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〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

一口に「サル」といいますが。人間に近いサル編

 大阪の天王寺動物園にいるサルを見てきました。
 多くの哺乳類と同じように世界が2色のサルと、人間と同じように世界が3色のサル
 そして今回は、人間に近いサル。

 「サル」は生物の分類で言えば「脊索動物門 哺乳綱 霊長目」の動物の総称。
 そして人間を生物学的に分類すれば、「脊索動物門 哺乳綱 霊長目」の「ヒト科 ヒト属」。
 「サル」と同じです。
 でも、なぜか普通「サル」には含まれません。

 生物学の分類には「科」の段階から人間を表す「ヒト」が現れます。
 もちろん、そこにも多くの「サル」が含まれます。
 そんな人間に近いサルたちです。

霊長目
曲鼻猿亜目 原始的なグループでほとんどが夜行性
 
直鼻猿亜目 進化したグループでほとんどが昼行性で平爪だけ
広鼻下目 2色しか見分けられなく南米に生息
 
狭鼻下目 3色を見分けることができユーラシアやアフリカに生息
オナガザル上科
 
ヒト上科
テナガザル科 フクロテナガザル属

フクロテナガザル Symphalangus syndactylus

分布:マレー半島~スマトラ島

フクロテナガザル

山地の森林地帯に住みます。
名前のように足よりも手が長く、手で木にぶら下がって移動。
でも、足の力も強く遠くの木へ飛び移ることもできます。

 
ヒト科

オランウータン Pongo

オランウータン亜科 オランウータン属
分布:スマトラ島~ボルネオ島

スマトラオランウータン(Pongo abelii)とボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)の2種。
現在、天王寺動物園にはいません。

ゴリラ Gorilla

ヒト亜科 ゴリラ族 ゴリラ属
分布:中央アフリカ

ニシゴリラ(Gorilla gorilla)とヒガシゴリラ(Gorilla beringei)の2種。
現在、天王寺動物園にはいません。

チンパンジー Pan troglodytes

ヒト亜科 ヒト族 チンパンジー亜族 チンパンジー属
分布:西~中央アフリカ

チンパンジー

遺伝子解析からおよそ500万年前に人間と分かれたとされ、今いる動物の中では最も人間に近い。
脳も人間に近いようで、言葉を理解し手話が使えるという話もあります。
ただ、喉や口の構造から人間のように言葉を話すことはできないようです。

ヒト Homo sapiens

ヒト亜科 ヒト族 ヒト亜族 ヒト属
分布:地球~近縁宙域

営業中の天王寺動物園にもっともたくさんいる霊長類。
このようにサルととても近い動物。
というか、完全にサルの一部です。

 哺乳類が登場したのは三畳紀で恐竜とほとんどかわりませんが、霊長類が登場したのは白亜紀末ごろ。
 人間につながる直鼻亜目は恐竜が滅亡してから。
 そこから人間が登場するのに1億年もかかっていません。
 恐竜は誕生から1億年たっても、人間のように進化することはありませんでした。

 でも、薄い酸素に対応したり、陸上で巨大化したり、色も4原色を感じることができたりとどれも霊長類以上の能力。
 どう考えても優れているのは恐竜の方。
 優れているという意味を持つ、「“霊”長類」に違和感があります。
 脳の発達という点では、確かに優れているかもしれませんが。

 体が優れた恐竜と、脳が優れた霊長類の差。
 いろいろな理由が考えられますが、基本的には、原始的な段階で、恐竜は身体機能を発達させる素地を、霊長類は脳を発達させる素地を整えていたのかもしれません。
 つまり、恐竜が1億年かけても人間にならなかったように、霊長類は1億年かけても恐竜のように体を発達させて多様化はできないような気がします。
 やっぱり「霊長類」という呼び名は、ふさわしいとは思えません。

■参考外部リンク■
天王寺動物園HOMEPAGE


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タグ: フクロテナガザルチンパンジー天王寺動物園ヒト科

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一口に「サル」といいますが。世界が3色のサル編

 申年最初の記事では、古いタイプ、夜行性時代の哺乳類の特徴が残った2色しか感じない目を持ったサル(霊長類)を紹介しました。
 今度は、人間と同じように3色を感じる目を持ったサルです。

 赤・緑・青と人間が感じることができない紫外線の4色の光を感じる目を持った脊椎動物の中で、なぜが哺乳類だけが赤と青の2色だけしか感じることができません。
 ところが、哺乳類である人間は赤・緑・青の3色の光を感じることができます。
 それは緑を感じる細胞が新しくできたためと考えられています。

 そんな3色を感じることができるサル、もちろん大阪市の天王寺動物園のサルたちです。

霊長目
曲鼻猿亜目 原始的なグループでほとんどが夜行性
 
直鼻猿亜目 進化したグループでほとんどが昼行性で平爪だけ
広鼻下目 2色しか見分けられなく南米に生息
 
狭鼻下目 3色を見分けることができユーラシアやアフリカに生息
オナガザル科
オナガザル属

サバンナモンキー Cercopithecus aethiops

分布:アフリカ中部~南部

森に住む猿が多い中でサバンナに住むちょっとかわったサル。

ブラッザグエノン Cercopithecus neglectus

分布:アフリカ中央部

森林の水辺に住み、地上を走ったり泳いだりできるちょっとすごいサル。

霊長目 直鼻猿亜目 狭鼻下目 オナガザル科
マカク属

ニホンザル Macaca fuscata

分布:本州~九州(日本固有種)
唯一の日本在来種のサルで、固有種。
さらに最も高緯度地域に住むサル。
雪が積もるところに住む唯一のサル?
尾が短いですが、オナガザル科。
現在、天王寺動物園にはいません。

ブタオザル Macaca nemestrina

分布:インドシナ~スマトラ~ボルネオ

低地から標高2000メートル位までの森林に住む。
ヤシの実を取らせるなど家畜としても飼われる。

シシオザル Macaca silenus

分布:インド

高地の森林に済み、滅多に地上に下りません。

カニクイザル Macaca fascicularis

分布:東南アジア

海から河川や湖沼周辺の森林に住みます。
水辺を好むだけあって泳ぎは得意。

霊長目 直鼻猿亜目 狭鼻下目 オナガザル科
マンドリル属

マンドリル Mandrillus sphinx

分布:中央アフリカ

森林に住みますが、オスは地上で生活します。

ドリル Mandrillus leucophaeus

分布:アフリカ西部

森林地帯に住みます。
主に地上で活動し、夜は樹上で休みます。

霊長目 直鼻猿亜目 狭鼻下目 オナガザル科
ラングール属

フランソワルトン Trachypithecus francoisi

分布:中国南部~ベトナム北部

森林地帯に住む。
樹上で生活し、昼間行動します。

 動物の進化の基本的なルールの一つに、進化の過程でなくしてしまったものは取り戻せないというものがあります。
 たとえば、水中に住む魚が陸上に住む爬虫類や哺乳類に進化していく過程でエラや多くのヒレをなくしました。
 爬虫類や哺乳類で水中に戻った生き物はたくさんいますが、どれも魚と同じエラやヒレを取り戻すことはできませんでした。
 イルカの背ビレは、形は魚のものと似ていますが、全くちがうつくりになっています。
 魚のヒレに似せてつくったものなのです。

 そう考えると、失った2色の内1色だけでも取り戻したのは奇跡のルール違反のようにも思えます。
 でも、これはなくしたのではなく、緑と“紫外色”を感じる視細胞をつくる遺伝子がちょっと休んでいただけなのかもしれません。
 色を感じる細胞自体は失っていませんから。
 ですから、もしかしたら未来には紫外線を感じるサルが現れるかもしれません?

 ということで、人間に近いサルは次回に。

■参考外部リンク■
天王寺動物園HOMEPAGE


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タグ: サバンナモンキーブラッザグエノンブタオザルシシオザルカニクイザルマンドリルドリルフランソワルトン天王寺動物園

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一口に「サル」といいますが。世界が2色のサル編

 2016年最初の記事は恒例の干支テーマ。

 今年は申(さる)年。
 「サル」は哺乳類の霊長目(サル目)の動物です。
 霊長目の「霊」という字には、「幽霊」や「霊魂」のように不思議な存在というよく使う意味と、優れていることを表すあまり使わない意味も持ちます。
 「霊長目」「霊長類」では、優れているという意味で使われているようです。

 ということは哺乳綱(哺乳類)で最も優れているのでしょうか。
 空をとぶ能力ではもちろん一番ではありません。
 地面の上を走る能力も一番ではありません。
 泳ぐ能力も一番ではありません。
 強さでも一番ではないでしょう。
 ふしぎです。

箕面公園のニホンザル

 それどころか、体のつくりは哺乳類の基本的な形を残していると言われます。
 ということは、結構普通な哺乳類が霊長類なのかもしれません。
 ということで、いろんなサルを見に天王寺動物園に行ってきました。
 天王寺動物園には全部で14種とたくさんの霊長類がいます。
 まずは古い霊長類と言われる仲間から。

 哺乳類の古い姿を残していると言われる曲鼻猿亜目。
 そして新しい姿と言われる真猿亜目の中の広鼻下目。
 この二つのサルの共通する特徴の一つが、目の細胞が赤と青の2色しか感じないこと。
 つまり、赤と青を混ぜた色しか見えないのです。

100周年の天王寺動物園

 爬虫類や鳥類など脊椎動物の多くは、赤・緑・青と人間には見えない“紫(紫外線)”の4色を感じることができます。
 同じ先祖を持っているわけですから、哺乳類も4色感じられなければ変です。
 どうして2色になったのでしょうか。
 古い時代の哺乳類はとても弱く、恐竜を恐れて夜に活動していました。
 色彩がない夜に活動していたので、感じる色が2色に減ってしまいました。
 その古い哺乳類が多様化したのが、今の哺乳類と考えられています。

 しかし、ちょっと疑問を感じます。
 同じ霊長類の人間は3色を感じることができます。
 変です。
 不思議ですがそれは次回。
 まずは2色しか感じられない霊長類から。

霊長目
曲鼻猿亜目 原始的なグループでほとんどが夜行性
ロリス下目
ロリス科

レッサースローロリス Nycticebus pygmaeus

スローロリス属
分布:ベトナム~ラオス~カンボジア

 小さく木の上に住んで夜行性という古い霊長類の特徴を残していると言われるサル。
 数も少なく分布も限られます。

 体が小さく夜行性というのは、霊長類だけでなく哺乳類の古い形。
 霊長類が古いタイプの哺乳類の特徴を残している証拠のひとつなのかもしれません。
 「霊長類」という呼び名も返上しなければならなりません。

天王寺動物園では、夜行性の動物を集めた夜行性動物舎にいますので、なかなかきれいに写せません。

霊長目 曲鼻猿亜目
キツネザル下目
キツネザル上科
キツネザル科

エリマキキツネザル Varecia variegata

エリマキキツネザル属
分布:マダガスカル島

体が小さく夜行性というのが曲鼻猿亜目の特徴ですが、体は小さくなく昼間動きまわるなどかわっています。
マダガスカル島に渡って適応したと言われています。

時間がたてば、真猿亜目のようにもっと多様化しているかもしれません。

霊長目
直鼻猿亜目 進化したグループでほとんどが昼行性で平爪だけ
広鼻下目 2色しか見分けられなく南米に生息
オマキザル科

フサオマキザル Cebus apella

オマキザル属
分布:南アメリカ

曲鼻猿亜目よりも進化したグループと言われるグループですが、広鼻下目は多くの哺乳類と同じように2色しか見分けることができません。

そういう意味では、曲鼻猿亜目と同じ古いタイプの霊長類と言えるかもしれません。

 申年ということで、サル、つまり霊長類を見なおしてみると、意外と「霊長」ではないような気がしてきました。
 人間と同じように3色を感じることができるサルは、次回に。

■参考外部リンク■
天王寺動物園HOMEPAGE

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