第47回特別展「氷河時代」 気候変動はなにも今にはじまったことではありません?!〈大阪市立自然史博物館〉
今年も自然史博物館の夏の特別展がはじまりました。
春は巡回する特別展。
夏は学芸員の方が企画した博物館オリジナルの特別展。
今年は「氷河時代」。
ブロガー招待で内覧会に行ってきました。

「氷河時代」。
アメリカのCGアニメ「アイス・エイジ」シリーズを思い出すかもしれません。
関係のない、ものすごく大昔のこと、と思うかもしれません。
でも、ちがいます。
実は、今、国際的に重要な問題になっている地球温暖化などの環境問題に大きく関係しているのです。
それを自然史の博物館らしい視点でとりあげたのが、この特別展。だと思います。

最終氷期には日本中にいたと考えられます
「氷河時代」または「氷河期」。
言葉はよく耳にしますが、さあ、一体いつのことでしょう。
それは、今。
氷河時代のわかりやすい説明は、氷河がある時代のこと。
今は南極やグリーンランドなどにあるので、実は氷河時代。
ただし、氷河時代の中でもちょっと暖かい、「間氷期(かんぴょうき)」と言われる時代です。
氷河が発達する寒い時期が「氷期(ひょうき)」。
氷河期は、寒い氷期とちょっと暖かい間氷期が繰り返し訪れます。

シアノバクテリアに作られた酸素によって
大量の海水中の鉄が酸化して沈殿したもの
「氷期」「間氷期」を身近な言葉で言い換えると、「寒冷化」と「温暖化」。
そう、なにかとおさわがせな「温暖化」です。
今までの気候変動のことを知って、今、そしてこれからの温暖化という気候変動についても理解を深めてみましょう、ということなのです。

海が氷で覆われて無酸素状態になったところで
温暖化で氷がとけて一気に酸素が海水に溶け込んで
溜まっていた鉄が酸化して沈殿したもの。
地球46億年の歴史の中で、氷河時代は何度もありますが、ほとんどが恐竜より古い時代のこと。
唯一いろいろと細かいことがわかっているのが、今の氷河時代。
そこで展示の中心は260万年前にはじまる「新生代後期氷河期」と、その中の7万年前から1万1700年前までの「最終氷期」。
最も新しい氷期です。

年輪のように1年毎の縞になって
毎年の気候変化の痕跡が閉じ込められています。
氷期には海水面が下がって日本と大陸がつながり、大陸の動物がやってきます。
最終氷期は本州四国九州がつながり、北海道はアジア大陸つつながったサハリンとつながります。
そして狭くなった津軽海峡が凍ったことで、北海道から大陸の動物が本州にまでやって来ました。
今、日本でもっとも大きい野生動物は、本州がツキノワグマ、北海道がヒグマですが、もっと大きい動物も大陸から渡ってきました。
大きい動物の代名詞でもあるゾウも、日本の多くの地域に住んでいました。
そういった動物の化石もたくさんあります。

マンモスは北海道にいました。
ヤベオオツノジカは北海道と沖縄以外にいましたが
なんと大阪にもいました。
こういった動物たちは、日本が暖かくなるといなくなりましたが、暖かい間氷期に日本にやってきた巨大動物もいます。
巨大ワニ。
特に大阪は巨大ワニ化石の産地。
マチカネワニ、キシワダワニ、タカツキワニの3大大阪ワニの化石が展示されています。
こういった動物たちは、日本が寒くなるといなくなりました。

名前のように岸和田市でみつかりました。
ほぼ全身が見つかったマチカネワニ(本館第2展示室)

会場のマチカネワニは撮影禁止なので
写真は本館に展示されているもの。
本館内の壁にもエイリアンのようなマチカネワニがいます。
もちろん、植物も氷期と間氷期では変わります。
それだけ気候の変動は生き物にとって重要だということ。
だからこそ、ただただ恐れるのではなく、その仕組を知り、過去の事実を知ることで、未来を想像することができます。
ただただ訳もわからず恐れるのと、ちゃんと知識を持って対処するのは、雲泥の差があります。
「氷河時代」展。
人間にとっても重要な気候変動について知る機会になると思います。
■参考外部リンク■
第47回特別展 氷河時代|大阪市立自然史博物館
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