【 キカデオイデア】

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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ケラトプシア類登場編


 残りわずかの特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 となりでは特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」で恐竜時代の植物化石と、植物園で見られる「生きた化石」の案内も展示されています。




特別展へは外階段ですが「恐竜のエサ」を見るのはこちらから




 恐竜は絶滅してしまって今はいませんが、植物は今も仲間が生き残っているものもあります。

 トリケラトプスを見たあとには、植物園に行って恐竜ビオトープを感じてみるもいいと思います。

 ということで展示されている化石と、植物園で見られる関係する植物を並べてみました。

 そのジュラ紀から白亜紀前期編です。



中生代 2億5217万年~6600万年前
ジュラ紀 2億130万年~1億4500万年前 恐竜の繁栄

古生代には当たり前のようにあった木性シダ類が中生代の展示からなくなり、裸子植物がシダ類を圧倒していったことがわかります。

キカデオイデアの幹
裸子植物
キカデオイデア類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

ソテツによく似た裸子植物。

三畳紀に現れ、白亜紀に絶滅したとこは恐竜と同じです。

ソテツは古生代に現れ、現在まで残っていますので、見た目が似ていてもなにか決定的にちがうものもあったのでしょう。

ザミテスの葉
裸子植物
キカデオイデア類
産地:フランス
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

こちらは別のキカデオイデア類の葉。

幹同様葉もソテツによく似ています。
ソテツ
裸子植物
ソテツ門 ソテツ綱 ソテツ ソテツ科
産地:日本・中国南部
展示:長居植物園 南西 キッチンガーデン北

このように幹も葉もキカデオイデアとよく似ています。

幹や茎の先に細かく別れた葉をつけるのは木製シダ類にも共通しています。

理由はわかりませんが、古生代の後期から中生代の三畳紀には、このスタイルがよかったのでしょうか。
それとも種子植物のように枝が細かく別れた姿は、実は結構難しい進化なのでしょうか。

とはいえ、ソテツ類の化石の展示はなかったので、実はそんなに繁栄してなかったのかもしれません。

それでも2億年以上生き残っているのですから、地味にしぶとい植物のようです。

アロウカリアの球果
裸子植物
球果類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

「球果類」は、今の針葉樹のこと。
つまり、「球果」は松ぼっくり(松笠)。

この頃は今の松ぼっくりよりも大きなものがあり、草食恐竜の食べ物になっていたようです。
ヒマラヤスギ?の球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

針葉樹の球果にはいろいろな形がありますが、ポピュラーなのは松ぼっくりでしょう。

この辺りにはいろいろな種類のマツ科植物が植えられています。
どれのものかわかりませんが、落ちてたところはヒマラヤスギの下だったので、とりあえずヒマラヤスギということに。

先のほうが毛羽立っているのは、動物に食べられたためと思います。
リスかもしれません。

ヒマラヤスギは名前に「スギ」とついていますが、スギではなくマツの仲間です。

イチョウのなかま
裸子植物
イチョウ類
産地:イギリス
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

「イチョウ」というと扇型に広がった葉ですが、このように深い切れ込みの葉もありました。

それだけイチョウの仲間が多様化していたということなのでしょう。
イチョウ
裸子植物門 イチョウ綱 イチョウ目 イチョウ科
産地:中国
展示:長居植物園 北 間氷期植物群付近

ポピュラーな樹木ですが、古生代から生き続ける生きた化石。

にも関わらず今はただ1種しか残っていません。

日本中のいたるところに街路樹として植えられています。
こんなに生える場所を選ばない樹木なのに、どうして衰退したのでしょうか。

中生代 ジュラ紀
前期 2億130万年~1億7410万年前
中期 1億7410万年~1億6350万年前
後期 1億6350万年~1億4500万年前
インロンの成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

最初に登場したケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の恐竜。
室内でも飼えそうな大きさです。

このインロンのおかげで、ケラトプシア類とほかの鳥盤類恐竜の関係が明らかになってきました。

後期
ジュラ紀
中生代
白亜紀 1億4500万年~6600万年前 鳥類の発達
前期 1億4500万年~1億50万年前 鳥盤類の巨大化
プシッタコサウルス成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:モンゴル・中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

白亜紀の前期に登場したケラトプシア類。

まだアジアにいて、体も小さいまま。

手足のバランスからキグルミのようです。


白亜紀になると展示されている植物化石の内、キカデオイデア類も減り、球果植物の量が増えます。
裸子植物の中でも球果類が繁栄していったことがわかります。

クラッソストローブスの雄性球果
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

雄性球果、つまり“オシベ”の塊。

ただ裸子植物には被子植物のような「オシベ」はないので、この言い方は正しくありませんが。

ちょっと小ぶりに見えるのは松ぼっくり(雌性球果)でないから?
ヒマラヤスギの雄性球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

松ぼっくりが大きいヒマラヤスギですから、雄性球果も大きめです。
キュプレッシオクラドゥス
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「ヒノキ科の枝に似た」という意味。

化石ではわかりにくいですが、右のスケッチをみるとたしかにヒノキによく似ています。

ヒノキ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:日本
展示:長居植物園 北 小池北

「針葉樹」という割には針状になっていないのがヒノキの特徴。

ウロコが連なったような形をしています。

エラトクラドゥス・マンチェリカスの枝
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「マツのような枝」。

という割には、あまりマツのようには見えないような。

葉の先がそっていてマツよりもスギのようにも見えます。
ヒマラヤスギ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三紀植物群北西

マツと並べてみると、エラトクラドゥス・マンチェリカスはやっぱりスギの方に近い気がします。
前期
中生代 白亜紀
後期 1億50万年~6600万年前



 予告では被子植物と書いていましたが、都合により次回に。

 次こそは被子植物の花が登場。

 そしていよいよトリケラトプスも!



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タグ: 恐竜戦国時代の覇者!Ceratopsia球果植物恐竜ビオトープキカデオイデアザミテスアロウカリアクラッソストローブスキュプレッシオクラドゥスエラトクラドゥス

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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で 恐竜時代の植物に会う![大阪市立自然史博物館]


 大阪市立自然史博物館ではじまった「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 人気恐竜のトリケラトプスを主人公とした恐竜展です。



南西入り口から真っ直ぐ行くとある案内板
南西入り口から真っ直ぐ行くとある案内板
矢印のように長距離走路右側に歩いていきます。




 今回の展示の特徴の一つに、植物があります。

 恐竜展での植物化石展示は珍しくはありませんが、多くの場合、最後の方で展示されている恐竜と同時代の化石が申し訳程度に展示されているだけ。

 ところが、今回はケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の進化と合わせるように、同時代の同地域か関連のある地域の植物化石が展示されています。

 すごい!



 ケラトプシア類を含む鳥盤類(ちょうばんるい)の恐竜は、恐竜が生きていた中生代の最後の白亜紀に繁栄します。

 この白亜紀は、被子植物(ひししょくぶつ)が誕生した時代でもあります。

 そこで、鳥盤類の繁栄は新しく誕生した被子植物に対応していったため、とも言われています。

 恐竜とはまったく別の生き物ですが、実は恐竜のことを知るために植物は大切なのです。

 動物は動物だけでは生きていけません。

 動物を始めとする様々な生き物が複雑に関係しあってビオトープをつくっているからこそ、動物も生きていけるのです。

 もちろん恐竜も。



額の2本の角よりもフリルが大きくなったカスモサウルス
額の2本の角よりもフリルが大きくなったカスモサウルス




 中生代はペルム紀末の大絶滅の後に恐竜が現れ大繁栄し、白亜紀末の大絶滅で滅んでしまう劇的な時代だったことは有名ですが、植物にとっても繁栄と衰退が繰り返され、入れ替わっていった時代です。

 植物は、水中にいた光合成生物の緑藻(りょくそう)が進化して誕生、今から5億年ほど前の古生代オルドビス紀には陸上で生活するようになっていたようです。

 といって今のコケのように地面に張り付くような小さな植物だったようですが。



 そして地面から吸いあげた水や体で作った栄養を送る管の維管束(いかんそく)を持つシダ植物が現れ、どんどん大型化していきます。

 巨大化したシダ植物は繁栄し、腐らずに地面に埋もれていったものが石炭。

 大繁栄したシダ植物が大気中の炭素(二酸化炭素)を地面に閉じ込めた(石炭になった)ため、二酸化炭素濃度が大きく下がったと言われています。



三畳紀の裸子植物イチョウの仲間のギンゴイテスの葉
三畳紀の裸子植物イチョウの仲間のギンゴイテスの葉




 ただシダ植物は胞子で増えるため乾燥が苦手だったと考えられます。

 現在も乾燥気味のところではシダの種類は少なくなります。
 古生代の後期には種子(しゅし)(タネのこと)で増えることができる裸子植物(らししょくぶつ)が現れ、シダ植物と入れ替わるように繁栄していきます。

 裸子植物は、種子になる胚珠(はいしゅ)がむき出しになっている植物。

 現在では種(しゅ)の数はシダ植物よりもずっと少なく、圧倒的な少数派になっていますが、中生代にはシダに代わって大森林をつくるようになっていたようです。

 裸子植物の中でも特に数が多かったのが球果植物(きゅうかしょくぶつ)。
 今も残っている裸子植物の中では「針葉樹」と呼ばれます。



ジュラ紀の裸子植物(球果植物)アロウカリアの球果
ジュラ紀の裸子植物(球果植物)アロウカリアの球果
これだけ大きいと恐竜も食べてたかもしれません?




 現在の裸子植物は目立つような花は咲かず、種子も実に覆われないものがほとんど。

 受粉は風まかせ、種子も下に落ちるにまかせるという動物を必要としない植物です。

 それに対して受粉や種の拡散に積極的に動物を利用するのが被子植物(ひししょくぶつ)。
 種子になる胚珠が実になる子房に覆われている植物で、目立つ花を咲かせるのも特徴です。

 特に受粉については昆虫を利用するものが数多くあります。

 そこで昆虫も新しく現れた被子植物と共存するために多様化し、被子植物もまた昆虫を利用するために多様化していったとも考えられています。



トリケラトプと同じ時代同じ場所で見つかった被子植物の葉
トリケラトプと同じ時代同じ場所で見つかった被子植物の葉
分類不明だそうですが網目状の葉脈が今の広葉樹とかわりません。




 このように中生代では恐竜だけでなく、植物の種類もいろいろと入れ替わっているいるのです。

 恐竜の出現と繁栄と絶滅という興亡(こうぼう)が中生代という期間に区切られているように、植物の興亡に合わせても時代が区切られています。

 裸子植物が繁栄したペルム紀後期から白亜紀前期までが「中植代」、白亜紀後期から現在に至るまで被子植物が繁栄した時代を「新植代」と呼びます。

 その境目が、白亜紀の前期と後期の間。

 現在の北アメリカの西側に当たるララミディア大陸でケラトプシア類が繁栄を始めた時代が被子植物の時代になります。



ジュラ紀の裸子植物(キカデオイデア類)ザミテスの葉
ジュラ紀の裸子植物(キカデオイデア類)ザミテスの葉
キカデオイデアの仲間は白亜紀末に絶滅していましいまはいません。




白亜紀前期のシダ植物スフェノプテリスの葉
白亜紀前期のシダ植物スフェノプテリスの葉
展示されている数少ないシダ植物の一つ。拡大鏡で見るほど小さい。




白亜紀後期の被子植物コルノフィルムの葉
白亜紀後期の被子植物コルノフィルムの葉
葉脈がミズキ属の葉に似ています。
多くの被子植物の化石が展示されてますがほとんどが白亜紀後期のもの。


葉脈が特徴的な現在のミズキ属ハナミズキの紅葉
葉脈が特徴的な現在のミズキ属ハナミズキの紅葉
※会場では展示されていません。




 ということで、「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」の植物ウオッチングのポイントの一つは、球果植物から被子植物への移り変わり。

 裸子植物の多様化もポイント。

 そして恐竜が生活する中生代のビオトープを想像してみましょう。

 それらをケラトプシア類の変化を合わせてみると、なにか面白い発見があるかもしれません。



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