大阪と奈良の府県境に金剛山地の山の一つ。
二上山。
雄岳おだけと
雌岳めだけ。
双子のようによく似た形、よく似た大きさの山が並んでいます。

錦織公園から見た二上山
左が雄岳 右が雌岳
その低い方の山、雌岳の頂上直下の休憩所の東屋で、何やら小鳥がいっぱいたむろしていました。
スズメくらいの大きさで、わりと派手な色使いの鳥。
外来種のソウシチョウ(相思鳥)です。
ドラム缶の上に溜まった水で水浴びをしています。
かわりばんこに飛んできていますが、10羽近くいるでしょうか。

ドラム缶の上でたむろするソウシチョウ
ちょっと離れたベンチの上には半分に切ったみかんが置かれていました。
そこにも鳥がいます。
ソウシチョウのように見えますが、よく見るとちょっと小さく全身黄緑色。
メジロ(目白)です。
見ているとそこにソウシチョウがやってきました。
自分より体の大きいソウシチョウの圧力を感じたのか、小さなメジロは飛んでいってしまいました。
目の前で在来種のメジロの食べ物が外来種のソウシチョウに取られてしまったのです。

みかんを食べるメジロを伺う?ソウシチョウ
野生化して日本に定着した外来種の動植物が引き起こす問題の一つが、在来種の食べ物や住処などを奪ってしまうことです。
その結果、日本に昔からいた動植物が減少し、かわりに外国からやってきた動植物が日本で増えてしまうことになってしまいます。
環境にはそれぞれの生き物が生きていくための「場所」(ニッチ)があります。
普通、一つの「場所」には1種類の生き物しか生きることができません。
同じ「場所」を必要とする生き物が2種類いた場合、どちらか一つが絶滅するか、他の「場所」へ移動しなければなりません。

みかん食べてるメジロ(右)とみかんなんて気にならないヤマガラ(左)
ヤマガラはメジロと食べ物が重ならないのかお互い知らん顔
この時の取られた餌は自然にあるものではなく、誰かが置いたもの。
自然にあるメジロの食べ物がソウシチョウに取られているかどうかは、わかりません。
しかし、長い時間をかけていろんな生き物たちが住み分けて安定していたところにソウシチョウが割り込んできたわけです。
偶然残っていた隙間にソウシチョウが入ったのでなければ、元から日本にいた生き物の「場所」が取られたことはまちがいないでしょう。
だからでしょうか、ソウシチョウは外来生物法によって、生態系や人の生命・身体、農林水産業への被害を及ぼすおそれがある「特定外来生物」に指定されています。
支えることができる生き物の量には限りがあるのが地球。
そして1種類しか生きられない生き物の「場所」。
思ったほど生き物にとってはやさしくないかもしれません。
まるで冷たい方程式のように。
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