地衣類の静かな、でも熾烈な戦い
地衣類。ちいるい。
コケみたいだけど、コケでない不思議な生き物。
光合成をして生きていますが、植物ではありません。
カビとノリみたいな藻類(そうるい)が一緒になった生き物。
カビがコケみたいな形になって、その中に小さな部屋をたくさん作り、その部屋に入った藻類が光合成して、栄養をカビに渡すかたちで共生しているのが地衣類。
たとえるなら、カビに家を用意してもらっているので、藻類が家賃を払っているようなもの。でしょうか。

地衣類の特徴のひとつは、ものすごく成長が遅いこと。
ウメノキゴケという種類は1年で数ミリしか大きくなりません。
実は、植物の世界は太陽の光を奪い合う戦いの毎日。
より光を受けようと成長を続けているのです。
成長が極端に遅いというのは、あっという間に成長の早い植物に覆われ、太陽の光が遮られてしまいます。
ですから地衣類はコケと場所と光の取り合いをよくしています。
コケも成長が早い生き物ではありませんが、さすがに地衣類よりおそいということはありません。
つまり、コケが先に場所を取っていまい、さらに地衣類の上に乗ってくれば光を遮られてしまいます。

ところが、地衣類は植物の成長を妨げる物質(地衣成分)を作り、それでコケの成長を抑えているようです。
成長が遅いのですから、作りだされる地衣成分の量も決して多くはないでしょう。
地衣成分の地衣類か、成長が早いコケか。
地衣類とコケが隣り合っている場所では、なにもないように見えますが、実は静かに地衣類とコケの戦いが繰り広げられているのです。
そんなところに出会うと、どうしても地衣類を応援してしまいます。

地衣類はヒメジョウゴゴケ?

コケはエゾスナゴケ?

もちろん、鉢に勝手に生えていたコケを育てて苔玉を作るくらいコケも好きです。
タグ: ヒメジョウゴゴケ ウメノキゴケ エゾスナゴケ 地衣類 コケ 蘚類

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