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専門家の落とし穴? 保護の対象にする4つの「種」のちがい

 専門家でありながら、視野が狭くてトンデモに走る人がいることはすでに書きました
 なぜ、専門家でありながらトンデモに走るのでしょうか。
 たとえばすでに書いた、チョウを守れば自然環境を守ることになると言ったチョウの専門家。
 その方のポイントは何でしょうか。

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4つの種

 自然を守る、環境を守ると言っても、実際に活動を行う場合、対象が「自然」や「環境」では漠然としていて、何をすればいいのか具体的なことがわかりません。
 また、許可を得たり支援を受けたりするための説明がしにくく、理解されにくいということもあります。
 そこで、特定の生き物を選んで、具体的にわかりやすく、活動しやすくすることがあります。
 その「種」は、4つに分けることができます。
 キーストーン種、アンブレラ種、シンボル種、希少種です。

◆キーストーン種

 絶滅した時、他の生物や環境に大きな影響を与える種のこと。
 たとえば、ニホンオオカミが絶滅したため、シカが増え、シカが山の木や草、そして畑のものを食べるなどの被害が起きているといわれることがあります。
 この場合のニホンオオカミがキーストーン種になります。
 ただし、オオカミがもとからいなかったと言われる屋久島でもシカの食害が増えていることや、同じような害が起きているクマやニホンザルについては説明できていません。
 現実はこのように安易に決められるほど、簡単なものではないようです。

チュウゴクオオカミ〔天王寺動物園〕
チュウゴクオオカミ
ニホンオオカミとエゾオオカミは環境省レッドリスト絶滅

◆アンブレラ種

 行動範囲の広い動物を指します。
 その動物を保護することは、同時に行動範囲の環境も保護することにもなります。
 行動範囲が広いということは、体も大きいということになり、多くの場合、大型の哺乳類や鳥類になります。
 クマやオオタカなどが代表的アンブレラ種です。

イヌワシ〔天王寺動物園〕
イヌワシ
環境省レッドリスト絶滅危惧IB

◆シンボル種

 その地域や場所を象徴する種のこと。
 通常、よく目立ち、多くの人に好感を持たれる種が選ばれます。
 その反面、よく注意していないと、その場所に元からいた他の生き物の絶滅や、環境を破壊してしまうことにもなりかねない危険性を持っています。
 たとえば、ゲンジボタルを保護するため、幼虫の餌となるカワニナをほかの地域から大量に持ち込み、その地域に住んでいたカワニナを減らしてしまうことなどがあります。

ゲンジボタルのひかり〔橿原市昆虫館〕
ゲンジボタル
16都府県のレッドリストに記載

◆希少種

 数が少なくなった種のこと。
 わかりやすいのは、レッドデータブックに記載された種。
 絶滅にひんしている場合はすみやかに保護活動を行う必要があります。
 ただし、キーストーン種やアンブレラ種でない場合、注意をしなければシンボル種と同じ過ちをしてしまうことになりかねません。

オオムラサキ〔橿原市昆虫館〕
オオムラサキ
環境省レッドリスト準絶滅危惧

落とし穴

 例のチョウの専門家は、希少種をシンボル種として保護活動をしてしまったようです。
 保護活動は資金も必要ですし、活動のためにその場所の持ち主の理解を得て許可してもらうことも必要です。
 シンボル種という目立って好感を持たれる生き物なら、だれでも直感的に保護の必要性を感じることができるでしょう。
 しかしその結果、なぜチョウを保護するのかという単純で基本的なことにすら、答えることができなくなり、チョウさえ保護すれば他のことは考えなくてもいい、という状況に陥ってしまったようです。
 これは愛好家が専門家になって活動家になった場合に起きる落とし穴なのかもしれません。

 こういった基本的な説明は大切なことで、活動を行う上でもちゃんと説明できないことは、お世辞にもいいことではないと思います。
 そして、このような活動が個人の資産や一般のスポンサーの寄付などで行われているのであるのならばまだしも、行政などから補助を受けている場合は、明確な説明ができないことはとても問題があるのではないでしょうか。
 そのチョウの専門家はどうなのかはわかりませんが。

セツブンソウ 〔花の文化園〕
セツブンソウ
環境省レッドリスト準絶滅危惧

安易は至難

 生き物や環境を守るため行動を起こすことはとても大切だと思います。
 しかし、具体的な行動に至る前に現状を把握し、どの生き物をどのように守っていくのかを、十分考えなければならないのではないでしょうか。
 特定の生き物が好きでその生き物が絶滅しそうだからといって、安易に保護活動を行うのは、「保護」の名を借りた「破壊」になりかねません。

 生き物を見るときは、こういった落とし穴を避けるため、できるだけ視野を広くし、想像力を働かせることが必要なのかもしれません。
 そして、私たちが思っているほど簡単でも単純でもないことを意識することも。
 言葉では簡単な、たった2文字の「自然」や「環境」が、実はとても複雑なものだったのです。

■参考外部リンク■
天王寺動物園HOMEPAGE
橿原市/橿原市昆虫館
大阪府立花の文化園公式サイト

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タグ: キーストーン種アンブレラ種シンボル種希少種保護活動チュウゴクオオカミイヌワシゲンジボタルオオムラサキセツブンソウ

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フィールドワーク 専門家にならない方法があってもいいんじゃない

 いきなりですが、IWO(いきもの は おもしろい!)でのフィールドワークのポイントは、専門家にならない!
 です。

 もちろん、専門家を否定しているのでは、まったくありません。
 多くの専門家の方たちの長年の蓄積があるからこそ、いろいろな生き物のことがわかり、いろいろな不思議なことがわかるのです。
 専門家を否定することは、自分の知識を否定することになってしまいます。


水鳥がいない秋の狭山池
でも水の中には見えないだけで生き物がいっぱいのはず

 ではなぜ専門家にならないのでしょうか。
 IWOのテーマは、特定の生き物を取り上げるのではなく、見える生き物も、見ない生き物もみんなひっくるめて、生き物たちがリアルに生きている姿を見てみましょう! ということ。
 というわけで、できるだけ広い範囲に注意を向けることを大切にしています

 専門家は、その専門を職業にされている方が大勢います。
 専門家の評価はもちろん専門分野の成果で決まります。
 そのため、どうしても職業専門家の方は専門分野に集中してしまい、専門のことしかわからない方もおられるのが実情です。
 生き物に関する研究が「博物学」というくくりにされていたころとちがい、研究が進み、各分野が極端に専門的になっているのでやむを得ないところでもあります。


一見イネばかりに見える下赤阪の棚田
決して多様性は高くないものの独特な生態系があります

 時折、専門以外を知らないためにトンデモに走ってしまう専門家の方もおられます。
 このブログでも取り上げましたが、植物の専門家の樹木医や造園業者の一部の方が、地衣類は植物に寄生して養分を吸い取っている、という誤ったことを主張されています。

 また、絶滅に瀕したチョウを保護するためそのチョウに適した環境に変える保護活動を行っているあるチョウの専門家。
 その方のチョウを保護する理由は、小さなチョウも、もしかしたらなにか環境に大きな影響を与えているかもしれない。
 だから、チョウを守ることが環境を守ることにもなるはず(ある種のバタフライ効果?)、と漠然とした内容でした。
 確かにチョウを中心に考えれば、そういうこともあるかもしれません。


いろいろな生き物がいる堺自然ふれあいの森
生物多様性が高くても里山は人がつくった場所

 しかし、その考えは、チョウ以外の生き物、目に見えない微生物も含めてあらゆる生き物についても同じように言えることです。
 もしかしたら、チョウを守るために環境を変えた結果、絶滅へ追いやられている生き物もいるかもしれません。
 そして地球環境にチョウの絶滅以上の悪い影響が出るかもしれません。知らないだけで。
 チョウを守ることは、現実的にはチョウを守るだけのこと。
 決して環境を守っていると言えません。
 もちろん、こういった方々は極端な専門家にちがいありません。

 環境の中では、様々な生き物が複雑に絡み合っています。
 その環境に影響をあたえるのは生き物だけでなく、天候や気候もあります。
 長い時間でみれば、地球の様々な変化も影響を与えますし、宇宙の知識も必要になってきます。
 特定の種類の生き物を見るだけでは、わからないことは少なくありません。
 そこで、あえて専門家にならないのです。
 もちろん、職業として研究者になろうというのであれば勧められることではありません。


海の中に浮かぶ友ヶ島
水面には生き物は見えなくても水中には信じられないくらいの生き物が

 小さな虫を知ることからはじまって、宇宙を知ることに。
 一見、つながりが無いようにみえる分野でも知っていることが増えれば、新しいことが見えてくると思います。
 とんでもないことを書いているように思えるかもしれませんが、一度興味がなかったことに目を向けてみてください。
 それだけでも、きっと新しいことが見えてくるはず。

 そして、あえて専門家にならない理由はほかにもありますが、それは別の機会に。

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タグ: フィールドワーク保護活動専門家生物多様性

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