九頭竜川と氾濫といきもの
福井駅から恐竜博物館がある勝山まで向かうえちぜん鉄道の勝山永平寺(かつやまえいへいじ)線。
そのほとんどは九頭竜川(くずりゅうがわ)と並んでいます。
福井県北部を流れる九頭竜川。
「九頭の竜の川」とも「九つの頭の竜の川」とも読める名前の川です。
えちぜん鉄道の車内アナウンスでは、よく氾濫(はんらん)するので「崩れ川」が由来となった、とか。
歴史を見ても、この九頭竜川を治水するということは、とても重要なことだったようです。
実際、勝山に向かう途中でも、広い河原が広がるところがあります。
角のとれた大きな石が転がるところと畑にも田んぼに使われていない木に覆われたところがあり、堤防の内側で時折川が氾濫することを思わせます。

えちぜん鉄道福井駅のベンチの恐竜?
「九頭竜」という字を見ると一つ少ない「八岐(やまた)の大蛇(おろち)」を連想してしまいます。
これも島根県の斐伊川(ひいがわ)の氾濫を表しているという説もあります。
また「くずりゅう」から「クトゥルー」を連想したときは、関係ないはずです。
多分。
今でこそ洪水になることが特別の事のように思われていますが、昔は川は洪水を起こすものでした。
都市を作るためには平らで広い土地(平野)が必要です。
平野にはかならずある川。
いや、川があるからこそ平野ができるともいえます。
そして川が平野を作るために必要なのが氾濫。
昔から都市を維持することは洪水との戦い。
都市を作るためには川の氾濫を止める治水の技術が必要でした。

えちぜん鉄道の列車から見た九頭竜川その1
治水が進んだ今でも川が氾濫し、時には人命を失うほどの大きな被害をもたらすことがあります。
川の氾濫を異常気象のせいにするのも間違いではないと思いますが、そもそも川は氾濫するものだ、という意識は持ち続けるほうがいいように思います。
そして気象の変化のサイクルは、時には人間の一生を大きく超えます。
お年寄りが「生まれて初めて」の災害でも、その土地では当たり前のことかもしれません。

えちぜん鉄道の列車から見た九頭竜川その2
右端で銀色に光っているのが恐竜博物館?
地球にとってはよくあることでも生き物にとってはめったにないこと。
氾濫で根こそぎ持っていかれたとしても時間がたてばこのように生き物が復活するのかもしれません。
とはいえそのような場所に生える植物は水辺が好きな植物。
木も水辺が好きなハンノキやヤナギの仲間。
草も栄養が乏しいところでも平気なものばかり。
山に生える植物とは少しちがいます。
いくら植物が育ったといっても、時おり起こる氾濫で大きな森になることは無いでしょう。
しかし、長い時間が流れ、地形が変わって、川の氾濫が起きなくなると、どんどん植物が入れ替わっていき、最後は大きな森になるかもしれません。


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