冬の貴重な食べ物
住宅街の
街路樹がいろじゅにはナンキンハゼがよく使われています。
落葉樹らくようじゅですので今は葉をずべて落とし、
幹みきと枝だけになっています。
その木には多くの鳥が
群むらがります。
それは、木の実を食べているのです。
雪が
積つもらないといっても、冬には食べ物が
減へります。その間の鳥たちの
貴重きちょうな食べ物なのです。
モズのひとやすみ?
ふと見上げたナンキンハゼの木に、鳥が1
羽わとまっています。
大きさはスズメくらい。でも、スズメにしては
尾羽おばねが長すぎるような。
よく見ると、モズです。
場所からすると
百舌鳥太郎もずたろうではないでしょう。彼の
縄張なわばりから離れています。それに体も少し小さいようです。
モズは虫やカエルのような小さな動物を食べる
肉食にくしょくの鳥です。
ですから、ナンキンハゼの枝で一休みしているのでしょう。

ナンキンハゼの枝の上のモズナンキンハゼとモズ
と思っていたら、実をつついているではないですか。
小柄こがらなモズにとってちょうどいい場所に実が無いようで、バタバタはばたいて実をつついています。
まちがいありません。
肉食にくしょくのモズが、ナンキンハゼの実を食べているのです。

ナンキンハゼの実をくわえているモズ たしかに本などには、冬に虫が
減へると木の実を食べる、とありますので
不思議ふしぎではありません。
しかし
実際じっさいに目にするのは、本を読むのとはまったくちがいます。
そのモズはじばらくばたばたと実を食べた後、どこかへ飛んでいきました。
お
腹なかがいっぱいになったのか、食べにくくバタバタはばたくのがいやになったのか、それとも
硬かたい身に
辟易へきえきしたのかわかりません。
ともあれ、実に対して種がやたらと大きいナンキンハゼの実をモズが食べるとは思ってもいませんでした。

実を食べるためにはばたくモズ実験、実験!
ここでひとつ思いついたことがあります。
ファーブル先生のようにはいきませんが、
簡単かんたんな
実験じっけんです。
百舌鳥太郎もずたろうに
植物性しょくぶつせいの食べ物を見せてみましょう。
用意したのは、リンゴ、パン、そしてナンキンハゼの実。
もちろん、リンゴもパンも小さくしてモズが食べやすい大きさにしています。
さあ、畑に行きましょう。

ナンキンハゼの実百舌鳥太郎登場
畑に着くと、もちろん
百舌鳥太郎もずたろうは
現あらわれました。
何か食べ物をくれると思ってすぐそこまで来て、こっちを見ています。
実験開始じっけんかいし!
彼に見えるように台の上にリンゴ、食パン、ナンキンハゼの実を置きました。
百舌鳥太郎もずたろうはじっと見ています。
そして。
関係かんけいないほうを向きました。
まったく食べる気はありません。
これがコガネムシの
幼虫ようちゅうだったらあっと言う間に飛んでくるのに。
もう
百舌鳥太郎もずたろうはリンゴやパンを見ていません。
こちらを見ています。
……
口が肥えたモズ
わかりました。
用意していたコガネムシをリンゴやパンと同じところに置きました。
すると、すぐに飛んできて、何かをくわえて飛んでいきました。
もちろんコガネムシの
幼虫ようちゅうです。リンゴもパンも実も残っています。
彼は虫の少ない冬に、
普通ふつうなら食べることができない
地面じめんの下のコガネムシの
幼虫ようちゅうを食べさせてもらえるモズです。
やっぱり、口が
肥こえた
百舌鳥太郎もずたろうには、こういう
実験じっけんは
不向ふむきでした。

口が肥えた百舌鳥太郎結論
冬になって虫が
減へると、モズはナンキンハゼのように食べるところが少なくて
硬かたい実も食べるようになるが、口が
肥こえているモズは
見向みむきもしない。
まあ、最初からこうなることはわかってましたが。
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白い実
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