今年の新説にも対応してその場で確認できる!「メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる-」〈大阪南港ATCホール〉
「メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる-」。
タイトル通り巨大な竜脚類の化石の展示と、巨大化の謎解きのパネル展示がとても興味深い恐竜展。
でも、見どころはそれだけではありません。

恐竜の面白いところの一つは、目まぐるしく「新説」がでてくること。
昨日までの常識が、明日の非常識になることは珍しくありません。
たとえばティラノサウルス。
トカゲのように鱗に覆われていたのに、数年前から背中が毛に覆われはじめました。
この姿はティラノサウルスファンにとっては衝撃的だったようで、なかなか市民権を得られなかったように感じます。
それが今は「やっぱり背中には毛はなかった」になり、元の姿に戻りそうです。

そして、今年また恐竜の認識が大きく変わる可能性が示されました。
恐竜の分類でよく使われるのが、竜盤類と鳥盤類。
骨盤をつくる3つの骨の内、恥骨が前後に伸びて後ろ側が坐骨と並んでいるのがトリケラトプスやステゴサウルスのような鳥盤類。
鳥の骨盤と似ていることが由来です。
(比べやすいように左右反転しています)

腰から左下へ伸びる2種類の骨の下の短いほうが恥骨(わかりにくい)
そして恥骨が前や下の方に向いているのが竜盤類。
竜盤類にはティラノサウルスのような獣脚類と、4つ脚で巨大な体のディプロドクスのような竜脚類に分かれます。

腰から真下に伸びている2つの骨が恥骨
左に伸びているのは坐骨だけ
竜脚類のエウロパサウルスの骨盤 右が頭

腰から右下に伸びている2つの骨が恥骨
ところが。
新しい説では、獣脚類に近いのは竜脚類じゃなくて、鳥盤類だったのです。
獣脚類と鳥盤類が一つになって「鳥肢類」という新しいグループができました。

たしかに今までの「常識」を覆す説ですが、そもそも鳥盤類の名前の由来となった鳥は、竜盤類の獣脚類から進化しました。
つまり、鳥のような骨盤(鳥盤)は、竜盤から変化できるということ。
恥骨の向きというのは、生活様式でも変わってしまうようなもので、恐竜の大きな分類には使えない特徴だったのでしょう。
アロサウルス(鳥肢類・獣脚類)
ステゴサウルス(鳥肢類・鳥盤類)

もちろんこれはあくまで「新説」で、まだ多くが認めた「定説」ではありません。
そして「定説」になったとしても、新説が現れて「古い説」になるかもしれません。
常識は常に非常識になる可能性を持っています。
これも恐竜の面白いところです。

もちろん今の復元はまったくちがいます
会場には竜脚類以外にも獣脚類や鳥盤類などいろいろな恐竜がたくさん展示されていますので、見比べてみるとおもしろいと思います。
■参考外部リンク■
メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる- 大阪開催【公式サイト】
大阪市立自然史博物館

タグ: メガ恐竜展2017 MegaKyouryuu2017 鳥肢類 竜盤類 鳥盤類 獣脚類 竜脚類 ディプロドクス アロサウルス ステゴサウルス

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