秋の和泉山脈で初ルリセンチコガネ
コガネムシの仲間にはキラキラ光るものがよくあります。
そんなコガネムシのひとつがセンチコガネ。
なかでもオオセンチコガネはキラキラの構造色。
条件がよければ自分のシルエットが映り込むくらいのキラキラ度。
なんですが、実は哺乳類のうんちを食べる糞虫(ふんちゅう)です。

紀伊山地の高野山のルリセンチコガネ
都市化が進み、田園地域でも哺乳類が減ってしまったせいか、牧場や奈良公園のような特別な場所を除けば山でしか見けることがありません。
センチコガネとオオセンチコガネは見た目も生態もよく似ているようですが、見かける割合は場所によって大きく偏りがあります。
例えば奈良公園は糞虫が当たり前のようにいるところですが、見かけるのは圧倒的にオオセンチコガネ。
高野山でもオオセンチコガネ。センチコガネを見たことはありません。
逆に金剛山地と和泉山脈ではセンチコガネばかり。オオセンチコガネを見たことはありません。

和泉山脈の和泉葛城山のセンチコガネ
どういう理由かわかりませんが、ニッチ(活動する場所や時間や食べ物など)が同じですので、どちらかが極端に多くなるのかもしれません。
しかし、よく考えてみるとお互いに協力しあうことがないセンチコガネ同士、オオセンチコガネ同士にとっては同じ種でもお互いがライバル。
やっぱりよくわかりません。
ところが10月初旬、センチコガネ圏の和泉山脈の岩湧山ではじめてオオセンチコガネと出会いました。
オオセンチコガネは各地で色のちがいがあります。
和歌山と奈良は緑がかった紺色のオオセンチコガネ。別名「ルリセンチコガネ」。
岩湧山もルリセンチコガネ。
ただちょっとくすんだ色。色の変化が多いセンチコガネの可能性も否定できません。
いままでセンチコガネばかりだったので、ついつい懐疑的になります。

和泉山脈の岩湧山で出会ったルリセンチコガネ?
ということで、確認。
センチコガネとオオセンチコガネをきっちり区別できるところの一つは、頭楯(とうじゅん)。
頭部にある平らなところです。
これが半円形だとセンチコガネ。
中心部が飛び出してちょっととんがった台形(ゆるい三角)だったら、オオセンチコガネ。
はたして岩湧山のルリセンチコガネ風は?
![]() 和泉山脈の岩湧山の オオセンチコガネの頭楯 なんとなくとんがっています |
![]() 和泉山脈の和泉葛城山の センチコガネの頭楯 きれいな半円形です |
やっぱりオオセンチコガネのようです。
和泉山脈、そしてひとつに連なる金剛山地で初めて出会ったオオセンチコガネ、ルリセンチコガネ。
そして「和泉山脈にはオオセンチコガネがいない山伝説」が崩れた瞬間でした。
ここにオオセンチコガネがいるということは、つながっている金剛山にもきっといることでしょう。

タグ: オオセンチコガネ ルリセンチコガネ センチコガネ 岩湧山 和泉山脈

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