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言葉じゃなくて、グラフで表す変化で環境が見えてくる!『学んでみると生態学はおもしろい』伊勢 武史 著 ベレ出版 刊

生態学とは

 生態学とは、生物が環境から影響を受けたり、逆に生物が環境に影響を与えたりするという相互作用について研究する学問です。

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 生き物を扱うのですから、生物学でいいような気がしますが、生態学。
 生物学は、その名前のように特定の生き物について様々な角度で研究する学問。
 生態学は複数の生き物や、それらが生きている場所もひっくるめて考えます。
 生態学の魅力は、生き物がリアルに生きている様子が見えてくること。
 それも動物だけでなく、植物だけでもなく、生きていない地面や水や空気のことも見えてくることです。

生態学と「モデル化」

 生態学の本はいろいろありますが、この本の特徴は、グラフ。
 生態学は生物と環境の相互作用のこと。
 つまり、生物が変わると環境も変わる、環境が変わると生物も変わる。
 または、生物や環境が変わると、バランスを取って元に戻そうとする。
 ですから生態学は変化がつきもの。
 そういった変化をグラフでわかりやすくします。
 それが「モデル化」。

いろいろな木に覆われた山にはいろいろは生き物がいます(金剛山)

生き物の関係をグラフで表す

 数学や社会科学など一部の学問に馴染みのある人でなければ、グラフで生き物と環境の変化を読み取ると言われてもよくわからないかもしれません。
 確かに日常使うことのない数式がいっぱい出てきます。
 そういうときは「そういうもんなんだ」と途中は考えずに、グラフの変化が表す意味を考えましょう。
 本に出てくるグラフは単純なものなので、慣れてくると時間をかけて変化する自然の姿が見えてきます。
 それと同時に、変化行き着く先も。
 もちろん、現実には無数の要素が複雑に関係しあっているので、単純な未来予測はできませんが。

炭素循環

 全10章中9章目が環境と物質循環の話。
 話題の地球温暖化が深く関係する「炭素循環」
 地球温暖化を語るときには必須の知識ですが、意外と知らない人が多い言葉です。

 地球の物質は、地球ができたときから基本的にはかわっていません。
 それが場所と形を変えて地球の上をぐるぐる循環することで、いろいろな地形や生き物を作っています。
 問題の二酸化炭素も同じです。
 ただし、二酸化炭素の形でぐるぐるまわるのではありません。
 二酸化炭素は、酸素と炭素が化合したもの。
 その炭素の方に注目して、「炭素循環」と呼ばれます。

炭素循環と地球温暖化

 大気中の二酸化炭素が増えて地球が温暖化していると言われています。
 ですから大気中の二酸化炭素を減らし温暖化を防ぐために植物を植えよう!
 とよく言われます。
 はたして、それが正しいのか。
 それについてもモデル化して解説されています。

実は二酸化炭素発生源の火山(桜島)

植物の炭素の行方

 途中はぜひ本を読んで確認してほしいのですが、結果を言えばこんなかんじです(多分)。
 このブログで今までに書いたように、植物が蓄えた炭素は永遠ではありません。
 植物が死んで分解されれ、つまりカビや微生物に植物が食べられれば、二酸化炭素に戻ります。
 日本では、植物がたくわえた炭素は、ほぼ100%二酸化炭素に戻ります。
 ということで、植物は一時的に二酸化炭素をたくわえているだけ。
 ですから、地球科学では、植物に含まれる炭素は、大気中にあるものと同じとして考えられます。
 つまり、いくら植物を植えても、実質的には二酸化炭素は減ったことにはならないのです。

植物を植えると二酸化炭素が減っていくのか?

 ただ、植物がたくわえた二酸化炭素が大気中に戻るには時間がかかります。
 その間、地面が二酸化炭素を蓄えることになりますので、決して植物を植えることは無駄にはなりません。
 しかし地面は有限で、蓄えることができる炭素には限界があります。
 それに今問題になっているのは、地面の下深くにある化石燃料由来の二酸化炭素。
 植物伐採で増えた二酸化炭素ではありませんので、大気中の二酸化炭素を大きく減らすために植物を植えることは、現実的には、簡単にいえば、意味が無いことです。
 本ではこのようには書いていませんが。

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怒るのはまちがっている証拠

 大気中の二酸化炭素を減らすために植物を植えることは、無駄。
 というと、怒り出す人は少なくありません。
 自分が正しいと思いこんでいたことを否定されれば、気分を害することは不思議ではありません。
 しかし、地球環境は気分では守れません。
 論理的に考えられた理論的に正しいことをしなければ、守ることはできません。

たくさんの二酸化炭素を蓄えている海と石灰岩の大地(沖縄島)

 怒る暇があれば、自分の考えが正しいときっちりと説明すればいいだけの話。
 それができないのであれば、ただの思いこみだと言われても、しかたありません。
 このブログでいつも言っていることですが、自然は人間の都合や気持ちのことなど一切気にしていませんし、関係もありません。
 自然のことを考えない、理論の伴わない、自己満足(反論しないで怒ることが何よりの証拠)のための行為では、環境を守ることはできません。
 場合によっては、環境を悪くするかもしれません。

 この本にもこう書かれています。
本当に効果的で広く社会に受け入れられる環境保護は、自己満足だけではなく理論的に正しくなければならないと思っています。感情を害してしまったら、ごめんなさい。

■参考外部リンク■
学んでみると生態学はおもしろい|書籍案内|ベレ出版

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