日本在来の動物で一番トラなのは?
2022年は寅年。
トラ年。
本来は動物とは関係がなかったのですが、干支が広がっていく過程でわかりやすいように動物が当てられるようになり、今に至ります。
中国発祥ですので日本には住んでいなかったり日本風に変わっていたりする動物もあります。
その一つが、今年のトラ。

トラがネコの仲間なのはよく知られていると思います。
分類でトラは。
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ヒョウ亜科 ヒョウ属
ネコは。
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ネコ属
亜科から分かれています。
それどころか、「トラ」は分類では現れてきません。
ヒョウ属だったのです。
科 | ネコ科 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
亜科 | ヒョウ亜科 | ネコ亜科 | |||||
属 | ヒョウ属 | ベンガルヤマネコ属 | ネコ属 | オオヤマネコ属 | |||
種 | ライオン | トラ | ベンガルヤマネコ | イエネコ | オオヤマネコ | ||
亜種 | ツシマヤマネコ | イリオモテヤマネコ |
今の日本には、在来種としてのトラは住んでいません。
しかし、大昔にはトラは住んでいました。
ただ、それは日本の歴史が始まるはるか前。
「歴史」は、本来、文字による人間の活動の記録のこと。
つまり、日本の場合は奈良時代かせいぜい古墳時代、無理して弥生時代後期でしょうか。
文書には日本にトラがいたことが記録されていないようなので、日本の歴史が始まるころにはもうトラが住んでいたことは忘れ去られていたようです。
山口県 中期更新世(13万~180万年前)
大阪市立自然史博物館〈氷河時代展(終了しています)〉

トラ 左第5中手骨
岐阜県 後期更新世(1万2千~13万年前)
大阪市立自然史博物館〈氷河時代展(終了しています)〉

1万年以上前にはトラ以外にもヒョウやオオヤマネコなどネコ科の動物が住んでいました。
それが、沖縄県西表島のイリオモテヤマネコと、長崎県対馬のツシマヤマネコ以外日本からいなくなってしまいました。

イリオモテヤマネコ〈国立科学博物館〉

ということで、現在の日本の在来種でもっともトラに近いのは、イリオモテヤマネコと、ツシマヤマネコ。
トラ
虎
Panthera tigris
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ヒョウ亜科 ヒョウ属
ツシマヤマネコ
対馬山猫
Prionailurus bengalensis euptilurus
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ベンガルヤマネコ属 種ベンガルヤマネコ
ベンガルヤマネコの亜種アムールヤマネコの日本在来種の名
イリオモテヤマネコ
西表山猫
Prionailurus bengalensis iriomotensis
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ベンガルヤマネコ属 種ベンガルヤマネコ
ベンガルヤマネコの日本固有亜種

![]() |
タグ: 寅 虎 トラ 十二支 アムールトラ ツシマヤマネコ イリオモテヤマネコ ベンガルヤマネコ

- 関連記事
-
- そしてトラや大きな動物は消えていった (2022/01/04)
- 日本在来の動物で一番トラなのは? (2022/01/01)
- いったいどこからウシなんでしょうか? (2021/01/01)
theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術