【 春日山原始林】

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世界遺産の山からにじみだした水の中の小さな小さなキノコたち 春日山原始林のカンムリダケ


 世界遺産の奈良の春日山。

 千数百年の歴史を持つ都市の隣にある原始林として特別天然記念物に指定されています。

 残念ながら原始林の多くは春日大社の神域として立ち入りが禁止されていますが、その周囲をめぐるように春日山遊歩道が整備されています。

 遊歩道は山腹を削るようにしてつくられ、奈良奥山ドライブウェイとつなげる予定だったのか、車が通れるような広くて平らな道になっています。



 遊歩道の南側、能登川沿いには別にトレッキング道があります。

 旧柳生街道、東海自然歩道の一部にもなっている滝坂の道です。

 遊歩道とちがってここは登山の雰囲気が楽しめます。



春日山の滝坂の道
春日山の滝坂の道




 去年のゴールデンウイークの頃、滝坂の道を歩いていました。

 春日山の南東、首切地蔵休憩舎に近づいた頃、広がった道の脇で奇妙なものをみました。

 斜面から湧きだした水がたまっているところで、沈んでいる杉やいろいろな落ち葉になにか小さなものがはえています。

 高さは1センチか2センチくらい。

 白い軸の先がマッチのように黄色く太くなっています。

 キノコというよりもカビか変形菌(粘菌)のようです。

 こういう何かわからないような知らない生き物を調べるのは大変。

 結局調べられず、そのままになっていました。



春日山の滝坂の道で出会った小さなキノコ?
春日山の滝坂の道で出会った小さなキノコ?




 そして偶然、ヒント到来。

 再び調べてみたら、わかりました。

 カンムリタケ。

 子嚢菌のキノコです。



カンムリタケ(冠茸)
菌界 子嚢菌門 テングノメシガイ綱 テングノメシガイ目
 テングノメシガイ科 カンムリタケ属



 山などの湧き水の流れの中に落ち葉に生えるキノコで、珍しい種類のようです。

 たしかにこんな小さなキノコ。
 水たまりのような浅くて強い流れのないところでなければ育たないでしょう。

 そんなキノコを見ることができた春日山。



カンムリタケが生えている様子
カンムリタケが生えている様子




 観光地にあって行きやすいためか、多くの人が通り過ぎますが、みんな気づきません。

 小さい珍しいいきもの、そしてかわいいいきもの。

 カンムリタケに出会うことができてよかった、と思います。



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タグ: カンムリタケキノコ春日山原始林滝坂の道春日山遊歩道春日山原始林の生き物東海自然歩道奈良公園

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山でヘビに出会いました。一度に2種類も


 東海自然歩道。
 大阪の箕面(みのお)と東京の八王子(はちおうじ)を結ぶ長距離自然歩道です。
 その奈良県部分は、春日山(かすがやま)原始林を通ります。



この記事にはヘビの画像があります。




 並行している春日奥山遊歩道は春日山の山腹に、車が走れるように広く平らにならされた林道。

 東海自然歩道は川沿いにぐにゃぐにゃでこぼこの歩道が続いています。
 この部分の東海自然歩道は、剣豪柳生(やぎゅう)十兵衛(じゅうべえ)で有名な柳生の里まで続く柳生街道。

 遊歩道とはまた違った趣です。



柳生街道の東海自然歩道
柳生街道の東海自然歩道




 道の端を流れる水の近くを動くものが。

 ヘビです。

 陰になっていて見えにくいですが、なんだか黄色か黄緑色のようです。

 どんなヘビだろうと家に帰って調べてみると、ピタリと合うヘビは見つかりません。

 いろいろとヘビの画像を見ていると、どうやらヤマカガシ(山楝蛇)のようです。



ヤマカガシ(山楝蛇)

ナミヘビ科 ヤマカガシ属
好む環境:低地から山地,水辺,
日本での分布:本州,四国,九州,※日本固有種

多分水辺が好きなヤマカガシ
多分水辺が好きなヤマカガシ
猛毒動物 最強5025位
毒の投与形態噴出,噛みつき,
※毒牙は口の奥にあり、毒が注入されることは稀。
 首から噴出される毒は50cmも飛ぶことがあり、目に入ったり粘膜に触れると危険。



 ヤマカガシというと、黒地に黄色と赤が散った日本のヘビとしては派手な色です。

 ただ色の変異が多く、必ずしもこの取り合わせではないようです。

 よく見ると、ヤマカガシ標準型から赤を取って黒を薄くすると……
 という感じです。

 腹が黄色いタイプは近畿地方でよく見かけるタイプだそうです。



多分ヤマカガシの頭
多分ヤマカガシの頭




 しばらく歩いていくと谷から水が染み出してくる所に別のヘビが。

 こちらを意識しつつも逃げる素振りは見せずマイペースで進んでいます。

 それほど大きくなく、また長くもありません。

 背中には黒っぽい小判型の模様。

 そう、マムシです。

 ただ日本での学問的な名前は「ニホンマムシ(日本蝮)」。
 図鑑などの索引で調べるときは「マ行」ではなく「ナ行」になります。



ニホンマムシ(日本蝮)

クサリヘビ科 マムシ属
好む環境:低地から山地の水辺や湿気の多い所,
日本での分布:北海道,本州,四国,九州,※日本固有種

コケの上のニホンマムシ
コケの上のニホンマムシ
猛毒動物 最強5035位
毒の投与形態噛みつき,



 マムシというと北海道から九州までは恐ろしい毒蛇として有名です。

 と言っても自分から人間を襲いに来ることはなく、不意に間近で出会って驚かさなければ、()みつかれることはそうあることではないようです。
 ということで、しばらく写真を撮った後は、そのままどこかへ行きました。



結構こわいニホンマムシの頭
結構こわいニホンマムシの頭




 こんな短い間に2種類の蛇と出会うとは、流石へび年です。

 どちらも毒蛇ですが、日本には人間を食べるヘビはいません。

 つまり、ヘビが人間に噛みつくのは自分を守るため。
 無理やりつかまえようとしなければ、向こうから噛み付きにやってくることはめったに無いそうです。

 ですから、道端でヘビを見かけても近づかず、怖がらずにそっとその場を離れるのが一番のようです。



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イモリだって外を歩いてみたい! 春日山原始林のアカハライモリ


 10月末、紅葉にはまだ早い時期の奈良市の春日山(かすがやま)原始林。

 原始林のまわりにある春日山遊歩道を歩いていると、排水用のコンクリートの溝にへばりついている黒いトカゲが。

 いや、コンクリートの垂直の壁にへばりついているのでヤモリでしょうか。



この記事にはイモリの画像があります。





春日山原始林
春日山原始林




 珍しいと思い、手にとって見ると体の表面は鱗はなくザラッとした感じ。
 トカゲじゃなくてヤモリっぽい感じですが、目はヤモリのように大きくなく違和感があります。



コンクリートにへばりつく黒いヤモリ?
コンクリートにへばりつく黒いヤモリ?




 体をひっくり返してみると、オレンジ色。

 まるでアカハライモリ(赤腹井守)です。



おなかがオレンジ色のアカハライモリ?
おなかがオレンジ色のアカハライモリ?




 しかしイモリは両生類。
 水の中に住んでいます。

 ところがこの黒くてオレンジ色の生き物がいたのは乾いたコンクリートの壁。

 水のないところで体も乾いています。

 トカゲもヤモリも陸上で生活する爬虫類。
 イモリは水辺から離れられない両生類。

 するとこの黒オレンジの生き物は爬虫類に進化しつつある両生類新種イモリなのでしょうか。



 日本の本州に住むイモリはアカハライモリの一種だけ。

 アカハライモリは生まれたときはエラがあって水の中でないと生きることができません。
 しかし成長してエラがなくなり大人と同じ体になると、水辺から離れてミミズや昆虫などを食べる生活をするそうです。

 出会ったのは大人(成体)になる前の子供(幼体)のアカハライモリなのかもしれません。



この角度で見るとなかなかカッコいいアカハライモリ
この角度で見るとなかなかカッコいいアカハライモリ




 ちなみに、イモリを触ると手が腫れる、と言われることもありますが、実際体の表面には毒があるそうです。

 黒い背中と対照的な赤い腹は毒を持っていることを知らせる警告色(警戒色)と考えられています。

 毒はフグとおなじテトロドトキシン。

 触るだけでは問題ありません。
 ただイモリを触った手でつかんだものを食べたり、粘膜、例えば目をこすったりすると体の中に入るかもしれないので危険です。

 注意しましょう。



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巨樹・古樹・老樹 その12 奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミ


 奈良の春日大社(かすがたいしゃ)の後ろ側、若草山の右隣りにこんもりとしたあまり大きくない山があります。

 いくつかの小さな山がありますが、それらをまとめて「春日山(かすがやま)」と呼ばれています。

 長いあいだ春日大社の神域として大切に守られてきました。
 そのため多くの人が生活する都市の隣にありながら原生林(原始林)となっています。

 ということで特別天然記念物に指定されています。

 そして世界遺産でもありますが、こちらのほうは奈良の寺院群などと一緒になった「自然遺産」ではなく「文化遺産」です。



遊歩道から見た春日山原始林
遊歩道から見た春日山原始林




 今回も「巨樹に親しむ会」の『奈良公園の巨樹』をもとにしています。

 春日山にはぐるりと囲むように道が整備されています。

 その「春日山遊歩道」の北側、遊歩道の入り口からしばらく行って車止めから100mほど行ったところにまっすぐ天をつくように木が生えています。

 モミ(樅)の木です。



 そのような木は遊歩道のあちこちに生えていますが、遊歩道の木の切れ間の谷側にまっすぐ立っているので、目立ちます。

 『奈良公園の巨樹』の405番のモミを探そうとして、出会ったのはこのモミ(樅)の木。
 はじめはの405番のモミだと思っていたのですが、帰ってから地図で確認してみると、少し場所がずれているようなので、どうやらの405番モミではないようです。

 とはいえ、齢を重ねた立派なモミなのはまちがいないでしょう。



奈良公園春日山原始林の405番近くのモミ(2012年10月)
奈良公園春日山原始林の405番近くのモミ(2012年10月)




 モミは針葉樹。
 針葉樹といっても松のような針型ではなく、少し平たく細長い形をしています。
 同じような葉の木にカヤがありますが、葉の先が別れているのがモミの特徴です。

 下に落ちている葉をひろってみるとなんと先が二股に分かれていません。

 年老いたモミの木の葉は先が丸まってくるといいます。

 大きさからもわかるようにこの木は長い間ここに立っているようようです。



奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミの葉
奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミの葉

比叡山の若いモミの葉
比叡山の若いモミの葉




 モミは日本ではクリスマスツリーとして有名です。
 ですからとがった円錐形の形でイメージされることが多いでしょう。

 葉や枝を落としクリスマスツリーには程遠い形は、原生林の中多くの木々と戦って勝ち残った証なのかもしれません。



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秋の終わりと奈良公園のルリセンチコガネのおやすみ


 そろそろ糞虫の季節も終わったかなと、今年は遅めの10月下旬に行った奈良公園。



この記事にはコガネムシの画像があります。





若草山山頂付近から見た晩秋の天然記念物春日山原始林
若草山山頂付近から見た晩秋の天然記念物春日山原始林




 国立博物館近くの日当たりの良い芝の上では、相変わらずエンマコガネが鹿の糞の中にもぐりこんでいました。

 そして糞虫シーズンにはよくルリセンチコガネ(るり色のオオセンチコガネ)を見かける飛火野の林の中では、1匹も見かけることはありませんでした。



鹿苑近くで出会った晩秋のルリセンチコガネ
鹿苑近くで出会った晩秋のルリセンチコガネ




 そこで春にルリセンチコガネを何匹も見かけた鹿苑のまわりへ行ってみると、やっと1匹。

 そのあと行った春日山遊歩道で1匹。

 この日はたった2匹でした。



春日山遊歩道で出会った晩秋のルリセンチコガネ
春日山遊歩道で出会った晩秋のルリセンチコガネ




 10月下旬の奈良公園。

 秋と一緒にセンチコガネの季節も終わりのようです。



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