天然記念物はギリギリのブナの森 特別展「和泉葛城山のブナ林」きしわだ自然資料館
大阪泉州地域にある、きしわだ自然資料館で特別展「和泉葛城山のブナ林」がはじまりました。
「ブナ」というと、日本で数少ない世界自然遺産のひとつ、白神山地が有名です。
白神山地は青森県と秋田県にまたがる東北地方の山。
そう。
ブナは寒いところに育つ落葉樹なのです。

特別展入口のプレート
それがどうして白神山地よりはるか南の大阪で行われるのかというと。
あるのです。
大阪にもブナが。
しかも国の天然記念物。

ブナの標本
標高も低く、人里に近く、車で行くことができるところにあるブナ林。
白神山地とまるで正反対のブナ林は、ブナ林が維持されるきるギリギリの環境にあります。
ということは、ちょっとした事で大きなダメージを受けてしまいます。
そのため長い間、調査や保護活動が続けられてきたのです。
いくつも展示されているブナの切り株は、年輪がぎっちと詰まっていて、ブナの成長がとてもゆっくりなのかがわかります。
ほかにもブナの特性や、日本中のブナの分布や比較など、和泉葛城山だけでなく日本中のブナについて知ることができます。

年輪がわからないほどぎっちり詰まったブナ
この博物館は生きている状態の生体展示を積極的に行っています。
さすがに生きているブナの巨木を展示するわけには行きませんが、ブナ林の生き物、中でもキセルガイなどカタツムリの仲間が生体展示されています。
水を蓄えると言われるブナ林なので、和泉葛城山には多くのカタツムリがいます。
カタツムリは遠くへ移動することが苦手で、同じ種でも地域によってちがいが出ることがあります。
ということは、カタツムリは、生きていける環境が持続しなければいなくなってしまうということ。
中には大阪で絶滅危惧種に指定されているものもいます。
そういったカタツムリを絶滅させないためには、ブナ林を維持していかなければなりません。

生体展示のオオギセル
RDB環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
大阪府カテゴリ:絶滅危惧I類(CR+EN)
もちろん、ブナ林だけが多くの生き物を育むわけではありません。
しかし、大阪では限られたところにしかないブナ林は、大阪では限られたところにしかいない貴重な生き物がいる場所でもあります。
「ブナ展」ですが、ブナだけにとどまらない、いろんな生き物がいるブナ林ビオトープを教えてくれる特別展になっています。
2015年2月1日まで開催中。
そして特別展の後には2階の常設展も。
ブナをはじめとする和泉葛城山の自然や地理の解説があります。
■参考外部リンク■
きしわだ自然資料館 - 大阪府岸和田市公式ウェブサイト:祭都きしわだ

タグ: 「和泉葛城山のブナ林」 ブナ 和泉葛城山 きしわだ自然資料館 オオギセル

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