【 オオカミ】

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〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

正月なのでニホンオオカミに会いに海南市の和歌山県立自然博物館に行きました。

 今年は戌年ということで、イヌに関係することを続けています。
 今回は、イヌの先祖にあたるオオカミ。
 それもニホンオオカミについて。

 もちろん、ニホンオオカミは100年前に見られなくなり、環境省のレッドリストで絶滅(EX)とされる動物。
 日本固有亜種なので今は世界中どこを探してもいないはず。
 生きているものは。

 虎は死して皮を残すといわれますが、絶滅したニホンオオカミも皮と骨を残しています。
 ただ、全身が揃って生きていたときの姿を再現した剥製は世界でたった4体。
 内、日本には3体。
 その一つが、この和歌山立自然博物館。残り2体は東京の国立科学博物館と東京大学農学部。

ニホンオオカミ

 和歌山県立自然博物館では、2018年1月4日から31日までニホンオオカミの剥製標本を展示しています。
 これは戌年にちなんだ展示、ではなく毎年同じような時期に公開しているものです。
 このニホンオオカミ、ここに展示されるまでにはいろいろとあったようです。
 解説によると、和歌山大学教育学部が所有していて、長い間「正体不明のイヌ」でした。
 それが頭の骨を調べてみると、ニホンオオカミであることがわかったのです。
 このニホンオオカミが捕まったのは1904年から1905年と言われています。
 1905年に奈良県で捕まったのが最後の発見と言われていますので、そういう点でも貴重な標本といえると思います。
 もちろん和歌山県のレッドデータブック(2012改訂版)でも絶滅(EX)になっています。


 剥製は目的によって大きく2つに分けることができます。
 動物が生きていたときの姿を再現して残すための標本としての剥製。
 そして鑑賞を目的とした美術品・工芸品としての剥製。
 標本の場合、生きているときの姿をどれだけ再現できるかが重要です。
 しかし観賞用の場合は、見る人が求める姿になります。
 自然界ではありえないような姿になったり、場合によっては牙など他の動物の物を使うこともあります。

 このニホンオオカミは額から鼻にかけての途中にはっきりとした段があります。
 これは日本犬の特徴とされるもので、オオカミはそれほどはっきりしません。
 作った人はあまりオオカミの知識がなく、身近な日本犬を参考にしてしまったのかもしれません。

和歌山県立自然博物館のニホンオオカミの剥製の横顔


天王寺動物園のチュウゴクオオカミの横顔
チュウゴクオオカミ

 でも、その分を差し引いたとしてもなんだか「オオカミっぽくない」と思う人は少なくないかもしれません。
 たしかにテレビで見る機会が多い別種のアメリカオオカミのような精悍さは感じられません。
 むしろ柴犬のほうが近いような気がしないわけでもありません。
 しかし大阪市にある天王寺動物園の同種別亜種のチュウゴクオオカミと比べてみると、よく似た雰囲気。
 ということで、南海やJRを使って大阪から来た場合は、天王寺動物園もおすすめです。
 そして今年のニホンオオカミの剥製の展示は、2018年1月31日までになっています。

 ちなみに、「虎は死して皮を残す」は、正しくは「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」または「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」と言われます。

■参考外部リンク■
教育学部 | 和歌山大学
和歌山県立自然博物館公式ホームページ
天王寺動物園
環境省_環境省レッドリスト2017の公表について
和歌山県レッドデータブック【2012改訂版】|和歌山県ホームページ

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タグ: ニホンオオカミオオカミ和歌山県立自然博物館絶滅種環境省EX和歌山EX

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犬はいつ日本にやってきたのかな?

 自然界には存在しないイヌ。
 およそ1万5千年前に、東アジアに住む人間によってオオカミから作り出されたと言われています。

チュウゴクオオカミ(天王寺動物園)

 その後、世界に広がっていったのですが、日本にいつからイヌが現れたのかは、よくわかりません。
 少なくとも歴史が始まった時(古墳時代ごろ)にはにいるのが当たり前になってたようです。
 もっと昔の縄文時代の早い時期(1万年以上前)の遺跡からイヌの骨が見つかっているようです。
 縄文時代がはじまった1万5千年前ごろは、日本が大陸と地続きになっていた時期があります。
 ちょうどそのころに東アジアで誕生したイヌが人間とともに日本にやってきたとすると、腑に落ちます。

柴犬っぽいチュウゴクオオカミ(天王寺動物園)

 その後日本は大陸から離れ、二度とつながることはありませんでした。
 イヌの誕生が遅れていたら、日本にイヌがやってくるのはもっと遅れていたかもしれません。

 縄文時代の後、弥生時代がはじまります。
 弥生時代にもイヌがいて弥生犬とよばれ、縄文犬とはちがう特徴をもつとされます。
 弥生人は、稲作の技術を持って大陸からやってきたと考えられています。
 そのとき一緒に犬を連れてきたのでしょう。

弥生犬復元「海渡(カイト)」と
弥生時代の竪穴住居に住む4人家族の食事どきの団らん風景
(大阪府立弥生文化博物館)

 弥生時代の遺跡から、壺に納められたイヌの骨がみつかっています。
 一度埋葬されたあと、骨を壺に納め直したことからも、今と変わらぬほど大切にされていたことが伺われます。

犬の棺(長頸壺)と収められていた犬の骨
(弥生時代後期2世紀 奈良県桜井市大福遺跡
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館)



 そして国家が統一されていく古墳時代。
 前期から中期にかけて、力を誇示するため盛んに巨大な古墳が作られました。
 古墳には様々なものを象った陶器の埴輪がおかれます。
 日用品らしきものから武具、さまざまな動物、よくわからない抽象的なものなど、多岐にわたります。
 その中にイヌとされる埴輪もあります。

動物形埴輪 犬
(堺市 仁徳陵古墳(大仙陵古墳)5世紀 近つ飛鳥博物館)

 その後もイヌの飼育は続けられ、日本各地でさまざまな犬種が誕生しました。
 江戸時代には中国からペットとしてのイヌが持ち込まれ、さらに種類が増えます。
 明治時代になると、欧米から様々な洋犬が持ち込まれ、広がっていきました。
 と同時にそれまで日本にいたイヌたちが消えていき、絶滅したといわれるイヌもいます。
 明治後期に日本唯一の野生の犬ともいえるニホンオオカミが絶滅したのは皮肉な一致なのかもしれません。

 日本で人間が家を作り定住はじめたころから人間とともにいたイヌ。
 時代の変化とともに新しいイヌが現れ、どんどん変わってきましたが、常に人間のそばにいることはかわりないようです。

■参考外部リンク■
天王寺動物園
大阪府立弥生文化博物館
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館[トップページ]
近つ飛鳥博物館

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タグ: オオカミタイリクオオカミチュウゴクオオカミ弥生犬縄文犬天王寺動物園弥生文化博物館橿原考古学研究所附属博物館近つ飛鳥博物館

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犬はどこからやってきたいきものなのかな?

 2018年は戌年。
 ということで、今年最初はイヌの話。
 結論を先に言ってしまうと。
 イヌは人間がつくりだした、自然界には存在しない生物。
 つまり、人間の手から離れ、自然界に放たれたときは、バイオハザード(biohazard,生物災害)になってしまうのは、ネコと同じ。
 国立環境研究所の侵入生物データベースにもネコと共に記載されています。

■外部リンク■
イヌ / 国立環境研究所 侵入生物DB
ネコ / 国立環境研究所 侵入生物DB

 もちろん、ホムンクルスのように生物錬成されたわけではありません。
 実在する生き物から品種改良されて作られました。
 元になった生き物は、タイリクオオカミ。

タイリクオオカミ亜種チュウゴクオオカミ(チベットオオカミ)
Canis lupus chanco(天王寺動物園)

 イヌとの関係は、学名を見ればわかります。
 タイリクオオカミはCanis lupus
 イヌはCanis lupus familiaris
 動物の学名は、属の名前(属名)+種の名前(種小名)。
 そして種の名前の後に続く名前がある場合は、亜種(地域性のあるちょっとしたちがいのあるグループ)ということになります。
 イヌは分類学的にはタイリクオオカミの亜種。
 ということは、イヌはオオカミ(タイリクオオカミ)と言ってもいいことになります。

チュウゴクオオカミ(チベットオオカミ)(天王寺動物園)

 イヌの登場は1万5千年前とも、もっと昔とも言われています。
 最初のイヌは、東アジアで誕生し、東アジア亜種のチュウゴクオオカミが祖先とする説もあります。
 オオカミをどのようにしてイヌにしたのかはよくわかりませんが、人間に慣れやすいオオカミを選んで飼っていき、代を重ねるうちにイヌに変わっていったとする説もあります。
 その後、世界に広がっていき、品種改良されたり、その場所のオオカミと交雑したりと、地域性ができていったようです。

■参考外部リンク■
イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

普通の犬っぽいチュウゴクオオカミ(天王寺動物園)

 ちなみに十二支の戌(じゅつ)に動物のイヌが当てられたのは、十二支の考えができて何百年もあとのことで、本来はイヌとは何も関係はないのですが、それはそれ。

■参考外部リンク■
天王寺動物園

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