【 初冬の高野山】

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2012年のセンチコガネ・オオセンチコガネのまとめ その3 高野山(紀伊山地北部)


 紅葉真っ盛りの11月の高野山。

 寺院群を囲む巡礼の道の女人道(にょにんみち)を歩いているとき、出会いました。

 オオセンチコガネに。



この記事にはコガネムシ動物のフンの画像があります。





高野山の女人道から見た紀伊山地の山々
高野山の女人道から見た紀伊山地の山々




 近くに哺乳動物のものと思われる(ふん)がありました。

 みるみる地面をはって近づいていきます。

 そしてかぶりつき。



 さっきまでいた大門の近くにある電光掲示板には「10℃」。

 木が伐採された南向き斜面で日が当たっているとはいえ、昆虫にとっては体を動かすのもつらそうなこんな温度でも、食欲の前には障壁にならないようです。

 奈良公園が鹿の糞だらけにならないのも、こんなセンチコガネのおかげなのかもしれません。

 少なくとも春から初冬のまでの間は。



糞にかぶりつくオオセンチコガネ
糞にかぶりつくオオセンチコガネ




 体長2センチ前後のオオセンチコガネから推測して糞の幅は2センチほど。
 ホンドテン(本土貂)には大きすぎ、タヌキ(狸)には小さすぎ。

 ということで、ニホンアナグマ(日本穴熊)かハクビシン(白鼻芯)ではないかと思います。

 最終的には出会ったのが和歌山なので日本在来種のニホンアナグマ、ということにしておきましょう。



うんちへ急ぐオオセンチコガネ
うんちへ急ぐオオセンチコガネ
(ルリセンチコガネ)
オオセンチコガネが食べていたニホンアナグマ?のうんち
オオセンチコガネが食べていた
ニホンアナグマ?のうんち



 六甲山地にはセンチコガネ、金剛山地・和泉山脈もセンチコガネ、奈良公園はオオセンチコガネばかり目立ちます。

 そして高野山はオオセンチコガネ。

 金剛山や和泉山脈でオオセンチコガネを見たことがないのと同じように、高野山ではセンチコガネを見たことがありません。

 ということで、大阪周辺の山々ではセンチコガネとオオセンチコガネはなぜだか住み分けているようです。


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2012年の初冬も高野山のハナワラビでした


 春と秋、年に2回高野山へ行きますが、秋の楽しみの一つはハナワラビ(花蕨)。

 名前の通り“花が咲く”ワラビです。



 と書くと「ええ?!」と思う人もいるでしょう。

 ワラビはシダ植物です。

 シダ植物は花を咲かせず種もできない植物で、胞子(ほうし)で増えていきます。

 ということは、シダに似た花を咲かせる植物なのでしょうか。

 いいえ、ハナワラビはシダ植物です。



高野山のオオハナワラビ
高野山のオオハナワラビ




 秋から冬にかけて葉と別に胞子(ほうし)がつまった袋(胞子嚢(ほうしのう))をいっぱいつけた柄を伸ばします。

 金色の胞子嚢をいっぱいつけた様子は、まるで花が咲いてるよう。

 「ハナワラビ」という名前に納得できます。



高野山のオオハナワラビの“花”
高野山のオオハナワラビの“花”




 高野山の花ワラビポイントは奥の院。
 特に歴史の教科書に出てくるような大名家の墓碑(ぼひ)が並んでいるあたり。

 ここでは毎秋ハナワラビを見かけます。



 なかでもハナワラビが多いのが薩摩藩の島津家の墓碑。
 金色の胞子嚢をいっぱいつけたハナワラビがいっぱい咲いています。

 ハナワラビにはいくつか種類がありますが、よく似ているのはオオハナワラビ(大花蕨)とフユノハナワラビ(冬の花蕨)。

 ここのは葉の切れ込み(鋸歯(きょし))が細かくいっぱいあるのでオオハナワラビのようです。



高野山のオオハナワラビ 高野山のオオハナワラビ
六甲山のフユノハナワラビ
六甲山のフユノハナワラビ



高野山奥の院の薩摩藩島津家の墓碑のオオハナワラビ
高野山奥の院の薩摩藩島津家の墓碑のオオハナワラビ




 まずは墓碑にお参りして、ハナワラビを堪能させてもらいました。



 また次の秋にもハナワラビに会いに来たいと思います。



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ぽつんと咲いていた初冬の白い竜胆


 紅葉が見頃を迎えた11月初旬の高野山。

 高野山上の寺院群を囲む山々をつなぐ巡礼の道、女人道(にょにんみち)

 歩きながらふと足元に目をやると、小さな白い花が。

 (こよみ)の上ではもう冬。
 大門のところの温度表示は10℃を示していました。
 もう秋の花も終わりつつあります。

 そんな時期に目にした小さな白い花を咲かせる野草です。



冬のはじまりの高野山女人道で咲いていた野草
冬のはじまりの高野山女人道で咲いていた野草




 先が広がった筒状の花は花弁が5枚、茎の先で咲いています。
 葉っぱらしい披針形(ひしんけい)の葉は2枚向き合ってつく対生(たいせい)

 リンドウ(竜胆)に似ていますが、その花の色は白。リンドウは紫色です。



リンドウ(花の文化園)
リンドウ〈花の文化園〉




 白いリンドウのシロバナリンドウ(白花竜胆)のようですが、花弁には斑点がありません。

 いろいろ調べてみると、どうやらシロバナササリンドウ(白花笹竜胆)のようです。



高野山のシロバナササリンドウ
高野山のシロバナササリンドウ




 紅葉を見るために高野山に集まった人々からちょっと離れてみたら、きれいな花と出会えました。



 と書いて公開したのですが、これはツルリンドウではないか、という指摘を受けました。

 「ツルリンドウ」というキーワードをもとに画像を検索、この時写した写真と比較してみると、確かにツルリンドウの可能性が高そうです。



蔓っぽいのが見えるツルリンドウ
蔓っぽいのが見えるツルリンドウ




 この花にかぎらず、種の多い野草を調べるのは一苦労。

 ひとつの属に種がひしめいているような場合、見た目で区別するのが難しいことがよくあります。

 市販されている一般向け図鑑ではそんな細かいところまで載っているものは少なく、図鑑のニッチを開拓しているいつもお世話になってる文一総合出版ですら、出版されているのはほんのわずか。

 今回もそうで、はじめに花のつくりがリンドウに似ていると思い調べてみるも、山野草の本にはリンドウの種類は少なく、ネット検索するもののなかなかピタリと合致するものが見つけられません。

 情報が多いと言われるインターネットにしても手がかりの少ないところから珍しい植物の探すのは至難の技。



 しかし、そんなややこしい植物でも専門家の方はきっちり見分けることができるのですからすごいものです。

 願わくば、そういった人たちがインターネット上に図鑑としてその知識を公開してくれれば……
 なんですが、専門家の知識はとても価値のあるもの。
 無料でインターネットに公開できるようなものではありません。

 あとは自分を研鑽するだけ。

 がんばらねば。



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初冬の高野山 茸編


 自然が豊富な高野山上。
 いろいろな植物と出会うことができました。

 今回は植物ではなく、キノコとの出会いです。

キノコが食べるもの


 キノコは植物のように自分で栄養を作ることはできません。動物のように“食べ”なければなりません。
 しかしキノコは動物のように動くことができません。植物のようにその場で成長しなければなりません。
 ですから、キノコが生えるのはキノコの食べ物の近く、ということになります。

 生きている木や枯れ木から生えているキノコは木を食べるのだろうとわかります。そういうキノコは「腐朽菌(ふきゅうきん)」呼ばれます。
 しかし地面から生えるキノコは何を食べるのかわかりにくいところがあります。

 地面か生えるキノコの食べ物は大きく分けると三つ。でもこの三つは見た目で簡単に分けるのは難しそうです。


三つのキノコ


 一つは地面に落ちた木の枝や落ち葉を食べるもの。これは「腐朽菌(ふきゅうきん)」と呼ばれて、倒木から生えるものと同じ仲間です。
 土が見えないほどたまった落ち葉の中から生えているものは、この可能性が考えられます。ここでは落ち葉がたまっている場所を「腐葉土(ふようど)」としています。

 そして木の根と栄養の交換をしているもの。これは「菌根菌(きんこんきん)」と呼ばれて、木と共生していると考えられています。
奥の院参道の入り口
奥の院参道の入り口

 最後は地面の下にある動物の遺骸(いがい)やうんちやオシッコを食べるもの。これは「アンモニア菌」と呼ばれていますが、生える場所が限られているので出会える機会は少なそうです。

 この三つは見た目の区別はとても難しそうです。
 腐葉土から生えているといっても、下に木の根や動物の糞があれば菌根菌やアンモニア菌かもしれません。
 ただ腐葉土の無い砂や砂利の中から生えているとすれば、菌根菌の可能性が高くなりそうです。


不動坂


 南海高野線(なんかいこうやせん)の終着「極楽橋(ごくらくばし)」駅から高野山上の入り口の一つ女人堂(にょにんどう)まで続く登山道のことです。

こげ茶色のキノコ

場所:腐葉土
いかにもキノコっぽいこげ茶色のキノコ
いかにもキノコっぽいこげ茶色のキノコ
こげ茶色のキノコの裏
こげ茶色のキノコの裏
土が見えないほど落ち葉がたまっているので腐朽菌だと思います。




弁天岳


 高野山を囲む八葉の峰の一つで、女人堂と大門を結ぶ登山道です。


キシメジ科?のキノコ

場所:倒木
かわいいキシメジ科?ノキノコ
かわいいキシメジ科?ノキノコ
キシメジ科?ノキノコの傘の裏
キシメジ科?ノキノコの傘の裏
倒木なので腐朽菌だと思います。
杉林なので杉の倒木だと思います。


ケショウハツ

場所:生きているスギの根元の土
見るから毒キノコっぽいケショウハツ
見るから毒キノコっぽいケショウハツ
ケショウハツの傘の裏
ケショウハツの傘の裏
生きている木のそばの土ですので、菌根菌の可能性が高いと思います。




奥の院参道


 高野山を開いた弘法大師(こうぼうだいし)御廟(ごびょう)へとつづく参道。
 杉の古木と数多くの墓碑(ぼひ)に囲まれたところです。

スギの切り株に生えたキノコ

場所:スギの切り株
ソンブレロのように中央が盛り上がったキノコ
ソンブレロのように中央が盛り上がったキノコ
ソンブレロのようなキノコの傘の裏
ソンブレロのようなキノコの傘の裏
奥の院参道ですので、スギだと思います。
奥の院参道のスギは木材として伐ることが許されていませんが、年をとり倒れる危険のあるスギは安全のために伐られています。
このようにスギの太い切り株は参道のあちこちにあり、多くはコケに覆われ、中には若いスギが生えているものもあります。


ヒメカバイロタケ

場所:スギの切り株
しおれかけた?ヒメカバイロタケ
しおれかけた?ヒメカバイロタケ
ヒメカバイロタケが生えている様子(中央)
ヒメカバイロタケが生えている様子(中央)


スギヒラタケ

場所:スギの切り株
白くて柔らかそうなスギヒラタケ
白くて柔らかそうなスギヒラタケ
スギヒラタケの傘の裏
スギヒラタケの傘の裏


サルノコシカケ科?

場所:スギの枯れ木
色が白いサルノコシカケ科のキノコ
色が白いサルノコシカケ科のキノコ
ヒダの変わりに小さなくぼみがあるサルノコシカケ科のキノコの傘の裏
ヒダの変わりに小さなくぼみがあるサルノコシカケ科のキノコの傘の裏


シロソウメンタケ科?

場所:生きたスギの根元
キノコというより妙な物体のシロソウメンタケ科?のキノコ
キノコというより妙な物体のシロソウメンタケ科?のキノコ
シロソウメンタケ科?のキノコの生えている様子
シロソウメンタケ科?のキノコの生えている様子
生きたスギの根元の厚いコケの間から生えていたきのこです。
緑のコケの下に枯れたコケの腐葉土層があるのか、スギの皮が腐っているのかわかりませんが、腐朽菌ではないかと思いますが、


ネズミシメジ?

場所:生きたスギの根元
鼠色のネズミシメジ?
鼠色のネズミシメジ?
ヒダがもろもろのネズミシメジ?の傘の裏
ヒダがもろもろのネズミシメジ?の傘の裏
上のシロソウメンタケ科?と同じ生きているスギの根元のコケの中から生えていました。


スギの菌根菌?

場所:杉林の砂利の上
ジャリの上に生えたキノコ
ジャリの上に生えたキノコ
ジャリの上に生えたキノコの傘の裏
ジャリの上に生えたキノコの傘の裏
砂利が敷かれていますが、ここは参道の杉林の中。
なのでスギの菌根菌ではないかと思います。




キノコと奥の院


 意外にキノコが多い奥の院参道。

 もちろん不動坂も弁天岳も森の中に入っていけばキノコは豊富でしょう。
 しかし歩いていて目につくのは草花ばかり。

 奥の院はスギの巨木が立ち並び、昼でも薄暗く、いたるところコケや地衣類(ちいるい)に覆われているくらいなので湿気も多いことでしょう。
 菌類がキノコを作りやすい環境かもしれません。
 それにスギの切り株や古木が多いことも腐朽菌にとってはありがたい環境でしょう。


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