【 ノラネコ】

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シロマダラはどこで死んだのか?

 金剛山の二河原辺(にがらべ)道に次いで、また死んでいるシロマダラと出会いました。
 大阪では準絶滅危惧種のヘビです。

この記事にはヘビの画像があります。


 その公園はこのブログにとって重要な生き物フィールドの一つ。
 里山に植林して作られ、端から端まで歩くと20分あまり結構広い上に起伏に富み、木々に覆われ遠くが見えないため、道に迷っている人によく出会います。
 低山の森を好むシロマダラがこの公園にいてもふしぎじゃないように思えます。


 頭から尾の先までの全長は30センチ足らず。


 後頭部が白いので子供。


 ヘビとしての形はきれいに残っていますが、体の所々の皮膚が破れ、中は骨と皮だけ。内蔵も筋肉もなく、ぺらぺら。
 おそらく、シデムシのような小型の肉食昆虫に食べられたのでしょう。


 しかし、見つけた場所が、ちょっと問題です。
 実は、この公園はちょっと変なところがあるのです。
 それは、ヘビが極端に少ないこと。
 何年も公園に通って蛇を見かけたのは、実は2回め。
 ずっと回数が少ない金剛山のほうがもっともっとヘビと出会っています。
 公園で働いている方に聞いても、見かける回数は極端に少ないようです。

 はっきりとした理由はわかりませんが、少ない原因の一つとして考えられるのは、カエルが極端に少ないこと。
 大小の池があり、森があり、周囲に田んぼがあるので、トノサマガエル、アマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、ヒキガエルなどがいても不思議はありません。
 しかし、公園で見かけるのは、外来種のウシガエルと、絶滅危惧種のニホンアカガエルのみという両極端。
 さらに、ネズミ類の姿も巣穴も見かけません。
 つまり、ヘビの食べ物になる生き物が極端に少ないのです。
 ですから、おのずとヘビも少なくなります。

ニホンアカガエル 大阪府レッドリスト 絶滅危惧II類(VU)

 なぜ、公園にカエルやネズミが極端に少ないのでしょうか。
 公園では動植物の調査が本格的に行われたことはないようですので、理由は想像するしかありません。
 想像できるもっとも単純な理由は、ネコ。
 公園にはノラネコがいます。
 総数はわかりませんが、決して少なくありません。
 捨てられたものとその子供と考えられています。
 公園の名前を書かないのも、捨て場として検索されにくくするため。

 それだけたくさんのネコは一体何を食べているのでしょう。
 禁止されている餌やりをする人もいますが、ただただ餌をおいているだけ。
 きっちりとネコを管理しているようには見えません。
 実際、カラスがネコを押しのけ食べているところを見たこともあります。
 常識的に考えれば、人間から食べ物がもらえない序列が低いネコがいるでしょう。
 そういったネコは何を食べるのか。
 それは公園にいるもの。
 飼い猫ばかり見ていると信じられないかもしれませんが、ネコはネズミや鳥はもちろん、カエルやヘビに昆虫も食べます。

 そんな公園ですから、シロマダラのような準絶滅危惧種のヘビがいることには、ちょっとびっくりしてしまいます。
 誰かが捨てた可能性もありますが、公園の入口から10分は歩かなければなりません。
 それにシロマダラは夜行性で、捕まえるのも簡単ではないでしょう。
 カラスがくわえてきたものをここに落としたことも考えられます。
 しかし、シロマダラがいそうな森は近くても1キロくらい離れています。
 やはり公園に住んでいると考えるのがもっとも納得がいきます。

 このシロマダラがどこに住んでいたのか、はっきりとしたことはわかりません。
 もし、この公園に住んでいたとするのなら、もっとヘビがたくさんいる環境になれば、いや戻れば、いいなと思います。

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タグ: シロマダラヘビノラネコノネコニホンアカガエル絶滅危惧種大阪NT

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公園ネコを考える3 人間との関係でネコを分類してみることにしました。

これまでの【公園ネコを考える】
【1 ノラネコについて考えてみることにしました。】
【2 分類学的にネコについて考えてみることにしました。】

 公園のノラネコへのエサやり問題を考えるため、「ノラネコ」という生き物を考えることにしました。
 まずは分類学的に生物としてネコを分類して、「ネコ」と呼ばれる動物にもいろいろな種類があることを学名から見ました。
 でも、野生種も飼猫もノラネコもみんな同じ。
 ノラネコを考えるとき、学名のちがいはあまり役に立ちそうにありません。
 ということで、人間との関わり方でネコを分類する方法で考えてみました。

野猫(のねこ)

あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
そこれもそのはず、人間に頼らないで生きている猫のことです。
言い換えれば、野生に戻ったネコです。
人間から食べ物をもらったりはしません。
つまりイノシシやクマなどの野生動物と同じ。
ですので、人間の前に姿を現すのはまれ。
そういう意味ではヤマネコと同じですが、分類学上ではイエネコ。ノラネコと同じです。
公園ネコを考えるときにはおそらく関係のないネコでしょう。


野良猫(のらねこ)

今度は聞き慣れた言葉だと思います。
基本的なイメージとしてはノラネコそのものです。
少し具体的に書くと、特定の人に家にすみつくのではなく、不特定の人から餌をもらったりするような、人間に依存しつつもはっきりとした飼い主がいない状態のネコです。
直接エサを貰わないでも、ゴミを漁るなど人間の生活に依存し、誰からも管理されないネコも含みます。
公園ネコを考えるときに対象となるネコです。

地域猫(ちいきねこ)

最近は不幸な野良猫を減らすため、地域で飼っていこうと考えることも増えてきました。
特定の地域に住んでいる人々がルールを決め、エサやりや不妊の手術をするなどの世話をします。
地域の人々にゆるやかに管理されているような状態で、特定の飼い主がいるわけでなく、不特定多数の人から餌をもらう点では野良猫です。
しかし、ルールが決められて管理されているという点では、同じ地域に住む不特定多数の人に飼われているネコで、野良猫とはちょっとちがってきます。
イメージとしては、野良猫と飼猫の中間。


飼猫(かいねこ)

はっきりとした飼い主がいるネコ。
基本的に飼い主と一緒に住み、室内で飼われているので飼い主からしか餌を貰わないことがはっきりしている、室内猫。
自分が飼っているネコと思っていても、自由に外を出歩かせている場合は、見えていないところで何をしているかわかりませんので、野良猫として考えます。
野猫・野良猫との関係からIWO(いきもの は おもしろい!)独自の定義ですので、人前で使うときにはご注意ください。

 少しは具体的にネコの生活を意識することができるようになりました。
 ということで、公園ネコを考えるときは、上の「野良猫」が基本的な対象になります。
 また、状況によっては「地域猫」も対象になることもあるでしょう。
 これでよりノラネコがイメージしやすくなりました。

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公園ネコを考える2 分類学的にネコについて考えてみることにしました。

公園ネコを考える1 ノラネコについて考えてみることにしました。
の続きです。

「ノラネコ」について知ること

 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
 中国の古典「孫子」の言葉。
 相手についても自分についてもよく知ることが大切ということ。
 それで「ノラネコ」について、どういう生き物か考えてみることにしました。

 「ノラネコ」は分類学的な種類ではありません。
 分類学的には「リビアヤマネコ」を品種改良してつくられた「イエネコ」に含まれます。
 ノラネコから飼猫まで、普通「ネコ」と呼ばれる身近な動物は、みんな「イエネコ」です。
 みんな同じ種ということですが、人間が様々な品種をつくりだしたため、同じ種とは思えないほどちがいが出ています。


 「ネコ」は分類学的には次のように分けられます。

ヤマネコ

和名:ヤマネコ 学名:Felis silvestris
言葉としては野生のヤマネコや、山に住むようになったイエネコなどいろいろな種類が含まれます。
分類学としては、ネコ属の「ネコ」。
ヨーロッパ周辺の在来種の野生の猫と、そこから品種改良された身近なネコも含まれます。
日本在来種のイリオモテヤマネコやツシマヤマネコはベンガルヤマネコ属という違う属になります。

イエネコ

和名:イエネコ 学名:Felis silvestris catus
ふつうに「ネコ」と呼ばれる動物。
ヤマネコの亜種、つまりヤマネコという種をもっと細かく分類した時の名前。
飼猫も野良猫もみんなひっくるめた名前になります。


ベンガルヤマネコ

和名:ベンガルヤマネコ 学名:Prionailurus bengalensis
ベンガルヤマネコはベンガルヤマネコ属ですので、ネコ属のイエネコとはちがう種類になります。
日本在来種の「ネコ」イリオモテヤマネコとツシマヤマネコは、ベンガルヤマネコの亜種。
つまり、日本在来種の「ネコ」はベンガルヤマネコだけで、身近な「ネコ」はすべて外来種ということになります。
イリオモテヤマネコ Prionailurus bengalensis iriomotensis
ツシマヤマネコ Prionailurus bengalensis euptilurus

「学名」の見方

 ここで学名の読み方を少し。
 学名を覚えるのは大変ですが、学名の仕組みを覚えると学名からいろいろなことを知ることができ、とても便利です。
 学名は世界共通に使われる名前で、基本的に一つの種に一つしかありません。
 いろいろ細かいルールがありますが、簡単に見方の基本をイエネコの学名から説明します。


Felis silvestris catus

 イエネコの学名は3つの言葉からできています。
 最初の「Felis」は「属」という分類での名前で、頭文字を大文字にします。日本語では「ヤマネコ属」のことです。
 次の「silvestris」は生物分類の基本的な「種」の名前で、専門的には「種小名」といいます。こちらはすべて小文字。日本語では「ヤマネコ」のことです。
 学名の基本は属名と種小名の2つで表し、「二名法」といいます。

 余った最後の一つは何かというと、「亜種名」。
 日本語では「イエネコ」のことです。
 「亜種」は生き物としては同じ種ですが、見た目や体のつくりなどでちょっと違う特徴をもったグループのことです。
 植物の場合は亜種名の前に「ssp.」や「subsp.」とつけますが、動物の場合はそのまま続けます。


 ということで、上の「ネコ」の学名3つを並べてみると、いろんなことがわかってきます。

ヤマネコ Felis silvestris
イエネコ Felis silvestris catus
ベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis

 最初の属名は、ヤマネコとイエネコは同じですので、とても近いグループ。
 ところがベンガルヤマネコは違いますので、別のグループということがわかります。
 次の種小名もヤマネコとイエネコは同じですので、まったく同じグループということがわかります。
 最後の亜種名がイエネコにしかありませんので、ヤマネコの中のグループということがわかります。

 これらは日本語の名前からはわからないことです。
 このように、学名を覚えていなくても、学名の仕組みがわかればいろいろなことがわかってくるのです。

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タグ: 公園ネコを考えるノラネコ公園ネコネコヤマネコイエネコベンガルヤマネコネコの分類

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公園ネコを考える1 ノラネコについて考えてみることにしました。

 ネコブームと言われています。
 もともとネコはイヌと人気を二分するほどの身近な動物。
 それが、イヌよりも人気が出てきたそうです。


 人気がある反面、各地でノラネコによるトラブルが後を絶ちません。
 そのためノラネコの定着と増えることを防ぐために、エサやりを禁止する条例をつくる自治体も増えてきました。
 ところが、そういった自治体が遠くはなれたところに住む人から非難されるという事態も起こっています。
 大雑把にいうと、ノラネコのエサやり擁護派とエサやり禁止派の対立でしょうか。
 しかし意見も多様で、擁護派は基本的に猫好きのような印象を受けますが、禁止派だからといって猫嫌いというわけではないようです。

 ノラネコのエサやり擁護派の意見も、エサやり禁止派の意見も、感情的に理解できるところはありますが、その理由について納得ができないことは少なくありません。
 どちらも好き嫌いの感情だけが先走っているように見えます。
 そしてどちらも人間とネコのことしか考えられていないようです。
 もちろん、人間社会の人間とネコの間の問題ですからそういう視点も必要です。


 しかし生き物はそんな単純な関係だけで生きているわけではありません。
 ましてや、家の中で飼っているのならともかく、人間の管理の外にいるノラネコ。
 特に公園や空地や川原は人間が知らない生き物だらけ。
 自然が豊かな公園だと、絶滅危惧種がいることもあります。
 当然、屋外にいるネコがそういった生き物たちとまったく関係しないでいるわけはありません。

 ノラネコが与える影響は、人間の日常的な場所だけではありません。
 人間が気付かないような、たくさんの生き物たちとの関係も考えなければなりません。
 よく使われる言葉なら、「環境」や「生態系」、そして「ビオトープ」。
 人間とノラネコの関係だけでは見えないところだらけです。
 人間とノラネコの問題のように見えて、実は自然が相手なのです。


 そしてよく忘れられることですが、自然は人間の感情や都合などまったく関係ありません。
 たとえば、自然災害は人間の都合など一切関係がないことは、だれしも感じることだと思います。
 もちろん、それは身近で日常的な自然でも同じ。
 小さなできごとなので気がつかないだけ。
 つまり自然に関する問題は、人間の感情だけでは解決ができないということです。
 大切なのは、たとえ不都合であったとしても自然の姿を受け入れること。
 そのうえで、いいと思える解決を見つけることです。

 ということで、生き物を広い範囲で扱うブログらしく、ノラネコとういう生き物について考えてみることにしました。

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タグ: 公園ネコを考えるノラネコ公園ネコネコ

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