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秋になると欲しくなる1冊。実は一年中使えます!『どんぐりハンドブック』いわさゆうこ 著 文一総合出版 刊

 秋になると、子どもたちがなぜか集めはじめるのがどんぐり。
 みんな同じように見えるどんぐりにも、いろいろと種類があります。
 日本に自生しているどんぐりを集めた図鑑。
 それが『どんぐりハンドブック』。

どんぐりハンドブック

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 どんぐりの説明から、どんぐりができる樹木の特徴も載っています。
 そんな本ですから、どんぐりだけでなく葉っぱからもどんぐりの木が探せるようになっています。
 ですから落ちていたどんぐりが、どの木から落ちたのかもわかるかもしれません。

近畿では里山の定番コナラのドングリ

 どんぐりの定義にはいろいろありますが、この本ではブナ科樹木の堅果のこととしています。
 そすると、実はどんぐりにも思ってもいないような形があり、なんと、クリもどんぐりになってしまいます。
 ほかにも花が咲いてから数ヶ月でできるどんぐりから、1年以上かかって次の年になってやっと熟すものまで。
 形も丸いのから細長いの、三角のものまで様々。

まとまってできるシラカシのどんぐり

 この本でどんぐりのことを勉強して近所を歩いてみると、実に色んな所にどんぐりの木があることがわかります。
 公園はもちろん、道端や垣根まで。
 特に垣根のどんぐりの木は毎年刈り込まれどんぐりができないので、まったく気づきませんでした。

できるのに2年かかるクヌギの若いどんぐり

 そんなどんぐりのできない木には葉の形の索引がついています。
 解説ページには、花の写真もありますから、どんぐりの無い季節でもだいじょうぶ。
 一年中、どんぐりの木のことがわかります。

中身が出てしまったブナのどんぐりの殻斗

 ということで、山から雑木林に、公園街路に、垣根まで。
 いたるところに生えている、そして植えられているどんぐりの木の世界。
 『どんぐりハンドブック』で1歩踏み出してみると面白いかもしれません。

■参考外部リンク■
文一総合出版

どんぐりハンドブック

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タグ: どんぐりハンドブックどんぐりコナラシラカシクヌギブナ秋の実冬の実ハンドブック(文一総合出版)文一総合出版

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雑木林にもこんなに不思議な生き物がいっぱいいたなんて!『教えてゲッチョ先生!雑木林のフシギ』盛口満著 ヤマケイ文庫刊

 様々な生き物のスケッチの描き方と生態を紹介した東京大学出版会の『生き物の描き方』『昆虫の描き方』『植物の描き方』の「描き方シリーズ」の著者の本です。
 盛口満さん。
 またの名をゲッチョ先生。

教えてゲッチョ先生! 雑木林のフシギ (ヤマケイ文庫)

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 ゲッチョ先生が高校教師のころ、生徒たちと出会った雑木林の生き物のエッセイ。
 一つのテーマが4ページできっちりと終わります。
 この本の特徴は、「里山」と書かずに「雑木林」としているところ。
 一般的な言葉としては、「雑木林」も「里山」も大きなちがいはありません。
 「里山」は「雑木林」のことではありませんが、「雑木林」は「里山」のひとつ。
 つまり、里山のいろいろな姿の一つが、雑木林ということです。

子供の頃のゲッチョ先生にとって憧れのドングリだったクヌギ

 初版は2003年の出版で当時なら「雑木林」のほうがわかりやすかったでしょう。
 ですから、文庫版として2016年に再版するのなら、「雑木林」よりも目を引く「里山」に変えるのは、ビジネスとしては当然のこと
 でも、「雑木林」のまま。

 ですから、内容も最近よくある、里山を神聖視してしまい、「里山は生物多様性のある大切な自然だからなにがなんでも守らならければならない!」というようなことはまったく、微塵もありません。
 ただただ、雑木林で出会った面白く奇妙な生き物たちの紹介です。

冬虫夏草(虫草)のカメムシタケ

 それも、昆虫だけでなく、植物、哺乳類、キノコなどなど。
 昆虫だけ、鳥だけ、花だけと特定の生き物にかたよることなく、幅広く取り上げます。
 なぜなら、それら様々な生き物たちが複雑に関係し合い、時には食べ、時には食べられ、と立場も入れ替わるのが雑木林の姿です。

 見たことも聞いたこともないような生き物もいるかもしれません。
 ものすごくめずらしいと思っている生き物もいるかもしれません。
 でも、みんなゲッチョ先生の学校のまわりの雑木林にいる生き物たち。
 雑木林はいろいろな生き物たちが、ぞれぞれ関係しあって生きているのがこの本でもわかります。

おそらくムササビがマツボックリを食べた痕のエビフライ

 どのような生き物が登場するのか、ちょっとだけ目次から抜き出してみます。

ドングリって何?
林のゴキブリ
冬虫夏草って知っている?
ゾウの鼻を持つさなぎ
マツボックリのエビフライ
トンボにとりつくキノコ
日本原産の果物を知っている?

 ほんとうにいろいろな生き物が登場しています。

 このように雑木林でどのような生き物たちがどのように生きているのか、その一端が描かれています。
 きっとこの本を読んでから雑木林・里山に行くと、今まで気が付かなかったことがたくさん発見できるにちがいありません。
 雑木林で自然観察するときのポイントのたくさんあり、参考になる1冊です。

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■参考外部リンク■
【ゲッチョの公式サイト】ゲッチョのカマキリ広報
ヤマケイ文庫 教えてゲッチョ先生!雑木林のフシギ | 山と溪谷社

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タグ: 教えてゲッチョ先生!雑木林のフシギ盛口満クヌギカメムシタケ山のエビフライ

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棚田のいきもの 2016年2月上旬の乾果

 真冬の2月の下赤阪の棚田ビオトープ。
 花が少ないということは、当然実も少なくなります。

緑の絨毯を敷いたような棚田の流れ

植物界 被子植物門
果実 タグ:下赤阪の棚田の果実
〉乾果 かんか:汁気の少ない果実 タグ:乾果
〉〉裂開果 れっかいか:熟すと割れる乾果 タグ:裂開果
〉〉〉角果 かくか:2部屋の裂開果
〉〉〉〉長角果 ちょうかくか:長い角果

タネツケバナ(種漬花)
Cardamine scutata

双子葉植物綱
アブラナ目
アブラナ科
タネツケバナ属
越年草
タグ:タネツケバナ

細くて熟していないようですが、熟してもこれくらい。

中には小さなタネがたくさん入っていて、ちょっとしたことで破裂してタネをそこら中に飛ばします。

〉〉〉〉長角果
果実 〉乾果 〉〉裂開果〉〉〉角果
〉〉〉〉短角果 たんかくか:短い角果

ナズナ(薺)Capsella bursa-pastoris

双子葉植物綱 フウチョウソウ目 アブラナ科 ナズナ属
越年草
別名:ペンペングサ
タグ:ナズナ

〉〉〉〉短角果
〉〉〉角果
果実 〉乾果 〉〉裂開果
〉〉〉蓋果 がいか:上部が蓋のように取れる裂開果

オオバコ(大葉子)
Plantago asiatica

双子葉植物綱
シソ目
オオバコ科
オオバコ属
多年草
タグ:オオバコ

〉〉〉蓋果
〉〉裂開果
果実 〉乾果
〉〉閉果 へいか:熟しても割れない乾果 タグ:閉果
〉〉〉痩果 そうか:皮と種が分かれない閉果

ノアザミ(野薊)
Cirsium japonicum

双子葉植物綱
キク目
キク科
アザミ属
多年草
タグ:ノアザミ

枯れた花弁が残っていて帽子のようです。

とれてもタンポポのように丸くはなりません。

タンポポ(蒲公英)Taraxacum

双子葉植物綱
キク目
キク科
タンポポ属
多年草
タグ:タンポポ

在来種のタンポポと外来種のタンポポがありますが、花が咲いていないとわからないほどよく似ています。

多分セイヨウタンポポだと思いますが、よくわかりません。

オニノゲシ(鬼野芥子)
Sonchus asper

双子葉植物綱
キク目
キク科
ノゲシ属
越年草
ヨーロッパ原産
タグ:オニノゲシ

〉〉〉痩果
果実 〉乾果 〉〉閉果
〉〉〉穎果 えいか:痩果よりも皮と種が密着した閉果

ススキ(芒,薄)
Miscanthus sinensis

単子葉植物綱
イネ目
イネ科
ススキ属
多年草
タグ:ススキ

よく似た植物に水辺を好むオギがあります。

ちがいの一つは、果実にまっすぐ伸びたひげ(ノギ)があるかないか。あればススキ。

〉〉〉穎果
果実 〉乾果 〉〉閉果
〉〉〉堅果 けんか:木質化した果皮に種子が覆われた閉果

クヌギ(櫟)
Quercus acutissima

双子葉植物綱
ブナ目
ブナ科
コナラ属
落葉高木
タグ:クヌギ

まだどんぐりが残っていました。

〉〉〉堅果
〉〉閉果
〉乾果
果実
植物界 被子植物門

 こんな状況でも、やっぱりキク科はほかより多い!
 そして、地味にアブラナ科もタネをつくりはじめました。

タグ♦ 下赤阪の棚田のいきもの目次

■参考外部リンク■
下赤阪の棚田 | 千早赤阪村観光協会


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タグ: 下赤阪の棚田2016下赤阪の棚田2016/22月の下赤阪の棚田の植物果実/SA-tanada乾果/SA-tanada堅果/SA-tanadaノアザミタンポポススキクヌギ

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巨樹・古樹・老樹 その34 錦織公園の水辺の里の休憩所裏山の黄葉している大椚

 住宅街の中にあって身近な生き物ネタの宝庫、錦織(にしこおり)公園。
 なんですが、紅葉についてはあまりいいネタをくれません。
 この時期にいいネタをくれるのが、黄葉、そして褐葉。

水辺の里の遊具とぽつんと紅葉しているモミジバフウ
紅葉しているモミジバフウ

 コナラだらけの園内の中で、素通りしてしまいそうですが、気がつくと「おおっ」ってなる黄葉・褐葉の一つが、大クヌギ。
 水辺の里の屋根がある休憩所の裏山のクヌギ。
 北入口から入って峠のつり橋をくぐる道へ向かう途中。
 正面に見えてきます。

 丘から切りだされて船のような形の小さな山。
 その舳先に当たるところに生えている大きなクヌギ。

錦織公園の水辺の里の休憩所裏山の黄葉している大椚(2015年12月)
黄葉してるクヌギ

 園内に大きなクヌギはいくつもありますが、みんな林の中。
 このクヌギだけは、船の舳先、岬の先端のようなところに生えているので、全体がよく見えます。
 冬の間は葉が落ちて枯れ木のよう。
 夏の間は葉が茂って緑の木。
 でも、初冬には木全体が黄色に染まってきれいです。

 ただ、道よりもずっと上の方に生えているので、目的地を目指して歩いていると、気付かないかもしれません。
 目立つのに目立たない大きなクヌギです。

巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木

■参考外部リンク■
錦織公園 | 大阪府富田林市 大阪府営公園


ドングリのなる木!クヌギ 樹高1.0m前後 どんぐりの木【あす楽対応_九州】

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タグ: 巨樹・古樹・老樹クヌギ黄葉錦織公園

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genre : 趣味・実用

クヌギやコナラだってきれいです!

 明治神宮の森に匹敵する広さがある錦織公園。
 晩秋から初冬にかけてはコナラやクヌギの落葉の季節。
 どちらも葉が茶色くなって落ちます。
 カエデなどの紅葉とちがって、ちょっときたなく感じるかもしれません。
 いかにも枯れ落葉って感じで。

 でも、時に、場所やタイミングによっては、きれいに見ることもあります。
 錦織公園では、初冬の晴れた日に行くと、黄色味の鮮やかな褐色。
 きれいな褐葉が見られることもあります。

水辺の里を見下ろす位置にある大クヌギ
クヌギの褐葉

 里山を模して整備された錦織公園では、園内中にコナラが植えられ、所々にクヌギがあります。
 褐葉する木は、同じ種類でもきれいになる木、茶色になる木、いろいろあります。
 どこで分かれ道ができるのかわかりませんが、きれいに見える時と、きれいに見える位置があるような気がします。

やんちゃの里の遊具とコナラ
やんちゃの里のコナラ1

やんちゃの里のコナラ2

下から見上げてもきれいなコナラ
見上げたコナラ1

河内の里のコナラに覆われた山辺の道から見上げたら
見上げたコナラ2

奥の池に写る褐葉
池に写る褐葉

 近くにブナ科の里山があったら、じっくり見て回ると褐葉ポイントがあるかもしれません。

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タグ: 褐葉コナラクヌギ錦織公園初冬の錦織公園

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どんぐりの種類が増えていっぱいに! 秋から冬の錦織公園

 晩秋の錦織公園で見られるどんぐりの木(ブナ科)8種類の記事を公開した直後、もう1種類のどんぐりの木を見つけました。
 ということで、新たに出会ったものを含めて錦織公園の9種類(IWO調べ)のどんぐりの木をあらためて紹介します。

ブナ科
┣クリ属
┃┗【クリ(栗)Castanea crenata

落葉高木

モンブランケーキの材料にもなる食べる栗です。

「どんぐり」というイメージではありませんが、ブナ科の立派などんぐりの木。

里山では定番の木の一つなので、公園にもあちこちにあります。
元からあったものと植栽されたもの、両方があるのかもしれません。

ただ、盛んに集める人がいるので、クリの実を目にすることはありません。
中身の無いイガ(殻斗)は山のように見かけますが。

もちろん、公園の管理者の許可無くクリを大量に持ち帰るのは、やってはいけないことです。

普通にスーパーなどで目にするクリよりも小さいクリもあります。
山などに自生していて、「柴栗(しばぐり)」と呼ばれます。

クリの野生種と言われ、つまりお店で売っているクリは実が大きくなるように改良された栽培品種。
でも植物学的には、同じ「クリCastanea crenata」。

錦織公園では、小さなクリは未舗装の林の中で見かけますので、こちらは元から生えていたクリかもしれません。

┣シイ属
┃┗【ツブラジイ(円椎)Castanea crenata

常緑高木

旧記事を書いた直後に見つけたどんぐりの木。

アク抜きをしないで食べられるどんぐりなので、里山で不作の時の食べ物(救荒植物)として育てられることもあります。

錦織公園では、食べられるどんぐり3種のひとつ。
ただし、ほかの2種はどんぐりができなかったり、木が小さく量が少なかったりで、それなりの量が集められるのはこのツブラジイだけ。

ブナのように殻斗(どんぐりのぼうし)が全体を覆っているのがツブラジイ。
ただ、ブナとイヌブナは殻斗の中にはどんぐり二つ。
ツブラジイやスダジイは、一つだけ。

同じシイ属のスダジイとは、同じ種とされることもあるほどよく似ています。
スダジイとくらべると、名前のようにどんぐりが丸くて小さい(上左)のがツブラジイですが、中には長め(上右)のもあり、ほかの特徴と合わせて考える必要があります。

ほかには、樹皮が平滑(ツブラジイ)と縦に裂ける(スダジイ)、幹は真っ直ぐ伸びる(ツブラジイ)とよく分枝する(スダジイ)などがあります。

錦織公園では、北東の山谷千樹の径の竹林の近くと、河内の里つつじの丘の鉄塔の近くにあります。
鉄塔付近は公園以前からの木が残されているとききましたので、救荒用に植えられていたものかもしれません。

錦織公園のものは、成長した木でも樹皮が平滑、途中での分枝がほとんどない、どんぐりは丸いものが多い、ということで、ツブラジイとしました。

┣ブナ属
┃┗【イヌブナ(犬椈)Fagus japonica

落葉高木

大阪では山の標高の高いところに生える樹木。
ほんとうに高いところにはブナが生えますので、その周囲、杉が植林されていないところにブナやミズナラなどと混ざって生えているようです。

そんな木がどうして標高100メートル余りの里山公園にあるのかはわかりません。

ほかの種類の樹木のようですが、葉脈から分かれた支脈の先が凹むという、普通の葉と逆の葉縁はブナの仲間の特徴。
少なくとも、ブナ属なのはまちがいないでしょう。

標高の低いところでも育つことはできるようですが、ほかの樹木に負けてしまうので自生していない、ということも聞きます。

しかし、錦織公園ではほかの木々にあまり邪魔されない日当たりの尾根に生えているというのに、花もどんぐりも見たことがありません。
そしていつ見ても調子が悪そうで、気になります。
やはり温かいところは苦手なのでしょう。

ということで、このどんぐりを食べることは不可能です。

┣マテバシイ属
┃┗【マテバシイ(馬刀葉椎)Lithocarpus edulis

常緑高木

温暖な沿岸部に自生する常緑樹。
街路樹に使われますが、ここには自生していなかったと思います。

ということで、石畳の里でしか確認できていません。

どんぐりが細長いのが特徴。
そしてアク抜きしなくても食べることができるどんぐり。
むかしは炒って食べたそうです。

ただ、どんぐりが熟すのには、およそ1年半が必要。
小さいのに時間がかかります。

錦織公園のどんぐりの内、アク抜きがいらない数少ないどんぐり。

木が小さく1箇所でしか確認されていませんので、誰かがどんぐりをまいたのかもしれません。

┗コナラ属
 ┣コナラ亜属
 ┃┣コナラ節
 ┃┃┗【コナラ(小楢)Quercus serrata

落葉高木

公園内で一番多い樹木と言われるどんぐりの木。
大阪の里山では最もポピュラーな樹木で、葉は肥料、幹はホダ木や薪や炭などいろいろ利用されていました。

引き伸ばしたラグビーボールのようないかにもどんぐりらしい形。
ただし、形にはバリエーションがあり、アラカシのように丸いものからマテバシイのように細長いものまでいろいろあります。

殻斗(どんぐりの帽子)にはウロコのような模様があり、アラカシやシラカシと見分けることができます。

元から生えていたものもあると思いますが、多くが植林されたものでしょう。
里山ではよくある、切られた幹の周りから枝がたくさん伸びたおもしろい形の台場切りされたコナラは見られません。

 ┃┣クヌギ節
 ┃┃┗【クヌギ(櫟)Quercus acutissima

落葉高木

近畿の里山ではコナラと並んでポピュラーな樹木ですが、錦織公園ではコナラほど多くありません。

どんぐりが大きく横から見ると四角、殻斗が反り返った太いトゲに覆われているのが特徴。
近縁のアベマキ似ていますが、ここにはないようです。
葉や樹皮はクリに似ています。

 ┃┗ウバメガシ節
 ┃ ┗【ウバメガシ(姥目樫)Quercus phillyraeoides

常緑高木

常緑で、強い刈り込みにも耐えることができるので、垣根によく使われます。
ただ、そういうウバメガシにどんぐりはあまりできません。

鱗状の殻斗はコナラに似て、どんぐりはコナラ以上にラグビーボールのような形をしています。
2個セットで枝につき、マテバシイと同じように熟すのに1年半ほどかかります。

上質な木炭の材料としても有名で、炭焼きの盛んなところでは里山にもよく植えられるようです。
大阪南部や和歌山などでは海岸林によく生えます。

園内でも垣根に使われているところもありますが、大きく育っているところもあります。
特にどんぐりの森のはずれには、大きなウバメガシの小さな林があります。

 ┗アカガシ亜属
  ┣【アラカシ(粗樫)Quercus glauca

常緑高木

人の手が入った照葉樹林でよく見かける常緑樹。
大阪丘陵部のほったらかしのままの森(極相)の主要な樹木と考えられます。

ということで、園内ではあちこちに大きいのから小さいのまでいろいろ生えています。
園内のコナラは植樹されて30年以上。
老木が多く、このままではアラカシだらけになると言われています。

どんぐりは心なしが真ん中より先のほうが一番太くなっているのが特徴。
でも、どんぐりによって差が大きいので単純にどんぐりの形だけでは見分けられません。

殻斗は横縞模様で、シラカシと同じ。

ウバメガシと同じ刈り込みにも強いようで、河内の里では垣根に使われています。

  ┗【シラカシ(白樫)Quercus myrsinifolia

常緑高木

アラカシによく似た常緑樹どんぐりですが、錦織公園では少数派。
限られたところにしか生えていません。

どんぐりは中央あたりが一番太くなりますが、そんな感じのアラカシのどんぐりもありますので、ちょっと注意が必要。
葉もどんぐりもアラカシによく似て、なれないと見分けるのがむずかしい。
そんなとき、公園ではとりあえず「アラカシ」とすれば大体あっていると思います。

どんぐりがたくさんがまとまってつくのはシラカシの特徴。

名前は葉や幹が白いのではなく、木材になる部分(材)が白いことが由来。

「白」に惑わされないように。

 ということで、新しく追加された錦織公園のどんぐり。  まだ生えていても不思議じゃないどんぐりはありますので、これからも新しい発見があるかもしれません!

■参考外部リンク■
錦織公園 | 大阪府富田林市 大阪府営公園

どんぐりハンドブック

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タグ: どんぐりクリツブラジイイヌブナマテバシイコナラクヌギウバメガシアラカシシラカシ

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秋です。いろんなどんぐりを見てみよう! 錦織公園

 冬も間近の晩秋。
 どんぐりの季節。
 ということで、錦織公園へどんぐりを見に行ってきました。

 錦織公園のどんぐりの木、つまりブナ科の樹木は8種類(IWO調べ)。
 さあ、どんな感じでしょうか。

ブナ科
┣クリ属
┃┗【クリ(栗)Castanea crenata
食べる栗のクリです。
「どんぐり」というイメージでないかもしれませんが、ブナ科の立派などんぐりの木です。
もともと里山にはよくある木ですので、錦織公園にもあちこちにあります。
ただ、盛んに集める人がいるので、クリの実を目にすることはありません。
中身の無いイガ(殻斗)は山のように見かけますが。
もちろん、公園の管理者の許可無くクリを大量に持ち帰るのは、やってはいけないことです。
普通にスーパーなどで目にするクリよりも小さいクリもあります。
山などに自生していて、「柴栗(しばぐり)」と呼ばれます。
クリの野生種と言われ、つまりお店で売っているクリは実が大きくなるように改良された栽培品種。
でも植物学的には、同じ「クリCastanea crenata」。
錦織公園にも実の小さな栗がありますので柴栗かもしれません。
┣ブナ属
┃┗【イヌブナ(犬椈)Fagus japonica
大阪では山の標高の高いところに生える樹木。
ほとんどの山が標高1000メートル以下でスギやヒノキが植林されまくっているので、生えているところは限られます。
そんな木がどうして標高100メートル余りの里山公園にあるのかはわかりません。
公園を作ったとき勢いで植えてしまったのでしょうか。
ほかの種類の樹木のようですが、葉脈から分かれた支脈の先が凹むという、普通の葉と逆の葉縁はブナの仲間の特徴。
今のところたった2本しか見つけていません。
大阪では平野部よりも寒いところで育つ樹木のためか、錦織公園では花もどんぐりも見たことがありません。
そしていつ見ても調子が悪そうで、気になります。
┣マテバシイ属
┃┗【マテバシイ(馬刀葉椎)Lithocarpus edulis
温暖な沿岸部に自生する常緑樹。
ここにはちょっと場違いかも。
ということで、石畳の里でしか確認できていません。
どんぐりが細長いのが特徴。
そしてアク抜きしなくても食べることができるどんぐり。
むかしは炒って食べたそうです。

ただどんぐりが熟すのには、およそ1年半が必要。
小さいのに時間がかかります。
錦織公園のどんぐりの内、アク抜きがいらない唯一のどんぐり。
同じマテバシイ属のシリブカガシはまだ確認できていません。
┗コナラ属
 ┣コナラ亜属
 ┃┣コナラ節
 ┃┃┗【コナラ(小楢)Quercus serrata
公園内で一番多い樹木と言われるどんぐりの木。
大阪の里山では最もポピュラーな樹木で、肥料から材料や燃料といろいろ利用されます。
引き伸ばしたラグビーボールのような形で、どんぐりらしい形。
殻斗(どんぐりの帽子)にはウロコのような模様があります。
元から生えていたものもあると思いますが、多くが植林されたもののようです。
そのため、里山ではよくある、切られた幹の周りから枝がたくさん伸びたおもしろい形の台場切りされたコナラは見られません。
 ┃┣クヌギ節
 ┃┃┗【クヌギ(櫟)Quercus acutissima
近畿の里山ではコナラと並んでポピュラーな樹木ですが、錦織公園ではあまりありません。
どんぐりが大きいのと、横から見ると四角、殻斗が反り返った太いトゲに覆われているのが特徴。
葉や樹皮はクリに似ています。
 ┃┗ウバメガシ節
 ┃ ┗【ウバメガシ(姥目樫)Quercus phillyraeoides
常緑で、強い刈り込みにも耐えることができるので、垣根によく使われます。
ただ、そういうウバメガシにはあまりどんぐりはできません。
鱗状の殻斗はコナラと似ていますが、どんぐりはコナラ以上にラグビーボールのような形をしています。
2個セットで枝につき、マテバシイと同じように熟すのに1年半ほどかかります。
上質な木炭の材料としても有名で、炭焼きの盛んなところでは里山にもよく植えられるようです。
またマテバシイと同じように海岸林によく生えます。

公園でも垣根に使われているところもありますが、大きく育っているところもあります。
特にどんぐりの森のはずれには、大きなウバメガシの小さな林があります。
 ┗アカガシ亜属
  ┣【アラカシ(粗樫)Quercus glauca
人の手が入った照葉樹林でよく見かける常緑樹。
ほったらかしのままの森(極相)の主要な種と考えられます。
ということで、園内ではあちこちに大きいのから小さいのまでいろいろ生えています。
園内のコナラは植樹されて30年以上。
老木が多く、このままではアラカシだらけになると言われています。
どんぐりは心なしが真ん中より先のほうが一番太くなっているのが特徴。
でも、どんぐりによって差が大きいので単純にどんぐりの形だけでは見分けられません。
殻斗は横縞模様で、シラカシと同じ。
  ┗【シラカシ(白樫)Quercus myrsinifolia
アラカシによく似た常緑樹どんぐりですが、錦織公園では少数派。
限られたところにしか生えていません。
葉もどんぐりもアラカシによく似ています。
どんぐりは中央あたりが一番太くなりますが、そんな感じのアラカシのどんぐりもありますので、ちょっと注意が必要。
どんぐりがたくさんがまとまってつくのはシラカシの特徴。
名前は葉や幹が白いのではなく、木材になる部分(材)が白いことが由来。
ですから、外から見ただけではわかりません。
「白」に惑わされないように。

 広い錦織公園には今の季節たくさんのどんぐりが転がっています。
 見つけた時にはどの木のどんぐりか調べてみると、おもしろいと思います。

■参考外部リンク■
錦織公園 | 大阪府富田林市 大阪府営公園


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