2021年もやっていたプランター稲ビオトープ カブトエビはどこへ行く?
さて、何年もプランタービオトープでカブトエビを育てて感じることは。
カブトエビのすごさ。
さすが外来生物。
カブトエビは近所の田んぼに住む節足動物の中では一番の大きさ。
タガメやタイコウチやゲンゴロウが住むような田んぼならまだまだ小さいほうですが、近所にはそんな水生昆虫はいないのでカブトエビが一番。
もちろんプランタービオトープでも一番の大きさ。
卵もカイエビやホウネンエビよりも大きいので、生まれたときから差がついています。
そして雑食性で共食いをするくらいですから、甲羅のないホウネンエビなど簡単に食べられてしまいます。
田んぼでもカブトエビが大量にいるところではカイエビやホウネンエビはあまり見かけないように思います。
たまにカブトエビとカイエビが同じ場所にいることもありますが、プランター程度の大きさではそうはいかないようです。
何度やっても、カブトエビにえさをやっても、カイエビはすぐにいなくなってしまいます。
ホウネンエビは微妙にカブトエビの行動範囲とずれるためか、わずかに生き残りますが。
ところが、カブトエビを徹底的にほかの水槽に移すと、カイエビもホウネンエビもずっと長い間生きています。
カブトエビは外来種。
そしてカブトエビはカイエビやホウネンエビを食べていきます。
ブラックバスやウシガエルのような大食いの外来種は、在来種を食べて日本の環境を壊してしまいます。
カブトエビは特定外来生物に指定されても不思議はないように思います。

ただ、カブトエビが見られるのは田んぼばかり。
田んぼは人工的な環境。
今のところ、カブトエビは田んぼやその周辺からしか見つかっていないようです。
人工の環境に生息が限られているので問題になっていないのかもしれません。
ただ、カイエビやホウネンエビも今は田んぼやその周辺でしか見られなくなってきました。
治水が進み川の氾濫は激減し、雨が降っても水が排水され、カイエビなどが住みやすい環境が大きく減ってしまったからでしょう。
実際、田んぼのように浅くて数か月単位で水が溜まったり乾燥したりを繰り返すような環境は、心当たりがありません。

大阪市の大阪市立自然史博物館が大和川水系と淀川水系の淀川周辺の生物を調査してまとめた特別展の図録『大和川の自然』と『みんなでつくる淀川大図鑑』をみると、カブトエビはもちろんカイエビやホウネンエビも水田に住む生物となっています。
いまやカイエビもホウネンエビも自然の環境にはいない、と言えないまでも、少なくと、田んぼが主な生息地になっているように感じます。
つまり在来種のカイエビやホウネンエビは、外来種のカブトエビと住む環境を同じにしているのです。

ということは、いくら田んぼが人工の環境だと言っても、そこに依存している在来種がいる以上、外来種のカブトエビについては、駆除を検討する必要があるかもしれません。
少なくとも、田んぼに意図的にカブトエビを放つのは、在来種のカイエビなどからすると、良くないことのように思います。
ただ、田んぼは個人所有で収入を生み出す場所ですから、単純に在来種の保護をすることも良くないでしょう。
もちろん小さ小さなプランターと大きな大きな田んぼを同じように考えることはできません。
ですがカイエビやホウネンエビなど在来種の田んぼの生き物と、外来種のカブトエビとの関係は、よく考えていかなければならない問題のように思います。
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