とにかくハチのことならなんでもそろっていそうな大阪市立自然史博物館の「のぞいてみようハチの世界」。
ハチの代名詞にもなっているミツバチ。
そのミツバチ以上に身近なハチとも言えるのが、スズメバチやアシナガバチ。
刺されて痛い思いをするだけでなく、スズメバチの場合は死亡することもあります。
「のぞいてみようハチの世界」展のガイドブックによると、日本の野生の動物による死亡件数では、クマやイノシシを超えスズメバチが一番だそうです。
それはスズメバチが一番身近でなおかつ危険な生き物だからでしょう。
それなら、スズメバチやアシナガバチの巣を見つけたら、すぐに駆除するべき。
なのでしょうか。
家や通学路のように人間の日常生活の場の中に作られた巣であれば、被害が出る前、被害が広がる前に駆除すべきでしょう。
だからと言って絶滅させることはもちろん人間の生活範囲の外まで駆除するのは、どうでしょうか。
自然というのは無数の生き物が複雑に関係しあって成り立っています。
それは長い時間をかけて安定してきた関係なので、人間が思い通り操作できるような簡単な仕組みではありません。
人間の都合だけで生き物の数を増やしたり減らしたりすると、自然はバランスを崩してしまいます。
スズメバチもアシナガバチも自然の大きな仕組みの中の一部としての役割を持っています。
どちらのハチもイモムシを幼虫の餌にします。
つまり、スズメバチやアシナガバチをやたらと駆除すると、天敵が減ってイモムシがやたらと増えることになり、畑や庭木の葉がたくさん食べられることになるかもしれません。
では、スズメバチ対策はどうしたらいいのでしょうか。
「のぞいてみようハチの世界」展のガイドによると、どうやら基本は近寄らないこと。
山を歩いていて蜂に襲われるのは多くの場合は巣に近づきすぎたため。
巣に近寄ってくるのは敵と考え、まず偵察に飛んできたり、カチカチと警告音をだすので、それに気づいたら近寄らないこと。
運悪く襲われてしまったときは、特別展の展示によると、すぐ逃げること。
その場にとどまるとどんどんハチが集まって集団に襲われることになります。
そして残っていたら毒針を抜いて、毒を絞り出すように流水で洗って、抗ヒスタミン剤が含まれた虫さされの薬を塗ります。
それでも体調が良くないときはすぐ医者に!
ということで、具体的な対策というのは、スズメバチやアシナガバチを見つけたらこちらを警戒しているかどうか注意すること。
ハイキングや公園などへ行くときは、あらかじめスズメバチなどの情報がないかホームページなどでチェックすること。
ものすごく消極的ですがその程度しかないようです。
でもそれは、人間はスズメバチやアシナガバチ同様大きな自然の一部だと謙虚になる、ということなのでしょう。
自然との付き合い方は、人間の都合を押しつけるだけではいけないということを教えてくれた「のぞいてみようハチの世界」展の開催期間は2012年の10月14日まで。
終了まであとわずか。
運悪く行けなかった場合、この記事を見たのが終了してからの場合などは、ぜひ展覧会ガイドブックを。
展示の副読本としてだけでなく、場合によってはさらに踏みこんだ解説もしていますので、展示が終わっても資料として十分活用できます。
特別展のガイドブックや図録は自然史博物館のミュージアムショップで販売しています。
インターネットでも販売しています。
また大阪のジュンク堂書店の難波店では開店した時から自然史博物館コーナーがあり、博物館グッズや展示ガイドを販売しています。
過去の特別展のものも販売していますので、博物館へ行く時間がない人はいいかもしれません。
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