狭山池博物館「樹木年輪と古代の気候変動」樹木は地球環境の鏡だったとは!
日本一古いダムとか溜池とか言われる狭山池。
となりには博物館があります。
大阪府立狭山池博物館。
1600年の歴史を持つ狭山池。
たび重なる改修の土木技術について、主に考古学的視点で展示されています。
一体どこが入り口なのかわからない博物館

令和元年度特別展「樹木年輪と古代の気候変動」。
樹木の年輪から気候の変動の様子を知ることができるのです。

木は1年ごとに年輪という輪が刻みます。
その輪の数を数えれば木の年齢(切った幹や枝の年齢)を知ることができます。
ところが、それだけではないのです。

年輪は毎年同じ割合で増えているのではありません。
間隔が開いているときもあれば、狭いときもあります。
木の成長が良かったときには幅が広く、成長が良くなかったときには狭くなります。
成長を左右する原因はいろいろありますが、基本となるのは気候。

その年の気温が高くなると幅が広くなり、低くなると狭くなります。
といっても、成長が変わるのは気温だけではありません。
隣に大きな木があり日陰になれば、気候に関係なく成長も悪くなります。
それに、緯度や標高のちがいでも、差が出ます。
ところが、針葉樹で地域差があまりない種類があることがわかりました。
その木を使えば、生えていた場所に関係なく、時代をさかのぼって気候の変動を知ることができます。
切った時期がはっきりしている現代の樹木からはじまり、遺跡などから見つかった針葉樹の年輪パターンを合わせていき、それをつなぎ合わせてより古い時代に遡ることもできるようになってきました。

また年輪付近の組織に残っている同位体炭素や同位体酸素の比率や量によって当時の気温などを推定できるようになったのです。
特に酸素の同位体比は、樹種や地域によらず広い範囲で共通することから、年輪と合わせてその年の気候を知る手がかりになります。
博物館の展示はその年代測定に利用された輪切りの木や木製の出土物など。
また、年代推定に使われる様々な考古学的出土物もいろいろとあります。
ほかにも、湖の底に溜まった堆積物の年縞や、古墳から出土した土器など、過去の年代を推定するための考古学関係のものなどいろいろ展示されています。

特別展示室は大きなコンビニ2軒程度で決して広くありませんが、博物館を含め入場料無料で見ることができます。
しかも図録が340円というわけのわからない値段です。
もちろん、コピーの薄い本ではなく、カラー印刷された普通の図録です。
ちょっと読みにくいところがありますが、マンガ雑誌程度の値段で読めるのですから、すごい。
この2千年ほどでも気候の変動は激しく、温暖化も寒冷化も繰り返し起きていることがわかります。
この年輪パターンを合わせていく方法はまだ数千年ほどしか遡れないようですが、それでもとても興味深いことを教えてくれます。
■参考外部リンク■
令和元年度特別展 樹木年輪と古代の気候変動
大阪府立狭山池博物館

タグ: 樹木年輪と古代の気候変動 狭山池博物館 年輪

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