【 ニホンジカ】

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いったいどこからウシなんでしょうか?

 2021年は丑年。
 動物の牛がシンボルになっています。
 そこで、動物の分類でどこからが牛か考えてみました。

六甲山牧場のウシ
六甲山牧場のウシ

 とりあえずウィキペディアを見てみると。

 牛はウシ亜種で、その上の分類はオーロックス種。
 「ウシ」がなくなってしまいました。
 でもその上はウシ族。
 そして上へ上へとたどっていきます。
 ウシ亜科、ウシ科、ウシ亜目。
 次は鯨偶蹄目でとうとう「ウシ」は無くなってしまいました。

 でも鯨偶蹄目はクジラと一緒になる前は偶蹄目と呼ばれていて、またの名を「ウシ目」。
 ということで、無理矢理には目レベルから、またはその下の亜目レベルから「牛」と言えそうに思えます。

 そこでそれぞれの分類にどんな動物が含まれるか見てみました。

鯨偶蹄目
偶蹄類(旧ウシ目) クジラ亜目
ウシ亜目 イノシシ亜目 ラクダ亜目
真反芻小目 マメジカ小目
ウシ科 シカ科 キリン科他
ウシ亜科 ヤギ亜科 インパラ亜科他
ウシ族 ネジツノレイヨウ族他 シャモア族 ヤギ族 ジャコウウシ族他
ウシ属 アジアスイギュウ属他 カモシカ属 ヤギ属 シロイワヤギ属 ヒツジ属
ウシ コブウシ ヤク スイギュウ エランド ニホンカモシカ ヤギ シロイワヤギ ヒツジ ジャコウウシ インパラ ニホンジカ キリン マメジカ イノシシ ラクダ クジラ・イルカ
赤色が「ウシ」がつく分類 黄色が日本在来種の偶蹄類

 どこまで牛か、を直感的に考えてみます。

 まず、ウシ目。
 ラクダやイノシシが含まれます。
 言うまでもなく、ラクダはラクダ、イノシシはイノシシ。
 牛とは思えません。
 「目(もく)」はからだの一部に注目したもので、生活の仕方や見た目でも様々なものを含みます。

 次にウシ亜目。
 今度はキリンがいます。
 そしてシカも現れてきます。
 今度もどう考えても牛ではありません。

奈良公園のニホンジカ
奈良公園のニホンジカ

 そしてウシ科。
 「科」という区分ではわりと生活の仕方が似てきますので、見た目もなんとなく似てきます。
 しかし、ヤギやヒツジが含まれます。

天王寺動物園のヒツジ
天王寺動物園のヒツジ

六甲山牧場のヤギ
ヤギ

 まだまだウシではないようです。
 ただ、カモシカが含まれます。
 枝分かれしない角が2本。
 からだもシカよりは重量感があるように思えます。
 ウシとシカの中間という感じです。

神戸市立森林植物園のニホンカモシカ
神戸市立森林植物園のニホンカモシカ

 ウシ亜科。
 ウィキペディアの「ウシ」の項目では「広義では、ウシ亜科 (subfamilia Bovinae) の総称」とあります。
 ここにはエランドが含まれます。
 走るのが早そうな姿は、牛よりもカモシカのほうが近いような気がします。

天王寺動物園のエランド
エランド

 ウシ族。
 ここには水牛が含まれます。
 もう牛と言ってもいいような気がしてきます。

 最後にウシ属。
 チベットなど標高が高い地域にいるヤクが含まれますが、これはもう、牛でしょう。

六甲山牧場のウシ(ホルスタイン)
ホルスタイン

 ということで、どこまで牛かの結論は。
 分類学的にウシは鯨偶蹄目ウシ科ウシ属の種オーロックスの亜種、Bos primigenius taurusのこと。
 学術的でない牛については。
 「ウシ」が使われる偶蹄類以下どのグループでもいいんじゃないかな、と思います。

 ちなみに、個人的にはギリでカモシカから?

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タグ: ウシ十二支ホルスタインエランドニホンカモシカヤギヒツジニホンジカ

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七十二候第六十五候「麋角解」 冬に角を落とす大きな鹿ってどんな鹿?

.
 一年で一番昼間が短い冬至(とうじ)
 二十四節気(にじゅうしせっき)ではおよそ15日間のことになります。

 その6日目から10日目あたりが七十二候(しちじゅうにこう)の65番目の「麋角解」。
 よみは「さわしかのつの おつる」。

 大きな鹿の角が落ちる季節ということです。

 鹿は牛と同じように頭に角がありますが、鹿は牛とちがって毎年生え変わります。
 それが晩秋や初冬。



 「さわしか」の由来はよくわかりませんが、「麋(び)」はオオシカのことで、今の呼び名では「ヘラジカ」になります。

 ヘラジカは日本在来種のニホンジカよりもはるかに大きく、角の大きさは2メートル、肩までの高さが2メートルを超えるものもいます。
 巨大な馬(「北斗の拳」の黒王)のような鹿です。

 分布は現在の北アメリカや中国東北部にシベリアから北ヨーロッパの北部ユーラシア。
 日本にはいません。

 七十二候の本家中国でも同じ「麋角解(ミジャォジェ)」。

 中国では一般的ではなくても、その存在は知られていたでしょうし、絶大な権力を持った乾隆帝(けんりゅうてい)のような皇帝なら飼っていたかもしれません。




ニホンジカの角は細くてとんがっています(奈良公園)




 しかし江戸時代の日本人がどのように認識していたのでしょうか。

 おそらく本草学で扱う想像上の動物に近い感覚ではなかったかと思います。

 ともあれ、日本に実在しない動物を持ちだして季節の移り変わりを表すというのは奇妙です。

 ということで、イメージしていたのは日本在来種のニホンジカの事だったのかもしれません。

 ただ、冬至というのはニホンジカの角が落ちる時期としてはちょっと遅いような気もします。

 日本風の七十二候を考えきれず、江戸文化によくある勢いで乗り切ったのかな、とも思います。



 ヘラジカは寒い地域の生き物で体も大きいから日本での飼育が難しいのでしょうか。
 2013年8月に神奈川県の夢見ケ崎動物公園のヘラジカが亡くなり、現在日本にはいないそうです。



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タグ: 七十二候麋角解ヘラジカニホンジカ冬至

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奈良公園の鹿には気をつけろ! 特に話しかけてくる牝鹿には!!『鹿男あをによし』


 デビュー作から次々と映画化ドラマ化マンガ化される人気作家、万城目(まきめ)(まなぶ)さん。

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

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 デビュー作『鴨川ホルモー』に続く長編第2作です。



 タイトルの「あをによし」は万葉集の歌などに使われた奈良を表す枕詞で、「あをによし」とあれば、次は奈良のことが書かれます。

 ということで、タイトル通り奈良盆地が舞台の作品です。
 さらに「鹿」とあるように、奈良公園周辺で物語は進みます。



鹿がいっぱい奈良公園
鹿がいっぱい奈良公園




 ちょっとした事情があって奈良市の私立の女子校に教師として赴任することになった主人公。

 奈良にやってきてすぐ奈良公園で鹿に話しかけられ、ある役目を担わされます。

 日本を地震災害から守るために大(まなず)(しず)める道具を狐の使いから受け取って欲しいというのです。

 このあたりは京都で行われる謎の競技「ホルモー」(『鴨川ホルモー』参照)と同じように大昔から行われる伝統で細かいことはわからないという、民俗学的リアリティがあります。




 大鯰鎮めの道具は、偶然なのか京都にある姉妹校の人間から受けとることになります。

 しかし受け取りに失敗、顔が鹿になるという呪いをかけられてしまいます。
 呪いを解くために大鯰鎮めの道具を取り返さなければらないと主人公は考えます。

 幸い周りの人間には普通の人間のままに見えますが、鏡に映る自分の顔は日々鹿へと変化していきます。

 焦る主人公。

 はたして大鯰鎮め道具を取り返して人間の顔に戻れるのか。



奈良公園の牝鹿
奈良公園の牝鹿




 顧問になってしまった剣道部の手に汗握る試合や、主人公の周りのいろいろな人間関系の変化など、エピソード盛りだくさん。

 ホルモー競技の1シーズン(2年)を追いかけることに専念した(せざるを得なかった?)『鴨川ホルモー』よりもページ数が増えた以上に読み所も増えています。

 物語が進んでいくうちに散らばっているように見えたエピソードが一点に集まってくるところが、万城目作品。



 奈良公園の鹿は春日大社に祀られる武甕槌命(たけみかづちのみこと)の使い、神使(しんし)
 その鹿に話しかけられます。

 奈良公園に行ったことがない人にとっては『もののけ姫』のような世界を想像するかも知れません。

 確かに春日大社周辺には神社の杜があって伐採も立ち入りも禁止されていますので、鬱蒼(うっそう)とした広葉樹の森が広がっています。

 しかし奈良公園の多くは鹿が下草を食べてしまうので、日当たりのいいところは在来種の芝が覆い、林の中はただ落ち葉と鹿の糞が落ちているだけ。



奈良公園の牝鹿と仔鹿
奈良公園の牝鹿と仔鹿




 この作品でも鹿に話しかけられるのはとなりで遠足の小学生がワイワイとおべんとうを食べるようなところ。
 『もののけ姫』とちがいなんか世俗まみれた感じがします。

 しかし、人間を恐れず、なにか言いたげにこちらをじっと見つめる奈良公園の鹿たちを見ていると、『鹿男あをによし』が実際のあったことで、となりにいる鹿から今にも話しかけられそうな錯覚を感じます。



小学生がお弁当を食べる奈良公園
小学生がお弁当を食べる奈良公園




 この作品も2008年に玉木宏さん主演でテレビドラマ化されています。

 ただ中心のスタッフが奈良や近畿出身者でないためか、せっかく奈良公園でロケーションしているのに奈良らしさがまったく感じられず、どこか関東のような感じがする、残念な作品になってしまいました。

 それなら千葉や埼玉などに舞台を移しても良かったような気がしますが、人間の姿を見ると逃げていってしまうような鹿が話しかけてくることに「もしや」と思わせるところは、日本でも奈良公園以外は、ないのかもしれません。



まだ袋角の奈良公園の牡鹿
まだ袋角の奈良公園の牡鹿




 前作の『鴨川ホルモー』、そしてこの『鹿男あをによし』、長編3作目の『プリンセス・トヨトミ』(映画はまったくちがう作品と思ってください)と、常識ではありえない話です。

 それなのに、京都、奈良、大阪の舞台となった土地に行くと、現実のことかもしれないと思えてくる妙なリアリティーを感じる作品です。

 ただ、京都で「ホルモ~~~~~」と言う叫び声を探したり、大阪城の謎の地下施設探したりするのとはちがい、奈良公園へ行く時には近寄ってくる鹿にはご注意ください?



 余談ですが。

 物語に大きく関わってくる女子高生の顔が魚を連想させるとあるので、もしや「イスマス面」で、地震はオオナマズでなく千匹の山羊が起こしているのかと思ったのですが、この作品ではただの「魚を連想させる顔」だったようです。



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シカの角はツンツンとがってる

 奈良(なら)公園で鹿の角切りがはじまりました。奈良の秋の恒例行事(こうれいぎょうじ)です。
 奈良公園のシカは放し飼い(はなしがい)で自由にあちこち歩き回っています。人間も(こわ)がりません。
 それどころかシカの方から寄ってきます。
 そういうわけで、奈良公園はシカと直接(ちょくせつ)()れあえる場所のひとつです。

 「シカ」といってもいろいろな種類がいて、奈良公園のシカは「ニホンジカ」と呼ばれるそうですが、普通「シカ」と聞いて想像するのは、このニホンジカでしょう。

奈良公園のニホンジカ

 ニホンジカの角は先がとがっていて、もし角に()されるようなことがあると、大怪我(おおけが)をしてしまいます。
 ですから、角が()びてオスの気が(あら)くなる秋に角を切るのです。
 (いた)そうですが、シカの角は骨ではないので切っても痛くなく、また来年になると生えてきます。
 シカの角は皮膚(ひふ)が変化したものということなので、人間の爪と同じようなものなのでしょう。

 ところで、奈良というと2010年の「平城遷都(へいじょうせんと)1300年祭」のマスコット「せんとくん」。奈良のあちこちで見かけます。
 頭に角が生えていると言って問題になっていましたが、奈良公園のシカを見ているとなんか変な感じがします。特に角が。

 シカの角は頭の上からそのまま上に向かって(えだ)を広げるように伸び、先はツンツンとがっています。
 でも「せんとくん」の角は、頭の横の方から左右に広がって、さらに先は丸くなっています。
 てっきり奈良公園のシカの角をまねたと思っていたのですが、ちがうようです。

 どうして奈良のお祭のキャラクターの角が、奈良で有名なニホンジカの角でないのかは、(なぞ)です。

 そういえば、「せんとくん」が話題になったときに登場した「まんとくん」の角は、ちゃんととがっていますね。
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タグ: ニホンジカシカ奈良公園

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都会の植え込みから自然あふれる山まで。
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