糞虫の楽園、奈良公園
春から初夏にかけて
糞虫ウオッチングしてきた奈良公園。糞虫の楽園です。
公園内で糞虫の姿を目にできるのは10月くらいまで。
ということで、行って来ました。
平城遷都1300年祭のおかげで近鉄と周辺私鉄等のお得な乗車券がありますので、今がチャンスです。
今回は糞虫(動物の糞を食べるコガネムシ)の記事です。
糞虫や鹿の糞の画像もあります。
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「糞虫」とは
まず、「糞虫」です。
簡単に言うと動物のうんちに集まる虫のことです。
なかでも背中が硬い
翅はねで覆われている甲虫のコガネムシとコガネムシに近い仲間のうち、動物の
糞ふんを食べる種類を指す言葉です。
「
食糞性しょくふんせいコガネムシ」とも言われます。
糞虫の中でもオオセンチコガネやセンチコガネは「フンコロガシ」といわれることがありますが、日本には「フンコロガシ(タマオシコガネ)」はいません。
オオセンチコガネ、センチコガネはフンコロガシとはちがう種類になります。
![フンコロガシ(タマオシコガネ)の標本[大阪市立自然史博物館]](http://blog-imgs-43.fc2.com/i/k/i/ikimono8000/041801.jpg)
フンコロガシ(タマオシコガネ)の標本[大阪市立自然史博物館]
糞虫は住み分けている?
春から夏にかけてここには何度か足を運びました。
奈良公園の糞虫はもちろん鹿の糞に集まります。
鹿は奈良公園中にいますので、いたるところに鹿の糞はありますが、糞虫はどこにでもいるわけではありません。
日当たりのいい芝生の上の糞には小さなマグソコガネばかりで、大きなセンチコガネたちをみかけることはありません。
ところがオオセンチコガネがいっぱいいる飛火野ではあまりマグソコガネは見かけません。

芝生の上の糞の中で見つけたマグソコガネ
ファーブルの『昆虫記』を読んでいると、糞虫のいるところにはマグソコガネあり、という感じがしましたが、奈良公園のマグソコガネはセンチコガネにいい場所をとられているようにも見えます。
ただ、糞の塊の下を見ると穴が開いていることがあるので、夜の間にエンマコガネやセンチコガネが食べに来ているようです。
奈良公園といえばルリセンチコガネ
奈良公園の糞虫というと、やはり青い構造色できれいなオオセンチコガネ、別名「ルリセンチコガネ」でしょう。
ルリセンチコガネを確実に見ることができる場所が飛火野の林の中。
最初はなかなか見つからないと思っていたのですが、1匹見つけると2匹3匹と連続してみつかり、気がつくとルリセンチコガネだらけです。
もちろん、飛んでいるものや地面をはっているものも少なくありませんが、やはり糞虫を見つけるのは鹿の糞の塊、です。
糞の塊の中から出てきたもの
ためしに7センチくらいの糞の塊をほぐして見ました。

ほぐす前の鹿の糞の塊
糞の中やその下から見つかったのはオオセンチコガネとセンチコガネが1匹ずつ、大きいエンマコガネ2匹、小さいエンマコガネが13匹でした。
同じくらいの大きさの塊をいくつかほぐしてみましたが、おおむねこんな感じでした。

7センチほどの糞の中と周辺から見つかった糞虫(桝目は5mm角)
〈オオセンチコガネ(青)とセンチコガネ(金)〉

7センチほどの糞の中と周辺から見つかった糞虫(桝目は5mm角)
〈死んだふりをする大き目のエンマコガネ〉

7センチほどの糞の中と周辺から見つかった糞虫(桝目は5mm角)
〈激しく動き回る小さ目のエンマコガネ〉
エンマコガネは1センチほどの大きいものと1センチに届かない小さいものがいます。
ほとんどが糞の中から掘り出したものなので、糞だらけ。
観察したあとは逃がすので水でジャブジャブ洗うわけにも行きませんので、なかなか特徴をみわけるわけにはいきません。
ということで、大雑把にエンマコガネとコエンマコガネということにします。
糞に集まる虫たち
糞に集まるのは糞虫だけではありません。
この糞もほっておいたらキンバエが集まってきました。
別の糞の中にハネカクシの1種と思われる虫もいました。
しかし一番多いのは、やはり糞虫です。

糞に集まってきたキンバエ

別の糞の中にいたハネカクシの一種と思われる虫
秋も深まり糞虫たちの姿も減ってくるかなと思っていたのですが、まだまだいっぱいいるようです。
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