【 ノキシノブ】

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よく見るシダと言ったら?


 注意して見ると意外とあちこちにシダは生えています。

 そういったシダの中でどれがよく目にするか、決めてしまうのは難しいと思います。

 そこのところを無理やり勝手に決めてしまって、ノキシノブ。

 神社やお寺の境内の古いクスノキなどの幹や枝からはえているやつです。

住吉大社のクスノキの古木から生えているノキシノブ
住吉大社(すみよしたいしゃ)のクスノキの古木から生えているノキシノブ



 直接幹や太い枝から細長い葉だけが生えていて、茎も花もありません。
 まるでその木自身の葉のように生えていますが、木の葉とは形がぜんぜん違い、違和感丸出しです。



 木などからちがう植物が直接生えているとなると、木から栄養を盗んでいる寄生植物(きせいしょくぶつ)と思うかもしれませんが、ノキシノブは生える場所をもらっているだけで、栄養は盗んでいません。
 名前のように家の(のき)や石垣のように生き物でないところからも生えます。

 こういう植物を着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)と言います。


 着生植物とうと、きれいな花を咲かせる(らん)の仲間が有名です。
 ノキシノブももしかすると蘭のようなきれいな花を咲かせるのでしょうか。

 残念ながらノキシノブが含まれるシダの仲間は花を咲かせないのが特徴です。
 そのため昔は「隠花植物(いんかしょくぶつ)」と呼ばれキノコやカビと一緒にされていました。

 何年待っても花をさせることはありません。
 残念です。


ノキシノブ(軒忍)

ウラボシ科
シダ類薄嚢シダ
ノキシノブ(軒忍)
歴史の古い住吉大社の境内(けいだい)に生えている大クスノキに着生していました。
古い木にはよく付いているいますが、場合によっては石垣などから生えていることもあります。
そういうところには大抵コケが生えていますので、根はそのコケの層の中にあるのでしょう。


ヒメノキシノブ(姫軒忍)

ウラボシ科
シダ類薄嚢シダ
ヒメノキシノブ(姫軒忍)
高野山(こうやさん)の桜の木に地衣類のレプラゴケと一緒に着生していました。
町中あちこちで見かけるノキシノブよりも短くて葉先が丸い着生シダです。




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タグ: シダノキシノブヒメノキシノブ着生

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寄生と共生と着生と


「寄生」ってなに?


 このブログでも何度か取り上げたことがあるヤドリギは、寄生(きせい)植物です。
 もう少し細かく言えば、半寄生植物です。

 半分だけの寄生植物。

 なんかわかるようなわからないような。

 そもそも「寄生」ってなんでしょうか。


「寄生」とは


 寄生か寄生でないかを厳密に分けることはなかなか難しいようです。
 それでも簡単に言ってしまうと。

 ある生き物がほかの生き物から一方的に栄養などを取ることで、取られるほうは損ばかりで得が無いことです。
 つまり、一方が得しているのに対価を支払っていない状態のことになります。

 ヤドリギは水や栄養を取り付いた木からもらっていますが、その木に何も対価を払っていないので寄生なのですが、緑色の葉を持っていて自分で光合成で栄養を作ることもできるので「半寄生」といわれるのです。



ポプラから生えたヤドリギ
ポプラから生えたヤドリギ



「相利共生」


 それでは、取り付いている生き物が何か対価を支払えばどうなるのでしょうか。
 つまり、どちらも何か得をする、もちつもたれつの関係の場合です。

 たとえばこのブログでも取り上げている地衣類(ちいるい)は一つの生き物ではなく、菌類(きんるい)藻類(そうるい)という二つのいきものが一つになって生きています。
 藻類は自分が作った栄養を菌類に提供し、菌類は藻類の住処を提供します。

 これを相利共生(そうりきょうせい)といいます。

ケヤキの幹についたロウソクゴケ(地衣類)
ケヤキの幹についたロウソクゴケ(地衣類)



木の幹から生えているちがう植物


 そういえば、神社などの大きな木の枝や幹からどう考えてもちがう種類の植物が生えていることがあります。
 ヤドリギのような木ではなく、細長い葉っぱです。

 それはノキシノブというシダの仲間で、もちろんその木とはまったくちがう植物です。

クスノキの幹についたノキシノブ
クスノキの幹についたノキシノブ


 ということはそれは寄生か相利共生のどちらなのでしょうか?

 実はそのどちらでもないと考えられています。


「着生」


 ノキシノブは木に引っ付いていますが、その木から水や栄養をもらっているわけではありません。
 そして木はノキシノブがついて得することはありません。かといってノキシノブのせいで枯れるわけではありません。

 簡単に言えば、ノキシノブが取り付いた木は損も得もしていませんので、寄生でも相利共生でもありません。

 しかしノキシノブは木に取り付くことで生える場所を手に入れました。これを着生(ちゃくせい)といいます。
 そしてノキシノブのような植物を着生植物といいます。

 ちなみに、木の表面についている地衣類は、着生している相利共生の生き物、ということができます。

あいまいですが


 寄生(きせい)相利共生(そうりきょうせい)着生(ちゃくせい)。その境界はあいまいできっちりと分けることはできません。
 しかしこれらは本質はまったくちがうものですので、区別することは大切だと思います。

 多くの生き物を理解していく上で、きっと役に立つことでしょう。



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タグ: 寄生共生相利共生着生ヤドリギロウソクゴケノキシノブ地衣類

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