【 冬のシダ】

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新しいハナワラビとの出会い 大花蕨?

 オオハナワラビらしきシダと出会いました。

オオハナワラビ?
オオハナワラビ

 オオハナワラビ(大花蕨)は、ハナヤスリ科ハナワラビ属のシダ植物。
 細かく分かれた葉を数枚出し、胞子嚢がたくさんついた穂を1本。
 高さは高くても40~50センチくらいのこじんまりとしたシダです。
 秋から冬、熟した胞子嚢穂が金色に見えるのが特徴。

 でも、ちょっとびっくりしました。
 ここには生えていないと思っていましたから。

 オオハナワラビによく似たシダにフユノハナワラビ(冬の花蕨)があります。
 そっくりです。

フユノハナワラビ
フユノハナワラビ

 今までの経験では、生える場所が違っていました。
 オオハナワラビは、低山の林内。
 フユノハナワラビは平地の林内。
 ここはフユノハナワラビがあちこちで生えている場所。
 ですからオオハナワラビはないと思っていました。

 フユノハナワラビをオオハナワラビと勘違いしていないか、同じところに生えているオオハナワラビ(仮)とフユノハナワラビを比べてみます。
 わかりやすい違いは、葉の縁のギザギザ、鋸歯。
 オオハナワラビは鋭頭、というか、先が尖ったギザギザが連続しています。

鋸歯の先が針のようにとがったオオハナワラビ?

 フユノハナワラビは鈍頭、というか、葉の縁がところどころで切れ込むような形。

鋸歯の先がつぶれたようになっているフユノハナワラビ

 たしかにオオハナワラビとフユノハナワラビのようです。

 ほかには、オオハナワラビは茎に毛が生えています。

茎に毛が生えているオオハナワラビ?

 フユノハナワラビは毛がありません。

茎に毛がほとんどないフユノハナワラビ

 また、オオハナワラビの葉とによく似たアカハナワラビも毛がありません。

 くらべてみるとたしかにオオハナワラビのようです。

だいぶ金色に近づいてきたオオハナワラビ?の胞子嚢穂

 実は、オオハナワラビから数メートル離れたところにフユノハナワラビがあります。
 もしかすると、オオハナワラビと思っている中に、両方の雑種のアイフユノハナワラビがあるかもしれません。

 いったい、どっちなんでしょうか。
 いきものはややこしい!

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冬の池の赤潮? 実は……ちょっとややこしいシダ


 冬。

 溜池の水面が真っ赤に染まっていることがあります。

 水が真っ赤に染まるというと、イメージするのが赤潮。

 プランクトンが異常発生して海に赤い帯ができ、養殖の魚などが大量に死んでしまいう現象です。
 原因のひとつは海の栄養が増えすぎたため、と言われています。

 周りから隔てられた小さな池。
 田畑の肥料などが流れ込んで栄養が増え、赤潮が発生したのでしょうか。



真っ赤に染まった池(花の文化園のひょうたん池)
真っ赤に染まった池(花の文化園のひょうたん池)




 しかしよく見ると表面が鱗のようにでこぼこザラザラしているようで、プランクトンよりももっと大きいもののようです。



よく見ると水面がザラザラしています
よく見ると水面がザラザラしています




 実は、これはプランクトンではなくて、植物。

 水面に浮かんでいるアカウキクサの仲間。

 ウキクサはサトイモ科に属する花が咲いて種ができる被子植物。

 ところがこれはシダ。
 名前には「ウキクサ」とありますが、ウキクサではありません。

 花も咲きませんし種もできません。



 アカウキクサとウキクサの分類を比べてみるとこんな感じです。

 表は下に向かって大きな分類にまとまっていきます。

ワラビ(参考)アカウキクサウキクサイネ(参考)
ワラビ属アカウキクサ属ウキクサ属イネ属
コバノイシカグマ科アカウキクサ科サトイモ科イネ科
シダ目サンショウモ目オモダカ目イネ目
シダ綱単子葉植物綱
シダ植物門被子植物門
植物界



シダには見えないアカウキクサの仲間
シダには見えないアカウキクサの仲間


種子植物のアオウキクサ
種子植物のアオウキクサ




 似たような生活をしていますが、見ての通り1番大きな分類の「植物界」以外共通しているところはありません。

 まったくちがう植物です。



 シダ植物のアカウキクサには「アカウキクサ」や「オオアカウキクサ」などの種があります。

 ところが大阪では「アカウキクサ」は絶滅。自然の状態では見ることができない植物。
 「オオアカウキクサ」は絶滅危惧 II 類。めったに目にできない植物。

 ところが大阪で冬の赤い池は珍しくはありません。

 それは「アメリカオオアカウキクサ」「ニシノオオアカウキクサ」またはこの雑種と思われます。

 これらは名前のように外来種で、アメリカオオアカウキクサは外来生物法で規制・防除の対象になる「特定外来生物」に指定されています。



アップにしたアカウキクサの仲間
アップにしたアカウキクサの仲間
重なりあったうろこ状の葉が意外ときれい。

植物園の池でしたので通路から観察することができました。
溜池などでは立入禁止になり、水面まで急角度の斜面になっていることがあります。
接近しての観察は禁止されていない安全な場所で。




 在来種のアカウキクサ、オオアカウキクサの減少と外来種のアメリカオオアカウキクサの増加がどのように関係しているのかわかりません。

 外来種のアカウキクサは有機的農法の一つのアイガモ農法とともに広がったという経緯もあり、賛否両論あるようです。

 残念ながら、生き物の関係というのはとても複雑なもので、専門家といえどもわかるのはその中のほんの少しだけ。
 それも正しいかどうかもあやふやだったりします。
 専門家の方は立場上そういうことを言わない人も少なくありませんが。

 このアカウキクサの問題もそういうことの一つのようです。



 アカウキクサの仲間は、見た目の生きている環境もよく似ていて区別が難しいこともあり、全てまとめて学術的な属名の「アゾラ」と呼ばれることもあります。



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タグ: アカウキクサアゾラアメリカオオアカウキクサシダ冬のシダ

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花が少ない初冬の萬葉植物園の金色の花


 今からおよそ1300年前の奈良時代に作られた日本で最も古い歌集の万葉集(まんようしゅう)。
 その歌に詠(よ)まれた植物が集められた万葉植物園。

 日本中にある万葉植物園の中で最初に開かれたのが、奈良公園にある「春日大社 神苑 萬葉植物園」。



 木々の葉が色づき始めた初冬の奈良公園。

 といっても真っ赤に染まっているのは外来種のナンキンハゼ。



紅葉したナンキンハゼと観光客とシカ
紅葉したナンキンハゼと観光客とシカ




 奈良公園のはずれには春日大社(かすがたいしゃ)の鎮守(ちんじゅ)の杜(もり)の春日山原始林があります。

 神域として長い間ほとんど人の手が入らなかったため、森林の移り変わりがとまる「極相(きょくそう)」という状態です。

 奈良公園は気候区分では「暖帯(だんたい)」と呼ばれる「わりと温かいところ」に区分されていますので、奈良公園の自然林は冬でも葉が落ちない照葉樹(しょうようじゅ)の森になっています。



極相に近づいている奈良公園の森の林床
極相に近づいている奈良公園の森の林床
草がないのはシカが食べるせいでもあります。



 照葉樹が目立つ奈良公園で、いろいろな植物が植えられている植物園はちょっと雰囲気の違う場所になっています。

 しかし稲刈りも終わり、秋の七草もナンバンギセルも咲き終わり、かといってツバキにはまだまだ早すぎる初冬の萬葉植物園。

 ほとんど花がないなかで、小さな花が咲いていました。

 いや、正しくは花ではありませんが、まるで花のように見えます。

 しかも金色の。



花が少ない初冬にたくさん咲いている萬葉植物園の金色の“花”
花が少ない初冬にたくさん咲いている萬葉植物園の金色の“花”




 それはハナワラビ。

 冬に葉が茂る冬緑性のシダ植物。

 正門から入って右側、椿園の入り口付近のあまり日の当たらない木の陰、コケのじゅうたんの中に生えています。

 下の方に広がるのは、光合成をして栄養を作り出すことを役目にしている栄養葉(えいようよう)。
 花のように見えるのは、胞子が詰まった胞子嚢(ほうしのう)をたくさんつけた胞子葉(ほうしよう)。

 よく見かけるのはフユノハナワラビ(冬の花蕨)とオオハナワラビ(大花蕨)。

 これは葉のふちにあるギザギザの鋸歯(きょし)が細かいのでオオハナワラビ。



花のようなオオハナワラビの胞子葉
花のようなオオハナワラビの胞子葉
細かい鋸歯の栄養葉
細かい鋸歯の栄養葉


 手入れされるときに刈られてしまうのか、小さいものばかり。

 でも、花が少ない初冬の植物園で咲く数少ない花。

 しかも金色の花です。



春日大社神苑萬葉植物園のオオハナワラビ
春日大社神苑萬葉植物園のオオハナワラビ




 ただ、万葉植物じゃないでしょうから、毎年ここに咲いているのかどうかは、わかりません。

 オオハナワラビも植物園の一員になってくれれば、うれしいな。



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