ちょうだいサイン
鳥のヒナは親から
餌をもらうとき、口を大きく開け、羽をバタバタさせて、ピーピーと鳴きます。
もちろんすべての鳥のヒナがそうするわけではないでしょうが、テレビを見ていても親から
餌えさをもらうヒナはみんなそうしているようです。
このヒナの「ちょうだいサイン」を見ると親は
無性むしょうに
餌えさをあげたくなるようです。
ということは、ちょうだいサインが
下手へたな鳥は、兄弟に
餌えさを取られて生きていけないかもしれません。
「ちょうだいサイン」は自分で
餌えさをとれないヒナにとっては必要な
能力のうりょくのようです。
 百舌鳥太郎の子(♂)2008 のちょうだいサイン
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 百舌鳥太郎の子(♀?)2007 のちょうだいサイン |
モズのヒナも
もちろんモズのヒナもちょうだいサインを出します。
巣の中のヒナの様子はまだ見たことはありませんが、巣立ち前のヒナがそうしているところは何度も見ています。
モズはこのブログでも書いているように
餌えさを運んでヒナを育てます。
それも2羽から3羽育てます。
兄弟の中で
餌えさをもらっていかないといけないわけですから、モズのヒナにとっても「ちょうだいサイン」は重要な技でしょう。
百舌鳥太郎が……
かなり
慣なれてきた
百舌鳥太郎もずたろうは、こちらの姿を見るといつの間に近くにやってきます。時には一歩進んで手を伸ばせば
届とどくようなところにいることもあります。
ある日、というか最近、
百舌鳥太郎もずたろうの様子がおかしいのです。
百舌鳥太郎もずたろうはこちらに向かって体を丸くし、羽をばたつかせて口を大きく開けます。
そして、ピーピーピー!
ちょうだいサインです。

百舌鳥太郎2009のちょうだいサイン
一体何が?
もちろん
百舌鳥太郎もずたろうは何度も子育てをしているいい大人です。
しかも相手は
産うみの親どころか育ての親でもなんでもない、そもそもモズどころか鳥ですらない人間です。
親になったモズは
餌えさは自分で取ります。縄張を持つモズはちょうだいサインをしても近寄ってくれる鳥もいないでしょう。
でも親鳥のちょうだいサインです。
ヒナのときのことをおぼえているのでしょうか。
「思い出した」理由
しかも、
百舌鳥太郎もずたろうの奥さん? 彼女? もちょうだいサインをするようになりました。
ただ、彼女はまだまだ近寄れないので、電線の上で誰もいないほうを向いてやっているだけですが。
百舌鳥太郎もずたろうがちょうだいサインを「思い出した」理由も気になりますが、彼女まで思い出した理由も気になります。
ファーブルはかく語りき
モズは人間のように
発想はっそうとか
推理すいり、
想像そうぞうということはできないでしょうから、何かのきっかけで
封印ふういんされていたヒナの時の
本能ほんのうがよみがえってきたのでしょうか。
ファーブルは虫の「
本能ほんのう」について、人間が見るととても巧妙に思える行動もきっちりと順番が決まっていて、それを外れてしまうともうやり直すことはできない、といっていましたが、鳥はそうではないようです。
もちろん脳といえるほどの
器官きかんが無い昆虫と、立派な脳を持っている鳥と単純に比べることはできませんが。
動物行動学
このヒナへの逆戻りとも見えるモズの行動は、
動物行動学者どうぶつこうどうがくしゃではないのでよくわかりません。
でも、事実は事実。
こうした
百舌鳥太郎もずたろうの行動は、謎も多いですが楽しみも多くなってきました。
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