山に住む哺乳類の動物と出会うのは結構運が必要です。
数が少ないこと、夜行性の種類が多いこと、人間を恐れて近寄ってこないこと、他にもいろいろと理由はあるでしょう。
そんな姿を見ることができない動物たちが、そこで生きている証拠となるのが、フィールドサイン。
動物たちの生活の
痕跡です。
しかし
糞ふん、
足跡あしあと、
食痕しょくこん、寝床などのフィールドサインも、多くの動物ではそう簡単に目にするものではありません。
そんなフィールドサインにいっぱい出会えるのが、冬。
雪が積もったとき。
足跡限定ですが、いろいろな動物のフィールドサインと出会えます。

雪の金剛山

雪の葛城山
ということで2013年の冬の金剛山地の
金剛山こんごうざんと
大和葛城山やまとかつらぎさん周辺で出会ったフィールドサインです。
ただし、間違っている可能性がありますので、ご注意ください。
ウサギ目
いわゆる「ウサギ」とよばれる動物です。
雪の野山のフィールドサインの定番?
特徴は「Y」字型の足跡と、極端に長い後足の足跡。
ニホンノウサギ(日本野兎)
ウサギ科 ノウサギ属
横に並んだ二つの細長い足跡と、縦に並んだ丸い二つの足跡が特徴。
前にある細長いのが後足で、縦に並んだ小さいほうが前足になります。

旧国道309号線の遊歩道の足跡

葛城山天狗谷道の足跡

葛城山天狗谷道の足跡
藪の中から出てきています。

天狗谷道の足跡

旧国道309号線の遊歩道の足跡
食肉目
別名「ネコ目」ですが「イヌ」も含まれ、ほとんどが肉食です。
山に多いイヌ科の野生動物は足跡の形もよく似ていますが、大きさや歩き方などが見分けるポイントになりそうです。
イエイヌ(家犬)
イヌ科 イヌ属
タヌキの可能性もありますが、車が通る旧国道部分の駐車場から伸びる歩道部分で、人の足跡の上にもついているので飼い犬としました。
爪の跡があるのでネコではないでしょう。

旧国道309号線の遊歩道の足跡

旧国道309号線の遊歩道の足跡
上の二つは蹠球しょきゅうと3番目4番目(四つ並んだ内の内側のニつ)の指球しきゅうの間が開いているのでタヌキかもしれません。

旧国道309号線の遊歩道の足跡
タヌキ(狸)
イヌ科 タヌキ属
イヌの可能性も捨てられないところですが、山頂付近で近くに人間の足跡がなかったのでタヌキとしました。

大和葛城山山頂付近の足跡

金剛山ダイヤモンドトレイル
付近の足跡
左はちょっと小さいのでテンの可能性も。
右は蹠球と3番目4番目の指球の間が開いているのがタヌキっぽい。

大和葛城山山頂
テン(貂)
イタチ科 テン属
金剛山地の山ではよく見かける足跡です。
雪のないときはサインポストの糞をよく見かけます。
よく似た動物にイタチがいますが、イタチは平野の水辺を好むということでテンとしました。
見た目はタヌキやイヌと似ていますが、小さいので区別出来ます。

金剛山ガンドガコバ林道の足跡

大和葛城山天狗谷道の足跡
テンもウサギのような足跡を残すこともあります。
テンは前足も後足も足跡の大きさはそれほど変わりませんが、ウサギは後足のほうが前足の数倍の長さがあります。
左右に並ぶ後足の部分が後に続く前足とそれほど変わらないのでテンとしました。

和泉葛城山ダイヤモンドトレイルの足跡
一見ウサギのようですが、よく見ると後脚が大きくありません。

金剛山ちはや園地のウサギ型足跡

金剛山モミジ谷の
くずれたウサギ型足跡
ネズミ目
名前の通りネズミの仲間です。
前足と後ろ足の大きさは違うのですが、足跡そのものが小さく大抵崩れているので種の判別は困難。
足跡の真ん中に筋が一つあれば尻尾を引きずったあとでネズミの可能性が高くなりますが、跡がないからといってリスと決めつけるわけにはいきません。
また、スズメのような小鳥の可能性もあります。
ネズミの場合は、山に住んで地面をよく走るアカネズミ、リスの場合は、ホンドリスの可能性が高いと思います。
ということで、とりあえず足跡写真を並べました。
アカネズミ(赤鼠)?
ネズミ科 アカネズミ属
足跡の間に何かを引ずったような細い線があるのでネズミとしました。

葛城山ダイヤモンドトレイルの足跡

大和葛城山天狗谷道の足跡

大和葛城山天狗谷道の足跡
ニホンリス(日本栗鼠)?
リス科 リス属
こちらは足の間に尻尾の跡がないのでリスにしました。

葛城山ダイヤモンドトレイルの足跡

葛城山天狗谷道の足跡
鯨偶蹄目
もとは
偶蹄目ぐうていもくと言われ、足の先に歩くための大きな爪(蹄)を持つ哺乳類の内、蹄の数が偶数の動物です。
日本の里に近い山ではイノシシとニホンジカがよく現れます。
イノシシ(猪)
イノシシ科 イノシシ属
金剛山地は人が住む平野に挟まれた狭い山でニホンジカを見かけた話は聞きません。
麓ではイノシシ注意の看板を見かけますので、イノシシとしました。
やたらと真っ直ぐな足跡が気になりますが、足跡は幅があり(足が大きい)、歩幅も開いているのでそれこそイノシシくらいの大きさの動物でしょう。

大和葛城山山頂付近の足跡

大和葛城山山頂付近の足跡

大和葛城山山頂付近の足跡
一見タヌキのような食肉目が雪を蹴り飛ばしながら歩いたように見えます。
でもよく見ると右のように2本の指跡らしきものがみえますので、鯨偶蹄目げいぐうていもくの動物のイノシシとしました。
サル目
「霊長目」とも言われます。
「霊長類」も同じような意味です。
「サル」と呼ばれる動物ですが、日本の在来種はニホンザルのほか史前帰化と思われる一種しかいません。
ヒト(人)
ヒト科 ヒト属
足跡ではありません。
5、6歳程度の幼体のものと考えられます。
何らかの意図を持った成体によって付けられた可能性が高いと思います。
なにかの儀礼跡かもしれません。
普段見ることがない動物が確かにいることがわかるフィールドサインは、このように雪が積もった時によくみつかります。
住宅街でもヒト以外にも色々な生き物のフィールドサインが見つかるかもしれません。
雪の季節が楽しみです。
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