもしれません。



スプリンターだったかもしれないタルボサウルス
スプリンターだったかもしれないタルボサウルス



 ダチョウとタルボサウルスの足跡が似ているのは、鳥と恐竜がとても近い存在だからでしょうか。

 ところが、ダチョウは飛ぶ鳥から分かれた飛ばない鳥。

 ということは、タルボサウルスと似ているのは平行進化、かもしれません。

 もちろんといっても、体の基本的な作りが似ているからこそよく似たのでしょう。



 鳥は今いる生き物の中では、恐竜から分かれたと考えられている唯一の動物です。

 骨格以外にも卵や足跡など鳥と比べてみると、いろいろとおもしろい発見があるかもしれません。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展タルボサウルス化石恐竜フィールドサイン大阪市立自然史博物館ダイサギダチョウ足跡

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「発掘!モンゴル恐竜化石展」大阪名物と思ったら……恐竜のたまご



 モンゴルの恐竜化石の実物がいっぱい展示されている「発掘! モンゴル恐竜化石展」。



3月までの旧展示の会場入口看板
3月までの旧展示の会場入口看板




 会場入口だけでなくチラシがいつの間にかリニューアル。

 裏面を見ると……

 「大阪名物、たこ焼き?」??



展示されている「大阪名物、たこ焼き?」
展示されている「大阪名物、たこ焼き?」




 化石展が開かれている大阪に合わせてモンゴル恐竜型のたこ焼きでも作ったのでしょうか?!

 チラシの写真では恐竜型をしていませんが、たしかにココアパウダーをまぶしたたこ焼きのようです。

 本当にたこ焼き!?

 と思いながらも、すでに実物を見ていますから、これがなにか知っています。



 なんとたこ焼きのように見えたのは、恐竜の卵の化石でした。

 それがたこ焼きのように丸い形のまま固まって化石になったものが展示されているのです。



エクレア風の? 細長い獣脚類の卵
エクレア風の? 細長い獣脚類の卵




 この卵はまるのですがほかにも長細いものなどいろいろ展示されています。

 10メートルをこえる大きさにまで成長する恐竜ですから、卵も人間くらいの大きさ……と想像していましますが、ここにあるのはせいぜいソフトボールよりもちょっと大きいかな、というくらい。

 意外にも小さい卵です。

 ただ、どの恐竜の卵かはっきりとわからないものも多いので、小さな恐竜の卵、という可能性もありますが。



オブラプトルの仲間の胎児の骨も残っている卵の殻
オブラプトルの仲間の胎児の骨も残っている卵の殻
長い骨は足の骨




 ただ、大きくても数十センチ。1メートルをこえるような大きな卵は見つかっていないようですので、小さく生まれて大きく育つのが、恐竜の特徴なのでしょう。

 ほかにも卵の中に残っていた孵化する前の赤ちゃんの化石や、あかちゃん恐竜も展示さているので、小さな卵から生まれた恐竜が大きく育っていく様子も想像できる「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 いつの間にか残り一ヶ月余りになってしまいました。



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タグ: 恐竜の卵発掘!モンゴル恐竜化石展大阪市立自然史博物館恐竜

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「発掘! モンゴル恐竜化石展」装甲恐竜を重装甲にしたのは謎の大恐竜?


 大阪市立自然史博物館で開催中のモンゴル恐竜化石展。

 いろいろな恐竜の化石が展示されていますが、目につくものの一つが鎧竜類(よろいりゅうるい)の恐竜化石。



特別展恒例の会場への階段垂幕
特別展恒例の会場への階段垂幕




 鎧竜類というのは鳥盤目(ちょうばんるい)の四足草食恐竜のグループで、体を(よろい)のような硬い特殊な骨に覆われているのが特徴です。

 鎧竜類で有名なのはアンキロサウルス。
 恐竜もののアニメやヒーロー番組では、脇役ながらも登場するような恐竜です。



 鎧竜類は主に北アメリカや東アジアで化石が見つかっていますが、モンゴル恐竜化石展では4種類の鎧竜類の化石が展示されています。



タルボサウルスと同じ地域で見つかったアンキロサウルス類の尾
タルボサウルスと同じ地域で見つかったアンキロサウルス類の尾
鳥盤目 曲竜下目 アンキロサウルス科
発掘地:ブギンツァフ
年代:白亜紀後期(約7000万年前)




 体が厚い鎧に覆われていたということは、防御するため、それも鋭い歯や爪を持った肉食恐竜からでしょう。

 でも体が大きい鎧竜類を襲えそうな恐竜は、展示されている中ではタルボサウルス1種だけ。



タルボサウルスがいないのに重装甲のサイカニア
タルボサウルスがいないのに重装甲のサイカニア
鳥盤目 曲竜下目 アンキロサウルス科
発掘地:ツグリキンシレ
年代:白亜紀後期(約8000万年前)




 展示されている中では鎧竜類の恐竜のほうが種類が多いのは、ちょっと不思議です。

 しかもタルボサウルスの化石がみつかってない地域のほうが鎧竜類が多いのも不思議。

 背中の厚い装甲(そうこう)と大きな体のおかげで鎧竜類は誰にも襲われなくなって繁栄したのでしょうか?



タルボサウルスがいないので軽装甲のタラルルス
タルボサウルスがいないので軽装甲のタラルルス
鳥盤目 曲竜下目 アンキロサウルス科
発掘地:バイシンツァフ
年代:白亜紀後期(約9000万年前)




 でも、草食の動物だけが繁栄するとも考えません。
 それに襲うものがいないのなら装甲も薄くなるでしょう。

 それに生きていた動物がすべて化石になるわけではありませんし、見つかった化石すべてが並べられてるわけでもないでしょう。

 ということは、きっと鎧竜類の厚い装甲を破ることができる、タルボサウルスに匹敵するかそれ以上の肉食恐竜が、モンゴルの大地の下に眠っているにちがいありません?



子供なので装甲が発達していないピナコサウルス
子供なので装甲が発達していないピナコサウルス
鳥盤目 曲竜下目 アンキロサウルス科
発掘地:ツグリキンシレ
年代:白亜紀後期(約8000万年前)




 恐竜というとついつい大きさや形に興味がいってしまいますが、実際に地球にいた生き物です。

 ですからいろいろな生き物と食べるものと食べられるものの関係にあります。

 そういった関係を考えながら化石を見ると、想像している恐竜がよりいっそう生き生きとしてくるかもしれません。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展鎧竜類アンキロサウルスサイカニアタラルルスピナコサウルス大阪市立自然史博物館恐竜化石

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「発掘! モンゴル恐竜化石展」恐竜だけでなく植物も戦っていた?


 モンゴルの恐竜の化石がいっぱい展示されている大阪市立自然史博物館の「発掘! モンゴル恐竜化石展」。



花と緑と自然の情報センターの門の看板
花と緑と自然の情報センターの
門の看板

 生き物として恐竜を見るとき、恐竜が生きていた環境を知るということも大切です。

 たとえば植物などの化石は昔の環境を知る助けになります。

 「発掘! モンゴル恐竜化石展」でも、多くはありませんが植物の化石も展示されています。




 まずはモンゴルのマンライから発掘された今から1億4000万年前の中生代(ちゅうせいだい)白亜紀(はくあき)前期の植物化石。

 当時、そこは湖だったようで、周辺から流れてきたものが湖の底に泥と一緒にたまり、酸素の少ない状態で微生物に分解されることもなく化石になったものでしょう。




 展示されているものは裸子植物の化石が目立ちます。

 裸子植物(らししょくぶつ)というのは種になる部分(種子(しゅし))がむき出し(裸)になっているのが特徴です。

 恐竜と同じように中生代に繁栄し、恐竜とちがって絶滅しなかったものの、すごく種類を減らしてしまいました。

 それとは反対に恐竜絶滅後に繁栄したのが雌蕊(めしべ)の根元の部分が種をくるんだ被子植物(ひししょくぶつ)です。



裸子植物の枝の化石
裸子植物の枝の化石
白亜紀の終わりに絶滅した裸子植物ベネチテス目の葉の化石
白亜紀の終わりに絶滅した裸子植物
ベネチテス目の葉の化石



 今も残っている裸子植物といえば針葉樹(しんようじゅ)
 松や杉などです。

 身近に生えているので衰退したようには思えませんが、目にする針葉樹の多くは人間が植えたもの。

 自然の状態では、多くの種類が乾燥したところや栄養の乏しいところ、寒いところのように環境が厳しいところによく生えています。




 針葉樹以外ではイチョウやソテツなどがあります。

 どちらもそれほど珍しい植物ではありませんが、ソテツは日本では南九州や南西諸島・小笠原諸島など暖かいところにしか自生していません。

 イチョウにいたっては中国の南部の山にただ1種が自生しているだけで、日本のイチョウはそれを増やしたものです。

 現在、裸子植物は約750種あると言われていますが、被子植物は24万種。
 なんと裸子植物の種の数は被子植物の種の数の1/320です。
 恐竜がいた中生代とはまったく逆の状態です。



ソテツの仲間の葉の化石その1
ソテツの仲間の葉の化石その1
ソテツの仲間の葉の化石その2
ソテツの仲間の葉の化石その2



 被子植物は裸子植物より遅れて中生代ジュラ紀ころに登場したと考えられています。

 陸上で植物が生える「場所(ニッチ)」は、すでにシダ植物を圧倒した裸子植物に覆われ、被子植物は隙間で細々と生えていたことでしょう。

 白亜紀前期のマンライの地層からは、裸子植物が多く被子植物はわずかしかみつかっていないそうです。

 展示も被子植物もシダ植物も少なく、裸子植物が圧倒しています。



被子植物の葉の化石
被子植物の葉の化石
シダ植物の葉の化石
シダ植物の葉の化石



 そしてバイシンツァフの9000万年前の白亜紀後期のコーナー。

 オルニトミムス類やテリジノサウルスの仲間など恐竜の化石に混じって、カメやスポンなど水辺にすむ爬虫類の化石も展示されています。

 ここで展示されているのが広葉樹の葉の化石。

 広葉樹は葉が広い被子植物の木のこと。
 イチョウのように裸子植物でも葉が広いものもありますが、普通は被子植物の樹木のことを指します。

 白亜紀の後期は被子植物が裸子植物に対抗して繁栄をはじめた時期と考えられています。

 恐竜も鳥脚類(ちょうきゃくるい)の恐竜が繁栄しますが、それも被子植物を食べるようになったから、ともいわれています。

 ここでも広葉樹の葉の化石と一緒に鳥脚類の原始的なハドロサウルスの仲間の化石が展示されています。



広葉樹の葉の化石
広葉樹の葉の化石
ハドロサウルスの仲間の化石
ハドロサウルスの仲間の化石



 古生代の後期に現れた裸子植物が中生代にシダ植物の「場所」を奪い、新生代に被子植物に「場所」を奪われます。

 そして被子植物が陸地を覆い尽くしているのが今。

 少ない点数の植物化石ですが、じっくり見ていると、恐竜のこともいろいろわかってくるかもしれません。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展ハドロサウルスソテツシダ化石中生代裸子植物被子植物

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「発掘! モンゴル恐竜化石展」タルボコタルボ 小さなタルボサウルスも立って待っています。〈大阪市立自然史博物館〉



 大阪市立自然史博物館で行われている「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 2012年12月22日から子供のタルボサウルス(()タルボ)の生きていた時の姿勢を化石で復元したものが展示されています。

 ちょうど大人のタルボサウルス((おお)タルボ)と並んでいるので、比べてみることもできます。

花と緑と自然の情報センター直前の看板
花と緑と自然の情報センター
直前の看板



 会場入ってすぐのところに石に埋もれた小タルボの化石があります。
 これは見つかった時の状態をかたどった産状(さんじょう)レプリカです。

 体の80%の部分が残っていたとても貴重な化石です。

 この小タルボを組み立てたものが新たに展示に加わったのです。



小タルボの産状レプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
小タルボの産状レプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 産状レプリカの隣にはこの小タルボの実物の頭の化石が置かれています。
 その先には大人のタルボサウルス、大タルボの化石があるので比べてみると、ちょっと違和感を感じます。

 鼻先が(とが)り気味で鳥のクチバシのような感じ、どちらかというとヴェロキラプトルのようなドロマエオサウルス科に近いような気がします。

 それに対して大タルボはティラノサウルスの仲間らしく長方形で肉食哺乳類の口のように力強さを感じます。



スマートな小タルボの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」
スマートな小タルボの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」

力強そうな大タルボの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」
力強そうな大タルボの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」

とんがったヴェロキラプトルの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」
とんがったヴェロキラプトルの頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 この自然史博物館で去年の3月からやっていた「新説・恐竜の成長」では同じ恐竜でも大人と子供でちがう恐竜と思われるほどちがっていたことが展示されていました。

 ですから見た目がちょっと違っていても、共通している部分があります。

 例えば頭の骨にはいくつか穴が並んでいますが、小タルボも大タルボもその一番後ろ(側頭窓(そくとうそう))が「B」のような形になっています。
 これはティラノサウルス科の特徴です。

 でもこれだけだと小型のティラノサウルス科の恐竜の可能性もあります。

 ところが、このこタルボには子供恐竜の特徴があるので、モンゴルのティラノサウルス科の子供の恐竜、つまりタルボサウルスの子供だということがわかったのです。

 詳しくは博物館でじっくり確認できます。



新登場の小タルボ復元骨格「発掘! モンゴル恐竜化石展」
新登場の小タルボ復元骨格「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 新しい小タルボは最後のコーナー。
 腹ばい大タルボの前にちょこんと立っています。

 同じポーズではありませんが、その大きさの違いはひと目で分かります。
 確かにいきなりこの2つを見せられたら、ちがう種類の恐竜と思ってしまうでしょう。

 この小タルボは2歳。

 ではこの大タルボはいったい何歳なのでしょうか?

 生まれてたった2年で人間くらいの大きさになるですから、意外と若いのかもしれません。



タルボコタルボ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
タルボコタルボ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
※画像スライドできます ⇒⇒




 ほかにも会場にはいろいろな化石が展示されています。

 実物もたくさんあります。

 実物をじっくり観察してみると、研究者も見落としていた新しい発見があるかもしれません?



 気になる人は、さあ、急げ!



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展大阪市立自然史博物館タルボサウルス小タルボ大タルボヴェロキラプトル恐竜

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ヴェロキラプトルと一緒なのはティラノサウルス……じゃなかったタルボサウルス!「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


会場まで直進の看板
会場まで直進の看板
 中生代白亜紀末のモンゴルにいたティラノサウルス科の恐竜、タルボサウルスだらけの「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 実は、ヴェロキラプトルだらけだったりもします。



 ヴェロキラプトルはタルボサウルスと同じように中生代のモンゴルにいた、人間よりちょっと小さいくらいの肉食恐竜。

 ただ、体を地面と並行にするT字立ちの状態だと、人間よりも背が低くなり、ほっそりした体は体重も軽そうに見えます。

 しかし鋭い歯が並んだ大きな口、ナイフのような爪がはえた長い手や足などを見ていると、人間よりもずっと強そう。



全身復元されたヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
全身復元されたヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
足元はプロトケラトプス




 映画「ジュラシック・パーク」シリーズでは大型肉食恐竜から逃れるために入った建物の中で人間を追いかけ、ティラノサウルスやスピノサウルス以上に恐怖を煽る存在として登場します。

 あれ?

 ヴェロキラプトルと一緒に映画に出ていたのはタルボサウルスじゃなくて、ティラノサウルス。
 これはどういうこと?



翼竜を食べたまま化石になったヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜を食べたまま化石になったヴェロキラプトル
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜の骨はお腹の中に




 それは。

 「ジュラシック・パーク」はSF作家マイクル・クライトンさんの小説をスティーヴン・スピルバーグさんが監督した作品で、現代に中生代の恐竜を蘇らせた話。
 つまり、創作。

 ですから映画に登場する恐竜は、生きていた時代も場所もばらばら。
 タイムマシンがあって中世代に戻ることができたとしても、映画のようなシーンは見ることができないのです。

 もう一つ加えるのならヴェロキラプトルは現在は羽毛恐竜と考えられることが多く、復元された姿はやたらスマートで体のバランスが妙で飛べなさそうな鳥といった感じで、「ジュラシック・パーク」のものとはまったく違っています。

 もちろん大きさもあんなに大きくありません。



プロトケラトプスと格闘しながら化石になったヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
プロトケラトプスと格闘しながら化石になったヴェロキラプトル
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
手前で横になっているのがヴェロキラプトルで奥の塊がプロトケラトプス




 会場ではヴェロキラプトルとタルボサウルスが並ぶことはありませんが、プロトケラトプスの体に爪を突き立てている格闘化石など、小型の肉食恐竜らしさ満載。

 ただ残念なのは、実物大で生きていた時の姿を復元したものがないこと。
 小さい絵はありますが。

 会場でヴェロキラプトルを見ても、「ジュラシック・パーク」は思いださないようにしたほうがいいかもしれません。

 少なくとも会場から出るまでは。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展ヴェロキラプトルプロトケラトプス恐竜大阪市立自然史博物館格闘化石ジュラシック・パーク

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おっと忘れちゃいけないサウロロフスの復元化石骨格もど~んとあります。「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


 タルボサウルスやベロキラプトルのことばかり書いていますがほかの恐竜もいます。

 目立つのはやっぱりサウロロフス。
 タルボサウルスと同じ時代の草食恐竜です。

 大きさもタルボサウルスと同じくらい。



ネイチャーホールと植物園の分岐点にある看板
ネイチャーホールと植物園の分岐点にある看板




 特徴はなんといっても頭のとさか。

 といっても化石に残るだけのしっかりとした骨があるのですから角のほうが近いのでしょうか。

 でも後ろ向きなので、ウシやサイの角のような役割は果たしそうにありません。

 昔は水中に潜った時に呼吸するためのシュノーケルだったと言われたことがありますが、ちょっと無理がある説明だったのか、今では今はメスにモテるために膨らませたとか、音を出すために使ったとか言われています。



結構大きいサウロロフス「発掘! モンゴル恐竜化石展」
結構大きいサウロロフス「発掘! モンゴル恐竜化石展」
※画像スライドできます ⇒⇒



サウロロフスの向かいのタルボサウルス「発掘! モンゴル恐竜化石展」
サウロロフスの向かいの
タルボサウルス
「発掘! モンゴル恐竜化石展」

 さすがにこれだけ大きくなるとヴェロキラプトルに襲われて食べられることはなかったと思いますが、同じくらいの大きさのタルボサウルスには食べられたようです。

 タルボサウルスがあれだけ大きくなれたのも、大きなサウロロフスがいたからかもしれません。

 またはサウロロフスが大きくなったからタルボサウルスも大きくなった。
 それともタルボサウルスが大きくなったから簡単に襲われないようにサウロロフスも大きくなった。

 それとも他の理由?



 大きなサウロロフスとタルボサウルスを眺めていると、いろいろ想像が膨らみます。



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