二十四節気「啓蟄」の初候「蟄虫啓戸」と末候「菜虫化蝶」
3月にはいると春の真ん中、春分を前に虫たちが動き始める「啓蟄」になります。
「啓蟄」は立春から3つ目の節気。
よみは「けいちつ」。
暖かくなってきたので“土の中にこもっていた(蟄)”虫たちが、“穴を開いて(啓)”出てくる。という意味。
春らしい二十四節気です。
この記事には虫の画像があります。

啓蟄の次候は「桃始笑(もも はじめて わらう)」
2013年は3月下旬が見頃だった花桃「ほうき性花桃(長居公園)」。
今年はまだ桃の花は見ていません。
今年はまだ桃の花は見ていません。
啓蟄の期間は3つの七十二項に分けられます。
その一つ目、初候は「蟄虫啓戸」。
よみは「かくれたるむし とをひらく」「ちっちゅう こをひらく」「すごもりむし とをひらく」など。
意味は基本的に啓蟄と同じ、暖かくなってきたので冬ごもりしていた出てくるとような意味です。

フクジュソウの花に集まってきた啓蟄のコバエ(ちはや園地)
ハナバエ科のタネバエ?
受粉のためにこういった虫があつまるようにパラボラアンテナのような花で太陽の光を花の中心に集めると言われています。
受粉のためにこういった虫があつまるようにパラボラアンテナのような花で太陽の光を花の中心に集めると言われています。
ただし、IWO(いきもの は おもしろい!)では、「啓」と「蟄」の位置がちがうことからこう解釈をしています。
「啓蟄」は「(暖かくなってきた気候“が”)こもっていた虫“を”開放する」。
「蟄虫啓戸」は「(暖かくなってきたので)こもっていた虫“が”出口を開く」。
それぞれ視点がちがいます。
「啓蟄」は、虫が出てきたくなるほど暖かくなってきた気候が中心。
「蟄虫啓戸」は暖かくなってきので出てきた虫が中心。
そう解釈すれば、啓蟄の中にもう一つの虫の候「菜虫化蝶」が含まれることも納得できます。
冬ごもりしていた虫も出てくるほど暖かくなったので、チョウも羽化しはじめるのです。

モンシロチョウに似ているキタキチョウの秋型(天野街道)
キタキチョウは秋に羽化した成虫(秋型)で越冬します。
冬越しが大変だったようで翅(はね)が傷んでいます。
冬越しが大変だったようで翅(はね)が傷んでいます。
啓蟄の末候の「菜虫化蝶」。
よみは「なむし ちょうとけす」「なむし ちょうとなる」。
「なむし」は「菜虫」、モンシロチョウの幼虫のアオムシのこと。
それが羽化してモンシロチョウになるということです。
まだまだ寒い日がある3月。
見かけるチョウは成虫のまま越冬してきたものばかり。
「菜虫化蝶」よりも「蟄虫啓戸」の方がしっくりします。

成虫で越冬するテングチョウ(近つ飛鳥風土記の丘)
翅が欠けているようですがこれがこのチョウの特徴です。
モンシロチョウはまだ見ていません。
モンシロチョウはまだ見ていません。
ところがモンシロチョウは蛹で越冬して、3月には羽化を始めるのです。
七十二候は二十四節気と同じように中国由来ですが、「菜虫化蝶」は日本オリジナル。
江戸前期の天文暦学者の渋川春海(しぶかわ はるみ)さんが1685年に日本に合うように改正した貞享暦(じょうきょうれき)に使われてから続いています。
渋川春海さんは宇宙をみる天文暦学者でしたが、足下の生き物たちもじっくりと観察する学者だったのかもしれません。

タグ: 啓蟄 蟄虫啓戸 桃始笑 菜虫化蝶 渋川春海 二十四節気 七十二候 ほうき性花桃 タネバエ テングチョウ

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