【 格闘化石】

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ヴェロキラプトルと一緒なのはティラノサウルス……じゃなかったタルボサウルス!「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


会場まで直進の看板
会場まで直進の看板
 中生代白亜紀末のモンゴルにいたティラノサウルス科の恐竜、タルボサウルスだらけの「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 実は、ヴェロキラプトルだらけだったりもします。



 ヴェロキラプトルはタルボサウルスと同じように中生代のモンゴルにいた、人間よりちょっと小さいくらいの肉食恐竜。

 ただ、体を地面と並行にするT字立ちの状態だと、人間よりも背が低くなり、ほっそりした体は体重も軽そうに見えます。

 しかし鋭い歯が並んだ大きな口、ナイフのような爪がはえた長い手や足などを見ていると、人間よりもずっと強そう。



全身復元されたヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
全身復元されたヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
足元はプロトケラトプス




 映画「ジュラシック・パーク」シリーズでは大型肉食恐竜から逃れるために入った建物の中で人間を追いかけ、ティラノサウルスやスピノサウルス以上に恐怖を煽る存在として登場します。

 あれ?

 ヴェロキラプトルと一緒に映画に出ていたのはタルボサウルスじゃなくて、ティラノサウルス。
 これはどういうこと?



翼竜を食べたまま化石になったヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜を食べたまま化石になったヴェロキラプトル
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜の骨はお腹の中に




 それは。

 「ジュラシック・パーク」はSF作家マイクル・クライトンさんの小説をスティーヴン・スピルバーグさんが監督した作品で、現代に中生代の恐竜を蘇らせた話。
 つまり、創作。

 ですから映画に登場する恐竜は、生きていた時代も場所もばらばら。
 タイムマシンがあって中世代に戻ることができたとしても、映画のようなシーンは見ることができないのです。

 もう一つ加えるのならヴェロキラプトルは現在は羽毛恐竜と考えられることが多く、復元された姿はやたらスマートで体のバランスが妙で飛べなさそうな鳥といった感じで、「ジュラシック・パーク」のものとはまったく違っています。

 もちろん大きさもあんなに大きくありません。



プロトケラトプスと格闘しながら化石になったヴェロキラプトル「発掘! モンゴル恐竜化石展」
プロトケラトプスと格闘しながら化石になったヴェロキラプトル
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
手前で横になっているのがヴェロキラプトルで奥の塊がプロトケラトプス




 会場ではヴェロキラプトルとタルボサウルスが並ぶことはありませんが、プロトケラトプスの体に爪を突き立てている格闘化石など、小型の肉食恐竜らしさ満載。

 ただ残念なのは、実物大で生きていた時の姿を復元したものがないこと。
 小さい絵はありますが。

 会場でヴェロキラプトルを見ても、「ジュラシック・パーク」は思いださないようにしたほうがいいかもしれません。

 少なくとも会場から出るまでは。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展ヴェロキラプトルプロトケラトプス恐竜大阪市立自然史博物館格闘化石ジュラシック・パーク

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ヴェロキラプトルの掘り出した化石を見てみると想像ふくらむ「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


 2012年11月23日からはじまった長居公園の大阪市立自然史博物館の特別展「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 この特別展のすごいところの一つは、いろいろな状態の化石が展示されていること。
 組み立てて復元したものから発掘した時の状態のものまで。



長居公園にある「発掘! モンゴル恐竜化石展」会場まで500mの看板
長居公園にある「発掘! モンゴル恐竜化石展」会場まで500mの看板




 博物館の化石というと、体中の骨を組み合わせて生きていた時のようにポーズを付けて展示されるイメージが強いかもしれません。
 たしかに大型恐竜などでそういう展示をするとよく目立ちます。

 「発掘! モンゴル恐竜化石展」でもタルボサウルスが2体もあるほかサウロロフスやサイカニアなどいろいろな恐竜が生きていた時の格好で展示されています。



もしかして一番有名なモンゴル恐竜?のヴェロキラプトルのレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
もしかして一番有名なモンゴル恐竜?のヴェロキラプトルのレプリカ
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 岩石の中から化石を取り出す作業のことを「クリーニング」、クリーニング作業をする技術者のことを「プレパレーター」と言います。

 プレパレーターが化石を取り出すことで研究者が調べることができ、私たちが見ることができるのです。

 でも、見つかった化石がすべてばらばらにクリーニングされ、組み立てられるわけではありません。

 なかには石に閉じ込められていた状態の化石がわかるようにクリーニングされたものもあります。
 まとまって見つかった化石の場合、骨のつながりがわかったりといろいろ貴重な情報があるのです。



翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
真ん中辺りの肋骨(ろっこつ)でも背骨でもない化石が翼竜の骨のようです。




 翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物化石。

 重なったヴェロキラプトルの肋骨や翼竜の骨をどのようにして見極めて取り出していったのでしょうか。

 おかげでヴェロキラプトルが翼竜を食べていたらしいことがわかります。

 すごい!



有名なヴェロキラプトルとプロトケラトプスの格闘化石のレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
有名なヴェロキラプトルとプロトケラトプスの格闘化石のレプリカ
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 有名なプロトケラトプスとヴェロキラプトルが格闘している状態で化石になったもの。

 ヴェロキラプトルが横倒しにされてプロトケラトプスがのしかかろうとしているようですが、まるでひとつの生き物のように複雑に重なっているので、何がなんやらよくわかりません。

 まずヴェロキラプトルの足の爪がプロトケラトプスの首のあたりに食い込んでいます。
 そしてプロトケラトプスがヴェロキラプトルの右手に噛み付いています。
 最後にヴェロキラプトルの左手がプロトケラトプスの頭の襟飾(えりかざ)りにかかっているようです。



格闘化石のレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
ヴェロキラプトルの足の爪がプロトケラトプスの首のあたりに食い込み
プロトケラトプスがヴェロキラプトルの右手に噛み付き
ヴェロキラプトルの左手がプロトケラトプスの頭の襟飾りにかかっている




 体に鋭くて長い爪が当たっているようなのでヴェロキーポイントが高そうですが、押し倒しているのでプロトケラーポイントのほうが高そう。
 それにこの状態ではプロトケラトプスがヴェロキラプトルに襲いかかっているように見えます。

 恐竜総合格闘技については素人なのでどちらが勝っているのか見当もつきませんが、このまま化石になったということで、時間切れ引き分け、でしょうか。

 しかし格闘したまま化石になる確率は限りなく「0」に近いような気もします。
 でも別々の死骸がこういう形で化石になる確率も限りなく「0」に近いように思います。

 一体どちらが真実なんだろう、と思いを巡らすことができるのもきれいにクリーニングしてあるからでしょう。



喉元に鉤爪が食い込んでいるように見える格闘化石「発掘! モンゴル恐竜化石展」
喉元に鉤爪が食い込んでいるように見える格闘化石
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 このように恐竜の研究は、多くの人の知識と技術、知恵と工夫によって支えられているのです。

 大昔のモンゴルを歩き回っていた恐竜の姿を思い描くのもいいですが、数千万年の時間と格闘する現在の化石技術者が石の中から見つけ出したものと思って見ると面白い発見がある、かもしれません。



 ちなみに、会場では全身復元された翼竜の展示はありませんが、自然史博物館常設の第2展示室には翼竜プテラノドンの復元骨格が展示されています。




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アジア版ティラノサウルスのタルボサウルスが吠える?「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


 2012年11月23日からはじまる大阪市立自然史博物館の特別展「発掘! モンゴル恐竜化石展」~ゴビ砂漠の恐竜化石はなぜ古生物学者を惹きつけてやまないのか?~。

 その内覧会にブロガー招待で参加しました。



長居公園南西入り口の特別展の看板
長居公園南西入り口の特別展の看板




 今回の特別展はゴビ砂漠、つまりモンゴル国で発掘された恐竜を中心とした化石が展示されています。

 モンゴルは有名な恐竜化石産地の一つです。

 そのモンゴルと日本の共同調査20年の成果がギュっと詰められているようです。



 この「モンゴル恐竜展」を一言で無理やり表してみると。

 「タルボサウルス!」

 タルボサウルスはティラノサウルス科の恐竜です。

 ティラノサウルス科は、もちろん「T.rex」こと中生代白亜紀末期の北アメリカにいたティラノサウルスが属している科です。

 つまり、簡単に言うとアジアのティラノサウルスです。
 専門家に怒られるかもしれませんが。



乱杭歯を剥きだして吠えている?タルボサウルス「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉
乱杭歯を剥きだして吠えている?タルボサウルス
「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉




 タルボサウルスは中生代白亜紀後期、つまりティラノサウルスとほぼ同じ時代の東アジアにいた肉食恐竜。
 大きさも12メートルとティラノサウルスと変わらない大きさです。

 見た目もそっくりで、専門家でなければ同じ恐竜に見えるかもしれません。

 「両雄並び立たず」の言葉通り、同じ場所に同じものを食べて同じ生活を行う生き物は1種しか生きられないというルールがあります。

 タルボサウルスとティラノサウルスは今と同じように海で隔てられたアジアと北アメリカに住み分け、それぞれの場所で最大級の肉食恐竜となったのでしょう。



下に置かれたタルボサウルス頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉
下に置かれたタルボサウルス頭
「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉




 今回も恐竜・古生物復元模型作家の徳川広和さんの話を聞くことができました。
 「発掘! モンゴル恐竜化石展」オリジナルのタルボサウルス・フィギュアをデザインされた方です。

 徳川さんはからは今回の恐竜展のすごいところを色々と教えてもらいました。

 たとえば百数十点もの展示があるなか、レプリカが13点しかないということ。
 これは恐竜展としてはものすごく少なく、つまり本物の化石ばかり展示されているわけです。

 さらに(しゅ)の基本的な標本となる「タイプ標本」が10点以上。
 これもふつうにはないこと。

 そういうことも含めて展示されているものの質の高さも並大抵ではないそうです。

 実はわからないところでそんなすご展示だったのです!


徳川広和さんのブログ
:ふらぎ雑記帳 <恐竜・古生物模型作品ギャラリー・ブログ>




 もちろん展示されているのはタルボサウルスだけではありません。

 ほんの一部を紹介すると。


プロトケラトプスとヴェロキラプトルの格闘化石
プロトケラトプスとヴェロキラプトルの
格闘化石
サウロロフス
サウロロフス
サイカニア
サイカニア
プロトケラトプス成体
プロトケラトプス成体


 残りはまた別の記事に。



 「発掘! モンゴル恐竜化石展」はなんと2013年6月2日まで半年以上続きます。

 しかしまだまだとのんびりしているといつの間にか終わってしまって……
 なんてことになってしまうかもしれません。

 気になる人は、さあ、長居公園へ急げ!



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