特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で ケラトプシアを並べてみる!
トリケラトプスの仲間、ケラトプシア類がたくさん展示されている「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」。
最初は体も小さく、二足歩行もできていたケラトプシア類ですが、体と後頭部のフリルが次第に大きくなり、完全な四足歩行に変わっていく様子が見て取れます。
といっても、時代と地域に分けて展示されているので会場中に広がっていて、くらべて見にくいところもあります。

会場があるセンター入り口の案内板
ということで、会場のケラトプシア類の頭部を同じ向きにして並べてみました。
見やすくするために画像の角度などを調整しています。
一部の画像では左右を反転させています。
実物の大きさの比率は反映されていません。
並ぶ順はあくまでおおよその古い順で、時間を正確には反映していません。
また、進化の系統を表していません。
アジア大陸のケラトプシア類 | ララミディア大陸のケラトプシア類 |
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ジュラ紀 2億130万~1億4500万年前 | |
最初のケラトプシア類 インロン
![]() ジュラ紀後期 オックスフォーディアン 1億6350万~1億5730万年前 中国 新疆ウイグル自治区 成体復元モデル |
ジュラ紀後期のアジア大陸でケラトプシア類は誕生しました。
今の北アメリカ西部にあたるララミディア大陸とアジア大陸は繋がっていなかったので、ケラトプシア類はまだアジアにいました。 |
白亜紀 1億4500万~6600万年前 | |
ホンシャノサウルス
![]() 白亜紀前期 バレミアン-アルビアン 1億2940万~1億50万年前 中国 遼寧省 下顎がないようです ※画像の左右を反転させています。
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白亜紀になってもまだアジア大陸とララミディア大陸はつながっていません。
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アルバロフォサウルス
![]() 白亜紀前期 バレミアン-アルビアン 1億2940万~1億50万年前 石川県 白山市 | |
プシッタコサウルス
![]() 白亜紀前期 アプチアン-アルビアン 1億2500万~1億50万年前 モンゴル ドルノゴビ県 | |
アーケオケラトプス
![]() 白亜紀前期 アルビアン 1億1300万~1億50万年前 中国 甘粛省 ※画像の左右を反転させています。
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白亜紀後期 チューロニアン 9390万~8980万年前 アジア大陸と地続きになった現在のベーリング海峡から ララミディア大陸にケラトプシア類が渡ってくる | |
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ララミディア大陸最古のケラトプシア類 ズニケラトプス
![]() 白亜紀後期 チューロニアン 9390万~8980万年前 アメリカ ニューメキシコ州 |
白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 ララミディア大陸でケラトプシア類の多様化と拡散 「恐竜戦国時代」 |
ディアブロケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 アメリカ ユタ州 |
セントロサウルス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 カナダ アルバータ州 ※画像の左右を反転させています。
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スティラコサウルス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 カナダ アルバータ州 頭部模型 ※画像の左右を反転させています。
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カスモサウルス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 カナダ アルバータ州 |
コスモケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 アメリカ ユタ州 |
ユタケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 アメリカ ユタ州 |
ナストケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 アメリカ ユタ州 |
バガケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 モンゴル |
パキリノサウルス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 カナダ アルバータ州 |
プロトケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 モンゴル ※画像の左右を反転させています。
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コアウイラケラトプス
![]() 白亜紀後期 カンパニアン 8360万~7210万年前 メキシコ コアウイラ州 ※画像の左右を反転させています。
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トリケラトプスと同時代の ケラトプシア類 トロサウルス
![]() 白亜紀後期 マーストヒチリアン 7210万~6600万年前 アメリカ サウスダコタ州 下顎がありません |
最後のケラトプシア類 トリケラトプス
![]() 白亜紀後期 マーストヒチリアン 7210万~6600万年前 アメリカ サウスダコタ州 この化石の名前は「ホーマー」 |
6600万年前 K/Pg境界の大量絶滅
ケラトプシア類を含む恐竜が絶滅![]() 1/3あたりの白い線がK/Pg境界 |
こうして並べてみておもしろいのは、アジアではプロトケラトプスになるまであまり変わらなかったフリルが、ララミディア最初のケラトプシア類のズニケラトプスでもう角と一緒に大きくなっています。
体も頭も小さかったケラトプシア類がララミディア大陸に渡ったとたん、体とフリルが大きくなったのがわかります。
そして白亜紀後期のカンパニアンになるとフリルの形の多様化が進み、このままでは無駄が多すぎて絶滅してしまうのでは、と思ったところでトリケラトプスが登場。
シンプルかつ巨大化戦略でララミディア大陸に広がっていったというのは、とてもおもしろく感じます。

正面から見るとちょっと平べったいトリケラトプス
数千万年も地面に押しつぶされたため?
それに対してアジアに残ったケラトプシア類はララミディアほどの多様化は見せず、フリルもプロトケラトプスでやっと大きくなったくらい。
それでも体の大きさはトリケラトプスどころかカスモサウルスほどもありません。
ライオンどころかオオカミにだってやられてしまいそうです。
ケラトプシア類にとってなにか都合の良いものがララミディア大陸にはあったのでしょうか。
それとも、何か偶然がきっかけとなってケラトプシア類の多様化が進む道筋ができたのでしょうか。
もちろん、すべてのケラトプシア類の化石があるわけではありませんので、展示されているものだけで結論は出せませんが、いろいろ考えると面白そうです。
会場では、この画像ではわかりにくい歯の変化や前肢(ぜんし)の変化も見ることができます。
もちろんそれぞれの大きさも。
ぜひ目で見て確認してみてください。

タグ: 恐竜戦国時代の覇者! K/Pg境界 ケラトプシア類 Ceratopsia インロン ディアブロケラトプス セントロサウルス コスモケラトプス ユタケラトプス ナストケラトプス

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