干し柿をちょっと長くゆでてみると 干し柿2014
完全に季節外れになってしまいましたが、干し柿の話です。
毎年冬に干し柿を作っていますが、もちろんこの冬もつくりました。
毎年テーマがありますが、今年は“ゆでる”。
渋柿の皮をむいてから消毒も兼ねていつもゆでますが、それは15秒ほど。
それをもうちょっと長くゆでることにしました。
3分。
中心まで十分熱が伝わるとは思いませんが、表面は「火が通る」くらいかもしれません。
15秒煮沸![]() |
3分煮沸![]() |
そのまま![]() |
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3分ゆでたのは色が黒くなっています。 今年ももまないで自然にまかせています。 |
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大分干し柿らしくなってきたので味見してみました。 ゆでた方は渋みが残っていましたが、ゆでてない方は渋みが抜けていました。 |
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どちらも渋みは抜けました。 味はゆでた方があっさりしているように感じましたが、そんなに差はありません。 |
というわけで2014年の結果。
ゆでると渋が抜けるのが少し遅れますが、水分が抜けるのが早い。
ちょうど、揉んだときと同じような感じです。
柿が渋いのは、タンニンという物質が含まれるため。
柿のタンニンは特に「カキタンニン」と呼ばれます。
柿が渋いのはタンニンが舌や口の中のタンパク質と結びついてその刺激が「渋味」になるため。
干し柿にして渋くなくなるのは、タンニンがたくさんくっついて水にとけなくなり、口の中のタンパク質と結びつかなくなるため。
柿のタンニンがなくなるのではないのです。
柿のタンニンをまとめる働きをするのがアセトアルデヒド。
アセドアルデヒドは低い温度で沸騰し、逃げていってしまいます。
ということは、3分ゆでている間に逃げていって、そのため渋みが抜けるのが遅かったのでしょうか。
ところが、柿のアセドアルデヒドは柿の実が酸素呼吸をしなくなって作られるもので、もともと渋柿にはないものです。
ということで、アセドアルデヒドとゆでることの関係はなさそう。
むしろゆでるほうが柿の実の呼吸を止めることになりそうです。
ということで、ゆでた柿の渋みが抜けるのが遅かったのは、単に「個体差」だったのかもしれません。
柿のアセドアルデヒドは2015年の宿題、かな。

タグ: 干し柿 渋柿 柿 タンニン カキタンニン アセトアルデヒド

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